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122話 「粘土遊び」

前回までのお話

魔石の作り方を見学した!

 ここは子供部屋。子供用のイスに座ったメンテは、机の上にある粘土を触ってで遊んでいた。



「きゃあああああああー!」



 僕は手にした粘土をこねくり回します。握っては潰し、丸めては机に叩きつけて平べったくと繰り返します。いろいろな形になるのですよ。



「メンテ何してるのー?」

「あーえ。ぱんぱー、えぐぐぅ」

「え? 何言ってるのか分かんないよー」

「まんまぁー」



 僕の言葉は名前ぐらいしか通じません。まだ上手に発音出来ないのでね。だから近くで僕を見ている母に丸投げします。ちなみに僕は「アーネ、これパパに貰ったの」と言ったのですが、みなさん分かりましたよね? 



「メンテちゃんはね、粘土で遊んでいるのよ。昨日お店に遊びに行ったときにパパに貰ったんだって」

「えー、メンテだけずるーい!」

「アーネも触ってみたらどう? ほら見て、まだまだいっぱいあるのよ」

「んー、じゃちょっとだけ……」



 アーネは、僕だけが何かを貰ったことに対してズルいと感じたようですね。でも母が一緒に遊べるわよというとすぐ機嫌を直します。チョロい子なのです。



「え?! 何これー??」



 アーネが粘土を触ると驚きの表情を浮かべます。それもそのはず、この粘土は手が全く汚れません。むしろ手が綺麗になります。



「フフッ、すごいわよね。でもパパはどうやって作ったか教えてくれないのよね」



 それを説明すると少し長くなりますね。では昨日の出来事を手短に。



 ◇



「うおおおおおおお、もっとだ。もっと魔力を込めればすごい魔石が出来る気がするぞ! タクシー、今店にいる暇なスタッフを全員()き集めるんだ!」

「ほほっ。集めましたぞ」

「よし、全員で魔力を注げえええええええ―!」

「「「「「「「「「「うおおおおおー!」」」」」」」」」」

「もっと必要だ。タクシーも混ざれ。今日は本気でやれえええええええええええ!」

「ほほっ。では私もやりますぞい」



 ドガーーーーーーーーーーーーーン!



「きゃきゃきゃ!」←メンテ

「ぎゃああああああああ?!」←ニン・キスギ



 ◇



 以上。回想おしまい。


 ポンコツ執事が混ざった途端に爆発オチなのです。お店にある父専用の工房が吹き飛びましたね。このことをママに知られると怒ること間違いないので、父は秘密にしているのです。接客中のスタッフも突然の大爆発に驚いていましたよ。特にニン・キスギさんが。


 そして、魔石は木端微塵になりました。砂みたいに細かくね。どうにか利用できないかと考えた結果、僕のおもちゃに利用しようと粘土を作ってくれました。だからこれは砂で作った普通の粘土なのです。


 

「メンテちゃんは何か知っているのかしら?」

「ぱんぱー」

「そうね。この粘土はパパに貰ったのよね?」

「あくしー」

「あくしー? タクシーのことかしら。タクシーも一緒にいたの?」

「えぐえぐ」←ニコニコ笑顔

「フフッ、正解だったみたいね。メンテちゃんもだいぶしゃべれるようになったわね」



 言葉が伝わったのか嬉しそうに笑うメンテを見て、粘土の作り方なんかどうでもよくなるレディーであった。もちろんこれもメンテの作戦である。誤魔化すのが上手い赤ちゃんであった。



「出来た―、ママ見て見てー!」

「あら、上手に出来たわね。アーネもパパに似たのかしら」

「えへへ~」

「あーえー、あえー!」



 アーネは母の顔を粘土で作りました。結構似ているのです。僕も何これすごいとアーネにくっつきます。僕も何か作りたくなってきましたね。



 よし、僕も何か作りましょう!



 僕はまだアーネみたいに器用に動かすことは出来ません。それなら大雑把に見ても何か分かるものがいいかな?


 う~ん、そうだ! クリスマスツリーでも作りましょう。今日はそんな気分なのですよ。


 まずは丸太みたいな棒を作ります。そのあとは、この丸太に適当なサイズの粘土を付けて広げます。まるで葉っぱが生い茂っているように見えるはず。最後は飾りですね。ツリーのてっぺんには星があるものですが、僕の手ではまだ難しいので他の物を作りましょう。



「えっぐー(誰か来て―)」

「あ、メンテが呼んでるよ」

「どうしたメンテ?」



 近くにいたレッドとブラウンの2匹が近づいてきます。その間に僕は粘土を丸くしながら床に置きます。



「えっぐ(これ踏んで)」

「え、これ? これは大丈夫なやつ? なんか怖いんだけど」

「にゃはは、メンテが遊んでいるし安全だよ。簡単そうだから俺がやろう」



 ブラウンが粘土を踏みつけます。すると肉球の模様が付いた粘土が出来ましたよ。これを持ち上げてクリスマスツリーの上に付けます。これで完成です!


 さっそく母に見せましょう。



「まんま。にゃーにゃ」

「すごい大きなキノコね。特にこの一番上にある猫を使ってるのはすごいわね。もしかしてメンテちゃんって独特のセンスがあるのかしら?」

「メンテのキノコすごーい!」

「えぐえぐ」



 僕はそれキノコ違うよと言いますが全然伝わりませんでした。なんとなく残念なクリスマスになりそうです。



「私もやりたい! 猫ちゃん来てー」



 アーネが近くにいたレッドを連れ去ります。これは僕の真似をするのかな?



「うわあ?!」

「えぐえっぐ(アーネも僕の真似をしたいんだって)」

「え、じゃあこれを踏むだけでいいの?」

「えぐ(そうだよ)」

「それなら安心かなあ」



 アーネは僕の真似をして粘土を床に落とします。そして、粘土を平らに広げました。何だか僕のときより粘土の量が多いですね。



「猫さん、大人しくしててねー」

「うぐぅ(準備するから待ってだって)」

「御意」



 それから1分ぐらいで準備が出来ました。



「猫さん、動かないでね」

「えっぐ(動かないでだって)」

「御意」

「じゃあ押すよー」

「えぐ(今から押すって)」

「御意」



 アーネはレッドの足を掴むと思いきや、頭を掴みました。……ん?



「にゃ?」



 そのまま顔面を床にある粘土目がけて押し付けました。それはもう思いっきり。



「にゃああああああああああああああああああああああああああ、ぐふっおおおお?!」

「レッドォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー?!」



 子供は残酷ですね。加減をしらないのですごい勢いでしたよ。レッドは鼻を押さえながらピクピクと震えています。これはひどい。


 そして、出来上がった猫の顔を母に見せました。



「えへへー。ママ出来た。猫さんのお顔ー!」

「ちょっとアーネ?! さすがにそれはかわいそうよ。ちゃんと謝りなさい!」

「えー。猫さんごめんなさい……。あとで何かおやつあげるね」



 まあ怒られて当然の結果でした。子供の無邪気さはときに怖いのですよ。



「んぐぅ(アーネがごめんだって)」

「「お、おう………」」

「えぐえっぐ(それとあとでお菓子あげるってアーネが言ってるよ)」

「「――! 御意!」」



 いろいろハプニングはあったが、粘土遊びを楽しむメンテであった。




「レッド、鼻はもう大丈夫か?」

「……にゃんとかね。教会じゃよくあることだし。それにしてもあの二人似てるよね」

「そうだな。メンテもメンテの姉もやることがそっくりだ。さすが兄弟ってところじゃないか?」

「だねー」



メリー・クリスマス!

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