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102話 「変身魔法 その1」

前回までのお話

奇跡の一日? だった。

 深夜。大人達が寝静まった頃にメンテは行動を始めた。



「えぐぐぐぐ~(猫魂~)」



 スキルを発動するとすぐ猫の姿になりました。



「……にゃ」



 声も変わっていますね。まあ赤ちゃんのときもえぐえぐ言ってるので大差ありませんが。



 今、僕はこのユニークスキルを調べています!



 やはりこれ完全に猫ですねえ。鏡の前に移動すると小さな黒い猫が見えるでしょ? その猫こそ僕なのですよ。猫になっちゃうのは夢ではなく現実だったのです!


 こんなの嘘だーと思って何度やっても猫になっちゃうんだよねえ。スキル名に猫って言葉入ってるしさ。受け入れるしかないよ。


 で、不思議なことにこの猫の姿のときは眠くないです。でも人間の赤ちゃんに戻るとすぐ睡魔がやってきますね。そんなわけで毎日ではありませんが、たまたま夜中に起きたときはこうやってスキルを発動させているんだ。みんな寝てるから検証するにはもってこいなんだ。



 この猫魂について分かった事ですが、このスキルを使うと僕は猫になります。髪の色と同じ黒っぽい姿の猫ですね。それはいいのですが、何度変身してもこれはおかしいなと思うことがあります。それは魔力を全く消費しないことです。


 トマト兄弟は言っていました。動物の力は魔力を消費をすると本来の力を出せる。そして、メンテくんは可愛いなあと。


 僕の場合は何もしなくても100%猫です。人間成分は、なんと驚異の0%! 二足歩行の猫ですらありません。どう見てもただの猫です。正直、本人ですらそこらへんの猫と見分けがつきません。



 これだと変身というより他の生き物に変わってるというレベルなのです。骨格が違い過ぎますよ。まあ今のところ問題はなさそうなのですが。



 あとは身体能力も普通の猫と変わらなそうです。最初はただ猫になっているだけかな? と思ったのですが、1つだけおかしなところが。それは、この猫の姿で魔力を使ってみようとすると普通に出ちゃうんです。何故かそれが当たり前のようにね。なんというか感覚が研ぎ澄まされるような力を感じるんだ。不思議な猫だねえ。



 ってそれ猫というより魔物じゃない……?


 いやいや、僕は人間。だから猫に変身しても魔法が使えるのは普通だよね!


 

 まあ人間でも猫の姿でも魔力操作が出来ていないので、まだ何とも言えない状況ですね。集中すると体から魔力が出るだけで魔法にまでなりませんから。勝手に魔力が出るだけなのは変身前後で同じなのですよ。



 今のところ分かってるのはこれぐらいかな? 僕は猫についてあまり詳しくないので、今度シロ先生に会ったら相談しようと思います。きっと魔法使う猫もいるよね。



 ……あ、もうひとつだけありました。その変身に関することですよ!


 猫に変身中の僕はどうなってるんだろう? と気になったので、鏡の前で猫魂を使ってみたのです。


 最初は、体がぐにゃっと小さくなったかと思うと猫になっていました。少しずつ体が小さくなりながら毛深くなり猫になるってイメージです。アニマルパワーを使って変身していくトマ兄と似てますね。


 何回やってもこんな感じの変身だったのですが、たまたま魔力を発散しながらやってみたときに変化がありました。魔力を使うと白い煙が出て、気付いたら猫になっていました。



 まさか……? と思い魔力を使って変身してみると、面白いことが分かったのです。



 1回目は、(まばた)きをした瞬間に猫になっていました。


 2回目は、ぽんっという音とともにゆっくりと猫になりました。


 3回目は、謎の光に包まれて猫に変身していきました。そのまま猫になったかと思うと、部屋中にまぶしい光が広まりました。これは変身完了の合図でしょうか? 両親が起きそうになったので焦りましたがね。


 こんな感じで人間のときに魔力を出しながら猫魂を使うと、変身するときの演出が変更出来ちゃうのです。さらに変身のスピードも早くなったり遅くなったりと調整出来ますね。


 途中で気付いたのですが、こんな風に変身したいなと思えばだいたいその通りになるのです。つまり僕の想像がそのまま変身時に影響するわけですな。


 今日は静かに暗闇でも目立たないような変身をしたいなと思いました。すると黒い闇みたいなものに覆われて猫になっていましたね。これでは暗黒の力を持った化け猫じゃないですか。



 いやいや~、変身シーンがこんなに豊富だと漫画やアニメでは面白そうだね。この変身に関しては自由自在なのです。秘密を隠すにはぴったりの能力だと思いますよ。



 よし、これを僕の変身魔法と呼びましょう! 僕の初めての魔法なのですよ。まあ本当にこれが魔法かどうかは知らないけど別にいいよね?




「んん……」←レディー




 僕はびくっとしました。母が寝返りをしただけですが。


 もし今起きたら僕の姿がバレちゃうね。よし、父の側に移動しましょう!



「にゃ……んぐぅ~」



 変身を解いた瞬間に眠くなってきました。やっぱり僕は猫ではなくただの人間の赤ちゃんですね。ではみなさんお休み~。



 ◆



 そして、朝。



「ん、腕が痺れてる……ってメンテが腕に乗っているのか」

「ぐぅ~すぴ~」

「メンテは寝ていても甘えん坊だな。でも少し動かすぞ」

「ぐぅ~すぴ~」

「はっはっは、今日も良く寝ているなあ。大きくなるんだぞ~」



 変身した日は起床時間が遅くなるのだが、よく寝ているなあとしか思われていなかったという。



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