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66:お久しぶりのクーシーの日

ぶつ切り風味で、ごめんね。

「ちょっとトイレ」


と何時も通りに変身の為にトイレに行って「ペペッチ、ポポッチ、レレンチカ。ポポッチ、ペペッチ、レレンチカ!」T〔天使に〕S〔スイッチ〕した凛である。


しか~し!

ここからは、何時もと違う。


リンは個室から出ると、トイレに誰もいないのを確認してから魔法の口紅を取り出して、鏡にタックとチックから教えてもらったドリームワールドの言葉を書いた。


意味は『クーシー』。


鏡が水面のように波だった。

そこに暗緑色の犬があらわれる。


「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん」


すっごい棒読みで、昭和生まれな人なら誰でも知っているアニメの決まり文句を口にしたクーシーだ。


「ぷっ」

「「 くくく 」」


聞いたリンと2匹のハムスターがクーシーにばれないように顔を背けて含み笑う。


召喚されたら、この決まり文句を言わないといけない。そんな法螺ほらを吹き込んだ悪戯っ子なリンと2匹なのだ。


凛は無理くりに表情を引き締めると


「変身、お願いします!」


「心得た」


鏡のなかでクーシーが『うにょん』とたゆたって、男の子に変わった。


凛だ。


凛(偽物)は鏡のなかから両腕を突き出して鏡のヘリにつかまると、プールから上がるみたいに鏡から飛び出した。


まるでブラウン管から這い出てくる貞〇さんみたいだ!

けど恐怖はない。

何故なら、貞〇さんはバブルが終わった頃の1991年の生まれなのだ。


鏡から抜け出た凛(偽物)は空中で華麗に1回転すると、リンの隣りに立った。


これこそが!

召喚魔法こそが!


笑顔ポイントをためた凛の魔法レベルがUPして、新しくおぼえた魔法だった。


この魔法……というか変身能力のあるクーシーを呼べるようになったからこそ、凛は時代劇の撮影にOKをだしたのだ。


だって、そうでしょ?


時代劇の撮影なんて、拘束時間がハンパじゃない。

それこそ呑気に学校なんて行ってられないほどだろう。


けど、クーシーが変身して身代わりになってくれれば、万事解決なのだ。


今までのように、縛りプレイをしなくてもよくなるのだ。

達也に迷惑をかけないで済むようになるのだ。


しかも、クーシーの偉いところは変身能力だけじゃない。


クーシーは、変身しているあいだの出来事を、寝ている凛に夢として追体験させられた。

これで何があったか凛も把握できるというわけだ。


なんてご都合主義なチート・キャラでしょうか。

言ってみれば、パー〇ンのコピーロボットである。


1家に1匹、マジ欲しい!


リンは何食わぬ顔でトイレを出た。

凛(偽物)はあとで合流だ。


「リンさん!」


ファン1号が目敏くも発見する。


「ご無沙汰だったね、姫くん」


時代劇の撮影スタッフとお喋りしていた万代ばんだいが、気づいて遣って来た。


「こんにちは、万代さん」


「おいおい、オレのことは『オジサマ』だろ?」


「だったね、オジサマ」


万代の名誉の為に言おう。彼は、そういう趣味の人じゃない。


姫くん、オジサマ、の関係は2人が意気投合する切っ掛けとなった映画が関係しているのだ。


映画とは。ルパン〇世カリオストロ〇城、である。

その話題で、2人は年齢を越えて、すっかり仲良くなることができたのだ。


因みに万代。コミックマーケットにお忍びで足を運ぶほどに深みにはまっている人である。まだまだオタクが世間に認知されてなかった時代だ。言うまでもなく、妻や反抗期を迎えている娘に理解してもらえるはずもない。そんな欝々としたときに出会えたのが、実の娘と同じくらいの年齢でありながらオタクに理解のあるリンだったのだ。


そりゃー、公私混同してリンに肩入れしてしまうってもんだ。


しかし、そんな仲良くなった映画のことなんて知らない大人たち。


若葉に達也に、加えて正彦は


『うわ~』


という顔をしていた。


「勘違いしてんなよ!」


逆ギレ風味で万代が説明をする。


そうこうしているうちに凛(偽物)が戻って来て


「さぁ! 始めるぞ!」


撮影がスタートした。






干原正彦(35歳)と月城万代(43歳)は気が置けない関係だ。


だから


「うちのカメラスタッフがよ、バイクですっ転んで大怪我しちまってさ。代わりに正やん、臨時のスタッフしてくんない?」


と万代が頼めば


「しょーがねーな」


と正彦が引き受ける。


という感じで、今回、正彦は撮影スタッフに加わっていた。


とはいえ正彦は外の人間である。同じ釜の飯をながいこと食っているスタッフに飛び入りだ。しかも『俺の出番か?』と意気込んでいたであろうカメラマンの助手は面白くない。


だから正彦はハブられ……な~んてことはなかった。


実は正彦。業界では腕っこきとして有名なのだ。

幾つもの映画でカメラマンとして表彰されて、ハリウッドからお誘いがあったぐらいなのだ。


だから、スタッフは敬意を払ったし、助手だって『技術を盗むぞ!』と張り切っていた。


え? そんな実力があるのに、何で正彦が地方の小さな会社に勤めてるのかって?


そこのところ、どーなんでしょうか正彦さん?


『僕はね、家族が大切なの。ムーちゃんと、凛との時間がなによりも大切なんだ。ハリウッドとかさ、大きな会社に勤めたら、忙しくて、家族との時間が取れなくなっちゃうでしょ?』


とのことです。


話しを戻しましょう。


さまざまな映画でカメラマンをしていた正彦は、おおぜいの役者を見てきた。

演技の巧拙だって、そんじょそこらの監督よりも分かる。


そんな正彦をして。


「へぇ」


うならせる演技を。


なんと!


リンがしていたのだ。

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