126話 「猫魔法の研究 その3」
僕の名前はメンテ。猫に変身しちゃう力を持った人間です。
最近になって”猫魔法”を使える事が判明しました。というか無意識に使っていました。
この猫魔法は”猫だけが使える魔法”を略したものだそうです。猫だけというのがよく分かりませんね。なぜ猫と限定的なのか。魔法の効果があるのは猫だけ? それとも猫以外の生物には一切扱えない魔法? 未だにその答えは出ておりません。
ではこちらをご覧ください。先程こっそりギフトを使いました。
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【メンテ・ナンス】
年齢 1歳
性別 男
所持スキル
・暴走
・ものづくり
・器用
・配合
・猫魂
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はい、猫魔法なんてスキルはありませんね。不思議でしょ?
今の僕は人間です。猫魔法が所持スキルにあるのは、猫になっているときだけ。猫魔法は猫の姿のときにしか使えないのかな? まだ魔法が使えないベイビーなので、検証はここまでしか出来ないのですよ。
そもそも変身するとスキルも魔力も別物になっているんだよね。シロ先生には別の生き物になってるとか言われるし。やっぱり僕のスキル”猫魂”には秘密がありそうですね。でもこれは珍しいユニークスキル。世界に1つだけのスキルです。誰に聞いても答えられないのです。自分で答えを探さなきゃなあ。
「もぐもぐもぐ……」
メンテは食べながらいろいろ考え事をしていた。傍から見るとただゆっくり食事をしているだけである。
「フフッ、今日もいっぱい食べるわね。これだけ食べるんだから、もうおっぱいは卒業してもいいのよ?」
「……ぐふっ。げほげほ。おえっー!」
「あらあら、むせちゃったわね。メンテちゃん大丈夫よ、よしよし」
「うわああああああああああん! まんまー!!!」
「もー。そうやってすぐ服の中に入り込もうとするの止めなさい」
「ままぁー!」
「やだもう。口の中いっぱいあるのに来ちゃダメでしょ。お洋服が汚れちゃうって何回言えば分かるの? ママ悪い子は嫌いなのよ」
「まんまあああああああああああああああ!」
今日もメンテとレディーの攻防は続く。
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夜は猫魂を使って猫に変身。では、子供部屋に行きましょう。
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【 】
年齢 1歳
性別 男
称号 なし
所持スキル
・暴走
・猫魔法
・エッグ
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「ん~。猫だけねえ……」
部屋に着くとギフトを見ます。僕の所持スキルにあるこの”猫魔法”は猫の姿だと余裕で使えます。無意識で使っているせいか効果は不明なところが多いですが。
だから今日は猫魔法の力をしっかり確認したいと思います。暇そうな猫達にも手伝って貰いましょう!
「ねえねえ、この中で一番走るのが速いのは誰?」
「「「「「グレー」」」」」
猫達から即答でした。教会の猫の中で、運動センス抜群と言えば彼なのです。
「じゃあグレー。今から僕と一緒に走ってよ。猫魔法有りと無しでどれぐらい違うか比べて欲しいんだ」
「へっ、いいぜ。でもどこを走るんだ?」
「廊下がいいかな。直線距離が長いし」
「おう、任せな」
「ありがとう。明日楽しみにしててね」
「へっ。御意」
結構乗り気ですね。協力してくれる猫にはご褒美は忘れませんよ。というわけで廊下で確認することになりました。
まずは身体強化から。これは魔力を全身に覆った状態です。この状態を維持すると、一時的に身体機能が向上します。適正があると治癒能力や寿命を延ばす力もあるため魔法に分類されています。
また、魔力操作を扱う上での基礎ともなりますね。魔力を自由自在に動かせるようになれば、集めた魔力を無駄なく別の違う力に変換出来ます。つまり様々な魔法が上手に使えるようになるんだよ。これがこの世界では普通の常識なのです。前世で考えられない不思議なことだよね。
いつもより魔法に詳しいって? ふふ~ん、それはいろいろと兄貴の本を読みましたからね! あといろいろな人に聞いたからですよ。僕頑張りました。だからもっと褒めてもいいのよ?
そんなわけで身体強化をチェックすれば、魔力を上手に動かせているかどうか分かるのですよ。魔力操作が出来ていれば、猫魔法も上手く使えているかの目安にもなります。それに僕の身体能力がどれだけパワーアップするのか知りたいですし。
僕の考えはこれぐらいでいいでしょう。そろそろ魔法の実験を始めますよ!




