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124話 「猫魔法の研究 その1」

前回までのお話

僕、猫魔法とかいうのが使えるんだって。

 僕が粘土で遊んでいたときのことです。



「……えぐ?」



 たまたま魔力を出しながら遊んでいると、粘土がぐにゃああああんとしたのです。柔らかいってレベルではありませんでした。



「えぐえぐ……(嘘でしょ……)」



 そして、僕が作ろうとしていたサイコロが完成しました。ありえないぐらいかっくかくの四角い形です。赤ちゃんが作るのは絶対に不可能。そんな綺麗さですよ。



 ……この粘土って魔石を含んでいるんだっけ? もしかして魔力に反応してる?!





 ここでナンス家秘伝の技について説明します。


 父は素材を集めると、奇声をあげながら手に魔力を集中させました。そして、父の魔力に触れると素材は混ざり合い、別の物質に変化させていったのです。それはまさに粘土のように。


 合成とか錬金とかそういう感じの魔法だとか言ってましたね。なんてファンタジーな話だろう。さすが異世界だと思いながら聞いていましたよ。この方法以外だと大きな鍋で煮たり、一度粉々に砕いてから別の物と混ぜたりする人もいるそうです。どの方法が得意なのかは個人や持ってるスキルによるんだって。


 あと素材によって使い方が違うらしいのですが、父の場合はそんなのどうでもいいそうです。なんで? と可愛らしく聞いてみると、今の私に出来ないことはないんだふぉおおおおおおおおおおおおおでした。僕には何を言ってるのかさっぱりでしたね。でも父がすごいのだけは分かりましたよ!



 ……というわけなのです。この粘土を使えば父の真似が出来るかもと思ったのですよ。これってすごい発見じゃないですか?


 ちなみに人間の僕は、魔力を出しても2秒ぐらいで消えちゃいます。まるでおならをするようにプシューっと体から離れていきます。全然コントロール出来ていませんね。しばらくはこの粘土で練習しましょうか。



「ぱんぱー」

「どうしたメンテ?」

「えっぐ(これ見て)」

「おお、上手だな。これは誰が作ったんだ?」

「ぱんぱあ」←粘土を作ったのは誰と誤解してるメンテ

「え? パパが作ったのかい?」

「えぐえぐ」

「はっはっは! メンテは面白いこというなあ」



 ◆



 そして、夜。



「えぐぐぐぐ~!(猫魂!)」



 今日も子供部屋に遊びに行きます。目的はもちろん粘土です。



「よし、やるぞー!」

「誰も触ってないドアが開いたと思ったら、いつの間にか部屋の中にメンテがいてびっくりにゃ」

「「「怖かったにゃ」」」

「……よし、やるぞー!」

「「「「スルーしたにゃ?!」」」」



 気配を消したら中に入ったことも気付かれませんでした。僕はみんなの前を堂々と歩いていたのですがね。見えなかったのかな?



 それはさておき、粘土を触ります。魔力を込めてみます。



「猫魔法!」



 ……。


 …………。


 ………………。


 ……………………。


 …………………………あれれ~?



 これはどういうことかな?? 全く反応がありませんね。その後も何回かやりましたが、粘土が変形することは一度もありませんでした。




 まずは僕の現状について説明します。


 人間、そして猫。僕はこの2つの姿があるのですが、魔力に関しては明らかに違います。毎日限界まで魔力を放出して鍛えてきました。最初こそ同じようなものだったのですが、今では如実に差が開いてきました。自分でも驚いていますよ。



<1日に出せる魔力の回数>

 人間→約5回

 猫 →約30回


<1回あたりの効果時間>

 人間→2秒

 猫 →10秒


<魔力だけの効果>

 人間→五感の強化

 猫 →すさまじい身体強化(猫達曰く)


<魔法>

 人間→何も使えない

 猫 →猫魔法が使える



 だいたいこのような感じです。


 はっきり言って猫の方が優れていますね。なぜか猫の方が成長早いみたいなんだ。不思議だよね。同じ体なのに魔力が違う理由は何故? これは今後の課題ですね。



 そんなわけで、僕は猫の方が魔力がいっぱい使えます。粘土を変形させるなら猫でやる方がいいと思ったのですよ。


 でも実際にやってみると全く効果はありませんでしたが。しっぽで粘土を掴んでも効果なし。爪を伸ばして粘土に触れても効果なし。口に入れても効果なし。他の猫に僕と同じようにやらせても効果なし。何をやってもただの粘土でした。もうお手上げですね。



「全然分かんなーい。もう今日は寝ようかな。みんなお休み!」

「「「「にゃあー」」」」



 今日は疲れたなあとレディーの服の中に入り込んで寝るのでした。ちゅぱぱ~。



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