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138話 「子猫は外に出たい その2」

「ねえメンテ、ちょっと待って。今の毛の色を変える魔法って私にもかけられる?」

「シロ先生どうしたの?」

「あのね、私って一色ないの。生まれてからずーっとね。だから模様がある猫に少し興味というか憧れがあるというか……」

「へえ、そうなんだ。じゃあやってみるね」

「にゃはは。メンテありがとう」



 意外と乙女なシロ先生でした。猫もそういう身だしなみは気にするんだね。


 僕も新しい魔法を試してみたいのでシロ先生に協力しますよ。模様は……近くにいるレッドでいいかな。炎みたいなレッドをイメージしながら魔法を使ってみましょう。



「猫魔法・レッドになあれ~」ぴゅいーん! キラキラ―ん!!



「……わ、私に模様が?!」

「「「おお、すごいにゃ」」」

「え、俺?!」



 シロ先生がレッドっぽく赤色の猫になりました。実験大成功です。どうやら僕以外の猫にも使える魔法なようですね。



「にゃはは。すごいわ。でもレッドはちょっとダサい……」

「まあ確かにね」

「俺が目の前いるのに失礼じゃない?!」



 レッドが何か喚いてもスルーするメンテとシロ先生であった。



「えっとね。解除したいと思ったらいつでも解除出来るはずだよ。何もしなかったら僕の魔力が消えると戻るかな。時間は計ったことないから分からないけど」

「そうなの? それなら即解除するわ。全然可愛くないもの」



 しゅわわ~ん。



「あら、本当にすぐ戻るのね。時間あったらまたよろしくね」

「いいよ。じゃあ探索開始だね。目標は僕が出られるような人気のない場所を探すことだよ!」

「「「にゃあ!」」」

「俺ってダサいの……?」



 誰からも慰めるような言葉をされず、ショックで立ち尽くすレッドであった。なおこの魔法は、猫達のオシャレとして人気が出たという。



 ◆



「探すなら1階かな? 2階は高さ的に出入りが難しいかもしれないし。じゃあ行くよー!」

「「「「にゃあ!」」」」


 こうして僕達は1階を探索し始めました。



==================


 ナンス家は、元々1階に工房および店舗で2階が居住スペースのこじんまりとした家であった。だが、ダンディが生まれてから一変する。毎日アホみたいに爆発で家を破壊しまくるため、増改築の繰り返しであった。


 そして、今では複雑な屋敷みたいな構造になっている。ダンディのせいで魔道具関連の仕事部屋と居住空間は別々に作るはめになったのだ。安全のためである。新しく作った建物が子供部屋や両親の寝室、および使用人達の部屋などである。それらの建物は全て廊下で繋がっている。建物が複数繋がって出来ているのが今のナンス家なのだ。


==================



「まずは玄関方面から行くよー!」

「「「「にゃあ!」」」」



 子供部屋から玄関に向かって歩いていますが、特に入口になりそうな場所はありませんね。そろそろ玄関に着きそうです。人がいるかもしれないので、念のため魔法を使って確認してみますよ。



「……猫探知!」



 みなさん知っていると思いますが、猫魔法の探知を略して猫探知です。猫の探知魔法だと思ってください。この魔法を使うと僕の頭にいろいろな情報が入って来ます。



「……うん、玄関には2人いるね。何をしてるかちょっと覗いてみようか。みんな、見つからないように隠れてね」

「「「「にゃ~」」」」



 みんなでこっそりと玄関の様子を見て見ると、1人の人間がイスに座って本を読んでいました。ということはもう1人は外かな?



「人間いるよ」

「あれはこの家の警備の人だよ。変な人から守ってくれているんだ」

「あー、いつも中に入れてくれる人ね」

「守ってるというよりくつろいでにゃい?」

「「「「にゃわにゃわ」」」」



 みんなでコソコソとしゃべります。玄関には夜も人がいるようですね。ここから外に出ない方が良さそうです。物音がしたらすぐバレちゃいますし。玄関から離れた場所を探しましょう。



「ここは見つかるから危険だね。違うとこ行くよー!」

「「「「にゃあ!」」」」



 こうして玄関から離れる猫達であった。



 ◆



「次は人の気配があった場所に行くよ。近づかない方がいい場所も確認しなきゃ!」

「「「「にゃあ!」」」」



 僕が猫探知を使いながら歩くと、食堂が見えてきました。ここから誰かがいる気配を感じます。一人ではなく複数いますね。



「いい? こっそりとね」

「「「「にゃあ!」」」」



 僕と猫達は、見つからないようにこっそりと顔を出して部屋の中を覗きこみます。すると……。



「ぷはぁあああー。やっぱり仕事終わりにはサイコ―ね!」

「もぐもぐ。これおいしい」

「私もこれ好き~」

「「「「ざわざわ」」」」



 そこには女性が複数いました。あれは皆このナンス家の使用人ですよ。いつものメイド服姿ではないので、一瞬誰かと思いました。ある意味新鮮な光景です。みんなでお酒を飲んだりおいしそうな物を食べていますね。僕が寝た後に行われる秘密のパーティですかね?



「もーーやってらんないわ!!!」



 その中で一番大きな声を出しているのは、何とキッサさんでした。あれは完全に酔ってます。



「あんのクソバカがありえないことポンポンポンポン起こして!! あげくに赤ちゃんがやったから何も問題ないとか問題大ありだっての!!!!!」

「まあまあ。キッサさん落ち着いてくださいよ」

「こうしてうまい物食べれるのは、ギルドからお金を貰ったからじゃないですか」

「でもさすがタクシーさんですよね。請求された再建費以上のお金をせしめたんですから。交渉上手でうらやましいです。私も脅し……じゃなくて話が上手な人と結婚したいです」

「あなた達、そういう問題じゃないのよ!」←机をドーンと叩いて立ち上がるキッサ



 ……すうっ。←急に覗き見を止めるメンテ



「……よし、もう行くよ」

「え、早くない? 何か食べ物を貰いに行ってもいいと思うけど……」

「ダメだよ。あそこにいる一番偉い人の機嫌悪いから」

「そうなの? ならあの人間たちは何をしゃべているの?」

「そ、それよりこっち来ちゃうかもしれないからさ。ほらあそこ立ち上がってるでしょ?」

「あ、本当だ。もしかしてこっち来るから逃げた方がいいの?」

「そうそう、早く離れるよ!」

「「「にゃわにゃわ」」」



 ギルドを破壊したことが問題でキッサさんが荒れていた。当然といえば当然なのである。さらにメンテに関係する話題もあったため、ここから今すぐ離れようと必死だったという。



 明日キッサさんと遊んで癒してあげよう。そう思いながら別の場所を探索し始めるメンテと猫達であった。



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