検証の結果 2
そうなんです。
今更だけど、小屋から出てみたんです。
勇気を出して。
検証の誘惑に堪えられずにね……
ピカーッ! とか、イベントは起こりませんでした。
これでもドキドキしながら、そぉっと戸を開けてみたりもしたんです。
この小屋は山小屋でした。
山のなかでした。
遠くに町が見えました。行ってみたいと思いました。
………
戸を開けると、広場?って感じの開けた平地で、薄らと獣道が正面に続いていました。
これを辿っていけば、大丈夫なんじゃないかと思うような光景です。
また言います。
「ありがとう」
何かにお膳立てされているかのような状況としか考えられないんだけど……
「考えても仕方ない。疲れたから風呂入ろう」
………
ちゃぽ~~~ん
「ふ~~。いいね。やっぱ風呂はいいね。正義だね」
《浴槽作成》大人1人が足をゆったり伸ばせる大きさ
(1500×700×400mm、容量約420L)
《お湯張り・40度》温度設定可能
《スノコ作成》脱衣場用
《テーブル作成》着替え置き
《磨き》でそれぞれの表面を整える
《土壁》で衝立も設置できるけど、一仕事終えた開放感からか、テンションがおかしくなっているのか、ただ面倒臭いだけなのか……、シンプルに露天風呂を楽しむ事にした。もしもの時には、アイテムボックスからの《土壁》もあるし、《石弾》も練習したばっかだしね。
「おっ、結構旨いな。噛みごたえがあって、じわりと旨味が出てくるな。」
夕食は、小屋にあった保存食で済ますことにした。お決まりの塩辛くて不味い干し肉ではなく、それなりにいける味で、全く問題ないレベルだと感じた。
《飲料水》を《コップ》に注いで水分補給。
「くぅ~~~、悪くない」
悪くはないんだけど、ビール飲みたくなるな……
………
「ふぅ~。なんかこの状況を受け入れちゃってるよなぁ。
いいのかなぁ。ヤバイよな、やっぱ。神隠しとかか?間引かれちゃった?何かやっちまったのか?おとなしめに過ごしてきたと思うんだけどなぁ……
「はぁぁ~~~」
落ち着ける時間って大事。《水》の効果か?
「ぼちぼち上がりますかね」
浴槽の縁に手を置いて《排水》《解放》で、スーッと水と浴槽がなくなった。どこにいったんだろうな?
疑問に感じつつも、自身に《洗浄》。
さぁ~~っと、頭からつま先に向かってゆっくりと心地よい水の流れを感じる。熱くもなく冷たくもない。いい湯加減ならぬ、いい洗浄加減?
あっ、特に光りはしなかったよ。水の流れみたいなのを感じただけで、妙にサッパリした感じ。しかも乾燥機能付きで、風呂上がりなのにタオルいらず!
凄いよこれも。売れるね!いや、売っちゃうよ、売れるなら…
……入浴終了。
「あぁ、いい湯だった」
まさか初日から風呂に入れるとは思わなかったな。
山ん中で風呂に入るなんて、どんなけ贅沢なんだよ。しかも、ゆったり足を伸ばせる浴槽で。
水を漏らさないでっかい桶とか作成して、大量の水用意して、お湯にして、温度調整して、安全確保して、排水して……
って、もう大変。生活魔法万歳!
「安眠するためにも、今日は簡単に囲んでおきますかね」
こんな訳の分からん場所で、何もせずに、枕を高くして寝られるような神経してないからね。結構デリケートなんです。
《土壁》の上限(長さ・幅、各100cm、厚さ20cm)で上に重ねがけして、高さ2mの《土壁》を作成し、小屋を囲んだ。
物凄い圧迫感。改善決定だな。
小屋には窓もないから、朝真っ暗かも……
「それも含めて明日だ」
小屋に入り、寝床を調える。
《ベッド》《加工》《磨き》
シングルサイズ(200×100×45cm)の石のフレーム。勿論マットレスなんてない。このままだと流石に硬いので、コの字型に15cmほどの窪みを作り、《砂》を敷き詰めた。
その上に毛布を1枚被せて……完成!
枕は寝袋を巻いて、旅人のマントを腹に掛けて……
「おやすみなさい」
読んで頂き、ありがとうございました。