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75:船長の無茶ぶりの日

船長キャプテンは綺麗な女の人だった。

海賊の恰好をしていて、ドクロ・マークついた海賊防に眼帯までしてバッチシだ。


腕組をして仁王立ちをしていた船長キャプテンは、骨骨が集まると


ドン!


と大きく地団太を踏んだ。


「アタシ、船長キャプテン! 偉いんだからね!」


「わかってます!」


骨骨たちがビシリと気をつけの姿勢になって応える。


「なら、なんでアタシを仲間外れにするかなぁ?」


半泣きである。

船長キャプテン、ガチ泣き20秒前である。

口許がふるふる震えていらっしゃる!


「な、仲間外れなんてしませんって!」

「俺ら、船長キャプテンのこと大好きですもん!」

「そうですよ!」


懸命におだて上げる骨骨たちだ。


骨骨の1人がしきりに目線をリンたちに寄越している。


参加してくれというのだ。


もっとも静香と美也子は異様ともいえる光景に圧倒されてしまっていたから


船長キャプテンさん、その帽子カッコイイですね!」


参加したのはリンだけだ。

物怖じしない子なのである。


リンの若やいだ声は良く通った。


「あら、そう?」


船長キャプテンがニヘリと口許をほころばせる。


「これ、アタシの手作りなのよね」


「スッゴイ!」


嘘偽りのない、リンの賛辞だ。

凛は10歳。中2病にはちょっと早いけれど、それでも海賊の帽子や眼帯に心惹かれてしまう年頃なのだ。


船長キャプテンはすっかり機嫌を直すと。


ビシリ! 右手の人差し指を高々と天に突き上げる『サタデーナイト・フィーバー』のポーズをとって骨骨たちを黙らせて言った。


「あなた達3人は、幸運にもアタシの船に招かれました。さぁ、アタシを満足させる芸を披露しなさい。ただしチャンスは3人で3回まで。無理だったら、2度と船から出ることはできないと思いなさい」


一方的な押し付けである。


「な、なにを勝手なことを!」


「わたしたち、来たくて来たんじゃないんです。何時の間にかココに居て」


これには黙っていられないとマクラを放り投げて美也子が、そして静香が異を唱えたけど。


船長キャプテンにギロリと睨まれて、2人とも顔を青くして言葉を飲み込んでしまった。

船長キャプテンの金色の目は瞳孔が爬虫類みたいに縦長なので、睨まれると超こわいのだ!


パン! と船長キャプテンが手を叩いた。


「では、10分後にはじめるから!」






船長キャプテンは骨骨たちが用意した椅子に腰かけると、グラスに注がれた琥珀色の液体を優雅に口にふくんだ。


ちなみに。ウイスキーじゃない。だたの麦茶である。


そんな船長キャプテン


「「 おい! どういうつもりなんだ(ですの)! 」」


とタックとチックが詰め寄った。


「あら、お久しぶり」


船長キャプテンが1本足のテーブルに乗った2匹に挨拶をする。


「それにしても。ふふ、ずいぶんと可愛らしい姿になって」


「んなことはどーでもいいいんだよ」


「はぐらかさないで、質問に答えなさいな」


「別に、はぐらかすつもりなんてないのよ。で、あの3人を招待した理由? ドリームワールドの救世主さまが、どんな子なのか確認したくなったの。あとの2人はおまけね」


「そんなことのために?」


「こんな大それたことをしましたの?」


ち、ち、ち、と船長キャプテンは人差し指を左右に振った。


「大それたと言うけど、アタシこれでも海の王者よ? むしろ艦隊を率いてこなかっただけ増しでしょ?」


それに、と続ける。


「アタシはドリームワールドのみんなから依頼されて、ココにいるの」


「「 なんだって(ですって)! 」」


「だって、考えてもみなさいな。本来の女の子じゃなく、しかも男の子に魔法の力を与えているだなんて、不安に思わない方がおかしいでしょ?」


「それは、まぁ…」


「わからないではありませんけど」


「だから、あの凛とか言いましたっけ? どれほどのものか、しっかり確認をさせてもらうわ」


「それは、まぁ分かった」


「ですけど、2度と船から出さないというのは本気ですの?」


タックとチックが、船長キャプテンを睨む。


「お~、こわいこわい」


おどけながらも、船長キャプテンは内心で冷や汗をだらだらと垂らしていた。


タックとチックは、それほどにヤバイのだ。

海の王者たる船長キャプテンでも勝てないだろう。


それでも、だ。


「半分は本気よ。あの子がそれほどでもないと思ったら、魔法の力は取り上げるわ。そして、別の女の子に改めて力を授けるわ」


ドリームワールドのためなのだ。

そのためなら、消滅をいとうつもりはなかった。


「わかった」


「わかりましたわ」


船長キャプテンの必死を感じ取ったのだろう、タックとチックはうなずいた。


そして言ったのだ。


「凛なら、あんたを納得させられるさ」


「凛こそ、魔法の力をもつに相応しいと思うはずですわ」


信頼を込めて、言ったのだ。


さて、その信頼されている凛…リンであるが。


「わ、た、し、は。う、ちゅ、う、じ、ん、だ」


喉を手刀でトントンしながら宇宙人の真似をしていた。


なんせ静香と美也子がいるのだ。

自分なんか必要ないだろうと、気楽なものであった。


果たして、タックとチックの信頼は届くのだろうか?!

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