第十話 そして十連へ
それから俺はというもの、十人のNを引き連れて冒険を始め、気がつけば全ての敵を十人がタコ殴りにするという力押しで戦っていた。
赤い髪のイチカ。
一番初めのガチャ人だけあって、先行しての露払いや初撃に特化した能力が開花し、先制攻撃では誰にも引けを取らない。
青い髪のニコ。
命名した時に髪が長く伸びて体格も女性的になった。リーチを活かした攻撃が得意で敵の間合いの外から攻撃して一方的な戦いを展開する。
黄色い髪のサンディ。
明るく元気なこの娘は大振りだが強い一撃を得意とする。他の娘たちが手数で勝負する中、最後の一撃を決める事が多い。
緑の髪のシーラ。
再生と回復能力が高いこの娘は多少の攻撃であればすぐさま回復できる。長期戦になった時も休憩を挟みつつ再投入する事ができる。
ピンクの髪のイツキ。
太刀筋が美しく敵をも魅了する程の剣舞で攻撃する。普段の生活でも美に関しては他の娘たちよりも意識する事が多く、服装にもこだわりを持つ。
紫の髪のロクサーヌ。
視野が広く的確な指示をしつつ宣戦を維持する能力に長けている。十人の中でも戦術に精通し、局地戦での展開から全体の趨勢を好転させる程の策略家でもある。
水色の髪のナナミ。
穏やかで大人しいが、事ある時には荒ぶる海のごとく敵を飲み込む程の圧倒的な攻撃をみせる。包容力があり他の娘からも信頼が厚い。
若葉色の髪のヤエ。
無邪気で自由奔放のトラブルメーカーだが、幸運に恵まれているのか全ての失敗が結果としてよい方向へと進んでたりもする。
銀髪のキューティー。
研ぎ澄まされ、洗練された戦いは急所を狙う剣術に昇華されている。同様に言葉一つ一つも核心を突くような尖ったものだったりもするため、少し敬遠されるきらいがある。
黒髪のジュリエッタ。
長いストレートの髪型が物静かなたたずまいと相まって、味方には安心を、敵には不気味さを与える。どこからともなく現れる奇襲攻撃が敵の急所を的確に捉える。
「なんだかんだいって、皆に助けられているよ。ありがとうな」
「そんな、こうして召喚してくれたナツ様がいてくれたからこそ、私たちがいるんです」
「そうだよナツくん、あたいらは素材にされる事が多いNの中でこうして育成してくれるなんてさ、ほんと、恵まれていると思うよ!」
他の皆もうなずいていた。
「そう言ってくれると俺も嬉しいよ」
「これからもついていきますから、よろしくお願いしますね、マスター」
俺は十人のノーマル少女たちを連れて冒険を続ける。
その後俺たちは全員でのタコ殴り戦法で、竜の親玉を倒し、邪教の教祖を追放し、世界を破滅に導こうとした魔神を消滅させ、国を救った勇者になるのだが、それはまた今度語るとしよう。