魔法の検証 2
「ここで役に立つのがスマホなんだけど……」
スマホを取り出したい。と左の掌を上に向け、指輪を意識してみると…、スッとスマホが現れた。左の掌に。
「おおお!これがアイテムボックスの使用感かぁ」
まさにファンタジー!便利過ぎ!
逆に、簡易アイテムボックスに入れたいと指輪を意識してみると、これまたスッと目の前からスマホが消えた。
魔法を使うっていうのが、こういう感覚なんだろうか。なんか嬉しい。初体験!
指輪をはめた左手での接触と、出し入れしたい対象物を明確に意識することが、必要な条件のようだ。
スマホの充電がそれなりに減っていた事から、時間停止のチート機能はないみたいだな。やはり『簡易』。安定の【イージーモード】潰し。だが俺は負けない!
「『簡易』とはいえ『アイテムボックス』だ」
『5/10』という分数表記から、入れられる最大数は『10』である事。更に『一式』という表記から、何かでまとめてしまえば『1』つとしてカウントしてもらえるであろう事。
サイズや重量、その他の制限については別途検証が必要だけど、充分な性能を有しているといえる。何度でも言いたい。ありがとう。
次いでモバイルバッテリーソーラーチャージャーも。今度は左の掌をテーブルに近づけて意識してみると、同様にスッと現れた。落下の衝撃とかで破損させたくないからね。これ大事。
「充電はまだ大丈夫そうだけど、アンテナは……圏外みたいだな」
一応、通話、メール、メッセージアプリ、ブラウジングを試してみたけどダメだった。アンテナ立ってないんだから、当然だわな。悲しいけど仕方がない。
なら、バッテリーが勿体ないから【機内モード】に設定しときますかね。
案外馬鹿にならないんだよね。通信機としては役に立たないが、それ以外のスマホの機能を使う分には、全く問題ないし。むしろ電波をさがそうと余計にバッテリー使っちゃうからな。
これでソーラーチャージャーに接続しておけば、バッテリーの心配はまずいらないだろうな。ちょっと高かったけど奮発して買って良かった。バッテリー付き!
更に、ダウンロード済みの電子辞書、購入した電子書籍、図鑑等々。スマホがあって良かった。
「ふふふ。患ってると言われようが、こうして役に立つ時がきたわけだからな。俺は正しかったということだ」
まあ、言いふらしたりしたわけでもないし、知識欲もあって購入しただけなんだけどね。
書店で買うより恥ずかしくないし……
サバイバルマニュアルとか、人体図鑑とか、料理本とか……
機種によってはできないかもしれないけど、隠しフォルダ作ったりとか、非表示設定が選択できれば、ひと手間加えないとファイルを見つけられなくする事も簡単にできるしな。
スマホを操作し、正常に電子書籍が読めることを確認。
「よし。これで科学的な知識に基づいた『生活魔法』の検証が捗るぞ!ふふふ…」
読んで頂き、ありがとうございました。