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78:仲良しになった3人の日

リバイアサンの背に乗って浜辺にもどったリンと静香と美也子は。


幽霊船での出来事を忘れていた。


スコールのなかを『あれ?』と立ち尽くして。


降り始めた時と同じように、ふ、と雨は止んだ。


美也子は、リンと静香を見て。


静香は、美也子とリンを見て。


リンも、静香と美也子を見て。


「「「 あ! 」」」


と声をあげたのは誰が先だったか。


「虹だ!」


リンたちは3人並んで海の向こうにかかる虹を望見した。


「おい! 急いでカメラ回せ!」


監督が3人娘に聞こえないように声をおさえながら指示をする。


見事、この情景がCMに採用されるのだけど、それは後々のお話。


で。3人娘だけど。


「あんた……静香のそのバレッタ可愛いわね」


美也子が言った。


「え?」


と静香が髪留めに触れて。


内心で小首を傾げた。わたし、こんな物を持ってたかしら。


でも、そんな風に思ったのは一瞬。

それまで無視されていた美也子に話しかけられたことから、静香はわたわたしながらも


「美也子さんこそ、そのブレスレット綺麗ですね」


と言ったのだ。


あら? と今度は美也子が内心で小首を傾げた。

こんなの、着けてたかしら?


なーんて思ったのは、やっぱり一瞬。


ふふん、と得意げに唇の端をもちあげた。

見覚えが有るようで無いブレスレットはシンプルながらも美也子のセンスにバッチシ来ていたのだ。


静香と美也子は、お互いの目と目を見た。


なんだろう? 苦手だったはずなのに?

まるで友達……ううん、戦友めいた頼り甲斐を感じる。


どちらからともなく、笑みを浮かべて。


「静香っちもミャーちゃんも、仲良しだね」


リンがニコニコ無邪気な笑顔で、背後から2人まとめて抱き着いた。


「「 きゃー! 」」


コテンと3人一緒くたに転倒する。


「リンさん!」


「まったく、あんたは!」


静香と美也子が怒って


「ごめーん」


リンはペロリと舌を出して謝った。


そして撮影が再開された。


「う~ん」


監督はうなった。

これがうならずにいられようか?


リンと静香と美也子は、すっかり打ち解けて親しくなっていた。


「ええ!?」


と藤堂美也子らしくなく他人の目を気にしないで笑っているのに担当マネージャーが驚いて


「ふふ」


と美也子とリンに対等に接している伊佐静香に、キャリアウーマンなマネージャーは満足そうに頷いたのだ。


つまり。


撮影は絶好調だった。


監督が「午前中は何だったんだ?」と唸ろうはずである。


なんせ3人娘は、食事時でさえ一緒なのだ。

どうにも演技で和気藹々としているのではないようだった。


上手くいきそうな雰囲気に、ハラハラしていた達也も一安心である。


撮影期間は3日間を用意されていたけど、結局、初日で終わってしまった。

残りは自由時間となったのだ。


静香も美也子も、大喜びだ。


で~も。


リンは2人と遊べなかった。

だって、おうちをクーシーに任せたままにしてはおけないからね。


ということで。


「やだやだやだ! もっと静香っちとミャーちゃんと遊ぶんだ!」


駄々をこねる凛は


「駄目だ、だめだめ!」


「家に帰りますわよ!」


タックとチックに引きずられて……というのは物理的に無理なので、頭をペチペチと叩かれて、不承不承で沖縄から鏡をとおって、神奈川にある家のお風呂場へと戻ったのだ。


すっかり不貞腐れた凛。


でも、そこは凛。

夕飯がカレーで、一転してご機嫌になってしまうのです。


さてはて。

『はちみつとレモン』のCMはあまりにも出来が良かったので前倒しで8月になると同時に放映されることになった。


評判は上々。


美也子は素の笑顔を出したことで、男女問わずに好感度が大幅にUPした。

狙い通りである。


静香はいっきに知名度があがった。ドラマの出演と、次のCMも決まった。

もっとも。

CMソングになった歌の売り上げはイマイチだった。


これには北海道の兄たちからも


「おまえ、音楽の成績2より上になったことないもんな」


とわざわざ電話を寄越してまでからかわれた静香なのだった。


んで、リンはといえば。


「リン! 映画の主演が決まったぞ!」


と達也が喜び勇んで報告するのは、まだまだ先の9月に入ってからなのである。

これにてCM撮影篇は終わりです。


よろしければ、感想ください。

ここを直したほうが良いよ、てな感じの忠告もお待ちしてます!

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