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104話 「変身魔法 その3」

 兄貴の本を調べたところ、少しだけ収穫はありました。


 僕は魔力操作を上手に出来ないので方法を探してみたところ、関連しそうな内容の本が何冊かありました。でも魔力操作は個人差があるとか気合だとか年齢だとかバラバラでした。言葉が大事だというあの本はゴミ箱に突っ込んでおきましたよ。ナイスでしょ?


 ただどの本も「魔力は使えば使うほど上手になっていく」というのが結論でしたね。



「……んぐぅ(ギフト)」



==========

【メンテ・ナンス】

 年齢 1歳

 性別 男


 所持スキル

 ・暴走

 ・ものづくり

 ・器用

 ・配合

 ・猫魂

==========


 みなさんギフトを見てお気づきかもしれませんが、この世界にレベルという概念はなさそうです。でもスキルを使うほど上手になるということは、隠れた経験値とか熟練度はあるかもしれませんね。


 まあ地道に頑張っていこうと思います。



「メンテちゃ~ん」



 おっと、母が来ましたね。


 僕はギフトを閉じます。何回か使ってみたところ、念じれば閉じるのを発見しました。あと何も言わなくても心で念じてもギフトは自由に使えます。おかげでこっそりと隠れて確認出来るんだよね。



「えぐううう!」タタタタッ

「教会に行くわよ」

「うぐ!」ぎゅう

「はいはい、楽しみなのね」

「えっぐ!」



 今日は教会に遊びに行きます。いつも通り僕、母、兄貴、アーネ、カフェさんの5人ですね。


 では行きましょう!



 ◆



 教会に着きました。


 ベビーカーから降りると、今日は母と一緒ではなく子供たちと遊びたいアピールをします。



「あら、珍しいわね。みんなと遊びたいのかしら?」

「えっぐ」ニコニコ

「じゃあ俺がしっかり見とくよ」

「助かるわ。メンテちゃんをよろしくね」

「さすがアニーキ―様です」

「あはははは。俺メンテのお兄ちゃんだし」



 兄貴のおかげで母から離れることに成功しました。僕の兄は頼れる兄貴なのです。



「メンテもみんなと遊ぼー」

「きゃきゃ!」



 アーネが僕を引っ張ります。



「あ、メンテくんだ。」

「「「「「「「「「「わーーーー!」」」」」」」」」」

「きゃきゃきゃ!」



 教会の子どもたちに囲まれちゃいました。僕、大人気です!


 みんなで庭の中を走ります。ボールで遊びます。僕の前におもちゃを持って来たりと教会の子どもたちは遊んでくれますね。赤ちゃんの扱いに慣れているせいか全然人見知りしないです。むしろ積極的に遊んでくれます。


 この小さな体だと子供の遊びもなかなか楽しいですね。



「フフッ、メンテちゃん楽しそうね」

「そうですね。メンテ様は全然人見知りしないのですぐ仲良くなりますね」



 こうして教会の子と仲良くなったメンテであった。



 ◆



 ……相手は子供だからと舐めてました。あいつらは体力おばけなのです。有り余る体力で走りまくるのです。いつまでもどこまでも走り回ります。頭がおかしいのですよ。ただのクレイジー野郎です。


 僕は1歳ちょいでやっと走るのに慣れたところです。全然ついていけません。



「はぁはぁ。うぐぅ……」



 おかげでこのざまです。息苦しいです。あいつらの体力おかしいよ。誰か助けて~。



「メンテ疲れちゃったね。中で休もうか」

「……えぐ(うん)」



 兄貴に連れられて教会の中で休憩です。アーネはあいつらと遊んでいますね。僕の姉も体力おばけの仲間だったようです。裏切り者です。



「ふぅ~」



 兄貴が背中をトントンしてくれます。落ち着いてきました。そろそろあいつら……ではなく教会の子と戻しましょう。



「アニーキ―くん、何してるの?」

「弟が疲れちゃってね。モドコはどうしたの?」



 この人は兄貴の友達のモドコ・キスイダさん。僕のお家ではメイドとして働いているので顔見知りです。



「アニーキ―だ。おーい、こっち来いよ!」

「今日来るって先に言っておいてくれたら出迎えに行ったのに」

「悪い悪い。今日は弟がいるんだ」



 兄貴と同じぐらいの年齢の男の子が二人やって来ました。年齢的には小学校の中学年あたりでしょうか? この教会の子の中では年齢は高い方ですね。



「へえ、この子が。近くで見るは初めてだ」

「僕たちお兄ちゃんの友達だよ。よろしくね」



 この二人は兄貴と同級生的なのでしょう。兄貴にしては珍しく話し方に遠慮がないのです。僕が見た感じはやんちゃな感じのする男の子と、少しおとなしめな男の子だなって思います。


 僕は兄貴の友達はモドコさんしか見たことなかったので、女友達しかいないんだと思っていました。ちゃんと男友達もいるようで安心しました。


 ここは兄貴の弟としてしっかりと挨拶をしたほうが良いでしょう。いつも通り目をキラキラに輝かせて二人を見つめます。首を少し傾けて可愛らしい小さな声を出すのです。僕定番の必殺技ですよ。



「えぐぅ~?」



「お、おう……」

「アニーキ―と違って可愛いね」

「メンテくんはお屋敷でも可愛いくて人気だよ。アニーキ―くんと違って」←モドコ

「……ちょ、お前らー!」

「「「わー(笑)」」」



 みんなにいじられた兄貴が追いかけ始めました。そして、友達はダッシュで逃げます。うん、みんな走るの早いねえ。絶対追いつけないので座って待ちましょう。


 とりあえず挨拶は大丈夫かな。兄貴のいじられた件は僕悪くないよね?



 ◆



「あら、メンテじゃない」



 兄貴が走って3人を追いかけている姿を見ていると、こちらに気付いたシロ先生が近づいてきました。



「えっぐうう!(あ、シロ先生!)」



 この白い猫はシロ先生。この教会で仲が良い猫です!


 僕は会えたら話がしたいと思っていました。猫について調べるなら猫に聞くのが一番最適なのです!



「あぐぐう、ぐうう!(ねえねえ、聞いて聞いて!)」

「どうしたの?」

「うぐぐぐぅうう!(僕は猫になれるんだよ!)」

「はいはい。そうなのね」



 赤ちゃんのたわごとねとしか思っていないシロ先生である。



「んぐー。えっぐ(今誰も見てないね。じゃあ見てて!)」

「はいはい、見てますよ」←全然信じてない



「えぐぐぐぐー(猫魂)」



 今回は魔力を使わずに変身しました。これだと僕が変身したって分かるからね。それに派手に変身魔法を使ったら見つかっちゃいますよ。



「にゃあ(ね?)」

「……」

「にゃにゃ(あ、誰か来るから戻るよ)」

「……」



 そして、人間の赤ちゃんに戻ります。もちろん戻る姿も披露しますよ。さっきの変身を逆再生するような動きになります。これで僕が猫になれるんだと分かるよね!



「うぐぐ?(すごいでしょ?)」

「……」

「あぐ~?(シロ先生?)」

「……」

「えぐぐ?」←指でシロ先生をツンツンするメンテ

「……」パタッ

「……えっぐ?!(先生?!)」



 シロ先生は目を開けたまま気絶したという。



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