116話 「猫と交流する その12」
シロ先生、レッド、ブラウンの3匹が教会に帰ってから数日後の午後。
「メンテ様。今日もお友達が遊びにきましたぞ」
「えぐ?」
今度はシロ先生がピンクとオレンジとイエローを連れてきました。全員メス猫です。名前の由来は色なのですよ。
え? 猫の模様が何か気になるの? それはご想像にお任せします。あなたが思った模様がそのまま猫の模様になるのです。ハートであればハートの模様の猫がいても問題ありません。ここは異世界ですから。
「あ、このお菓子おいしい~」←ピンク
「この水、すごく甘~いにゃ」←オレンジ
「ところでメンテは何をしているの?」←イエロー
「さっき言葉をしゃべる練習してるんだって言ってたわよ。暇だから見ていようかしら」
「「「それいいにゃん」」」
もはやただの猫の女子会であった。メンテのお家に来るとおやつを貰えるようになったのである。
その頃のメンテ。レディーはメンテに白い卵を見せていた。
「メンテちゃん、これは何?」
「えっぐ」
「正解! メンテちゃんは賢いわね」
頭をよしよしと撫でられるメンテ。今度は赤色の大きな卵を持つレディー。
「メンテちゃん、これは?」
「うぐぅ」
「え? 何?? 聞こえなかったからもう一度言ってみなさい!」
「え、えっぐ」
「そうね、これも卵。だからエッグよ。正解よ」
よしよしされるメンテ。今度は茶色の小さな卵を持つレディー。
「メンテちゃん、これは分かるよね?」
「……あぐ」
「間違えたら今日はおっぱい禁止ね」
「え、えっぐー!」
「そうよ。賢い子は好きよ」
「えへへ、メンテすごいねー」←アーネ
様子を見ていたアーネにも褒められるメンテ。いったい何をしているのだろうか。アーネはピュアな心を持つ優しい子なのでこの状況に疑問を持たないのだ。
「と、父さん。大変だ! ママが壊れたよ!!」←アニーキー
「はっはっは。ママはメンテにしゃべる面白さを伝えているんだよ。ママはアニーキ―が小さいときもあんな風にママって何度も言わせてたなあ」
「え?! それは知りたくなかった……」
◆
猫の女子会の翌日。
今日はレッドがオスの猫達を連れてきましたよ。その猫達を僕は色的にブルー、グリーン、パープルと呼んでいますよ。みんなやったー、名前貰えたと喜んでいるので特に問題はないでしょう。名前は色で統一なのです。決していろいろ名前を付けても覚えられる気がしないし、こっちの方が楽だとか思っているわけではありませんよ?
もう気付いた方がいるかもしれませんが、この世界の猫はカラフルなのです。そんな変な色やら模様の猫がいるわけないだろと日本の常識で比べてはいけません。だってここは異世界ですから。いるものはいるんです。柔軟な思考を持てる人は素敵ですよ。
で、このオス猫達は僕のお家を探索していました。何やら黒い影を見たやら視線を感じたとか恐怖体験を語っています。まあその正体はこのお家で雇っている人なのです。悪さをしないか監視しているだけでしょう。猫達の反応が面白いので黙っておきましょうかね。
「メンテちゃん、ママとパパどっちが好き?」
「うぐ……」
「え? ママじゃないの? じゃあ今日で卒業ね」
「ああ(ママ)」←焦るメンテ
「ん~、よく聞こえなかったわ。もう一度言えるかしら?」
「ああー(ママ―)」
「あら。上手になったわね。でもパパとも聞こえるから回数減らそうかしら」
「ああああー!(ママママー!)」←必死
「そうね、その調子よ。頑張れメンテちゃん!」
「あんあ。あんまぁー!」
今日もメンテはレディーによってしゃべる特訓をしているのだ!
「さっきからメンテ何してるの?」←レッド
「発音の練習とか言ってたよ」←ブルー
「へえ。そうなんだ」←グリーン
「応援でもしとこうか。頑張れよ、メンテー」←パープル
「「「メンテー、ファイトー!」」」
赤ちゃんも大変だ。メンテも頑張っているなあと思うオス猫達であった。
「父さん。あれで本当にしゃべれるようになるの?」
「はっはっは。正直パパもよく分からない。だが二人とも頑張っているみたいだぞ。応援しようじゃないか」
「だよね……」
◆
ここ最近はシロ先生がいなくても猫が遊びに来るようになりました。最初こそシロ先生にどうすればと相談している猫の姿をよく見かけましたね。今では誰でも我が物顔で僕のお家に遊びに来ますよ。つまり慣れたってことです。今日も数匹の猫が部屋の隅っこで寝ていますよ。
ちなみに猫達は僕が変身出来ることを知っています。毎回夜中になったら変身したからね。秘密にしないとこのお家のご飯は一生食べれない、それとタクシーを呼ぶと言うとすぐ絶対に言わないと約束してくれました。
この調子でどんどんお友達を増やし、この世界や町の情報をもっと知りたいですね!
「まんあー」
「どうしたのメンテちゃん?」
「うー」ぎゅ
「あらあら。本当に甘えん坊ね」
僕は母にぎゅっとくっついて甘えます。だいぶ発音がよくなってきました。自分でもびっくりするぐらい成長しています。しゃべれる日はそう遠くないでしょう。
少し離れたところでアニーキ―とダンディは、レディーとメンテの様子を見ていた。
「う、嘘でしょ!? 父さん、メンテの発音力が上達してるよ?!」
「はっはっは、本当だな……」
「何であれ(母さんの謎の特訓)でしゃべれるようになるの?!」
「はっはっは、それはパパにもさっぱり分からん。でもママは教えるのが上手なんだよ。アニーキ―も小さい頃はお菓子の力でしゃべれるようになったなあ。アーネは絵本を読み聞かせたら言葉を真似していたよ。ママはみんなの個性に合わせて言葉を教えているんだろう。パパにはとても真似出来ないな。はっはっは!!」
「へえ……(ん? 兄弟の中だと俺が一番単純な赤ちゃんだったの?)」
実際、レディーはメンテが言葉を少しずつ理解してきたのを利用したのである。メンテにおっぱい卒業と言えばとすぐ必死になる。だから発音の練習させるのは簡単だった。母は何でもお見通しなのだ。
猫の友達も増え、体も順調に成長していくメンテであった。




