検証の結果 1
『我が生活の糧となり賜え、「試し打ち」《石弾》!』
握り拳から人差し指だけを対象に向けて伸ばし、ちょっと恥ずかしい『詠唱』を口にする。
ドシュッ!!
籠もった鈍い音と共に、ゴルフボール大の《石》が、《突風》を纏い、人差し指から打ち出された。
人差し指を銃身に見立てた空気銃。
ドッパーンッ!!
20mほど先に作った、だいたい30cm四方、厚さ10cmほどの《土壁》が豪快に砕け散った。
「……ヤベーやつだわ。これ…」
条件付きも納得。ただの打撲じゃ済まんぞ。当たりさえすれば、即死は無理でも致命傷確定コースでしょ。これ。
「……こえ~」
気をつけましょう!
はい!
で、いろいろ検証してみたところ、それなりの事ができるようになりました。
やれやれ。疲れたよ。
詳細は省くが、やはり限界はあった。
というか、【攻撃】に関しては条件付きだった。
そのひとつが『詠唱』。『生活魔法』という縛りを受けてか、殺傷能力のある【攻撃】魔法には必要だった。
そもそも『生活魔法』に【攻撃性】があるのはどうなんだって話だけど、それはまぁ、ねぇ。良い方向に解釈して頂けたと素直に喜ぶことにしましょうや。何方かは存じませんが……
ちなみに、【攻撃】以外の魔法は、意識を向けて、発動の『フレーズ(単語)』だけでいけた。
無詠唱での無双は厳しいらしい。やはりか。
「ヘンっだ!」
『詠唱』もいろいろ試した結果、これで最短だった。
こちらに危害を加えようとする、敵意ある者に関しては、
『我が身を守り賜え《》』でいけた。ちょっと短いでしょ。
『我が生活の糧となり賜え《》』は、食料確保のために、狩りをする事を想定してのもの。
内容にも何かしらの拘りがあるようだ。
誰が拘っているんだろう?……まぁいいや。
積極的に【攻撃】をしてはいけませんよ。『生活魔法』なんですよ。という事なんだろうなと。それなりに納得はできるので、よしとしよう。
《石弾》については、
《弾》となる《石》は、別途作ってアイテムボックスに入れてあったりする。それを指先に取り出し、射出!って感じ。
弾切れ要注意!
ちなみに、弾の大きさも大中小それぞれストックしてあり、任意選択可能だ(大は拳、中はゴルフボール、小はビー玉程の大きさ)。
地面に片手を付いた状態ならば、アイテムボックス内の弾を使用しなくても発動可能だったが、立った状態では、《弾》を作り出せなかった。
『手』が要のようで、これも『生活魔法』の限界というやつだと諦めた。
《土》と接触した状態での【攻撃】など、使い勝手が悪過ぎるので、弾は予め作成し、種別毎に保存する事にした。
的にした《土壁》については、
地面に線を書いてやれば、だいたいそれに応じたサイズの《壁》を垂直に立てられるようになった(上限は長さ・幅、各100cm、厚さ20cm)。
厚みは線の太さで、高さは、引いた線からのおおよそのイメージでもいけるようになった。
重ねがけができたので、今後の事を考え、予め規格を設定しておいた。《強化》込みで。
《土壁・大》(1820×910×120)(長さ・幅・厚さ)
《土壁・中》( 910×455×120)(単位はmm)
《土壁・小》( 455×455×120)
《土柱・大》(1820×120×120)
《土柱・中》( 910× 90× 90)
《土柱・小》( 455× 45× 45)
「うん。自己満足」
ただ、使う時に便利そうだから。それだけです。
ちなみに、長さは距離測定アプリを使ってたりするので、正確でないかもしれない……。
やっぱり『手』が要のようで、片方でも地面に触れていないと発動してくれなかった。
もちろん。とあるアルケミストみたく、パンって手を鳴らして両手をついても発動できた。
電気みたいなエフェクトはなかったけど、俺、感動。
鳥肌立った。
満足したから。今日はもう止めることにした。
なぜならば、
つい夢中になりすぎて、もう日が暮れてきたからです。
朝から飲み食いなしです。
はい。反省。
小屋の中だとやっぱ危なそうだし、かといって魔法の検証という衝動を抑えられず、外に出ちゃいました。
てへ。
………
読んで頂き、ありがとうございました。