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学園長の出会い

大晦日ですね……早いです……





それから琉斗と燈真の勉強を見たり、2人が部活に入ると級長達の社交ダンスの練習に付き合ったりと、多忙を極めた。



今日はテスト前最後の日。

部活もダンスの特講もテスト期間ということで一週間前からなくなっている。


因みに社交ダンスは全員なんとかなった。

一番の不安要素は2人とも未経験者のD組だったけど、両者の持ち前の運動センスでカバーすることができた。

めでたしめでたし。


今、俺は学園の図書館に来ている。


清園学園は小等部から大学まで揃っていて、高等部まで図書館が共通だ。

つまり、図書館はそれなりに大きい。


俺は琉斗と燈真を自習エリアに残して本棚の間を歩いている。


やっぱり中等部、高等部共にテスト期間中だから本を見ている人は少ないな。


目指すは俺が小等部にいた頃に発見したこの図書館の当たりスポット。



この図書館の奥に、本棚に隠れた場所がある。

そこには丸い机が置いてあって、側には学園が見渡せる床から天井まで伸びる窓がある。

本が日焼けしてしまうのにどうしてそんなに大きな窓があるのか不思議だったが、学園の初代理事長の要望だったらしい。


本棚の迷路の最後の角を曲がったところに記憶通りの空間があった。

大きな窓から光が差し込み、まるでそこだけ時間がゆっくり流れているような場所。



おっと、先客がいたか。


陽だまりの中に1人の少女が座っている。

少女はいきなり現れた俺を見て


「ふぇっ?──あ、すみません!私以外にここを知っている人がいると思わなくて、びっくりしてしまって……」


少女は俺を見て驚いたようで、しどろもどろになっている。


長い、まっすぐな黒髪の色白の少女。

目鼻立ちは平凡だけど、どことなく儚い雰囲気を纏っていて、庇護欲を誘う。


「驚かせてしまってすみません。僕もここを知っている人がいるとは思いませんでした」


「あ、いえっ。私こそ、過剰に反応してしまって……」


「大丈夫ですよ、先輩。驚かせてしまったのは僕なので」


「先輩?!……えっ?一年生?!」


制服のブレザーの校章を見ると、彼女のは赤、俺のは緑。

赤ということはつまり、三年生。


ついでに言うと、高等部と中等部では制服が違うので中学生という線はない。


「はい、一年生です」


「あっ、すみません!悪い意味じゃなくて……ただ、年下には見えなくて……あっ、私、三年生の白羽かすみって言います!」


白羽、かすみ……………?


「気にしないでください、先輩。僕は柊紫安です。今日はお邪魔してしまったようで、すみません」


動揺を悟られないように、会釈してから背を向ける。


「また、お会いしましょう」


本棚の間に身を紛れ込ませてから考える。



白羽しらはねかすみはあのゲームで名前だけ登場したキャラだ。

彼女はゲームで柊紫安が生徒会長になった経緯上でとても重要な人物だ。


そして、俺は彼女の今の状況とこれからを知っているために彼女を不憫に思って、それを利用しようとしている自分に嫌気がさす。



「紫安?」


「何かあったのか?」


俯けていた顔を上げると、自習エリアにいたはずの琉斗と燈真が心配そうに俺を見ていた。

随分と情けない顔をしていたに違いない。


「ちょっと考え事をしていただけだから、心配いらないよ。戻ろうか」


2人は納得のいかない顔をしていたけど、何も聞かないでくれた。




「テストが終わって一安心したと思ったら、次はこれかよ……」


「ほーんと、もう疲れたー」


「西那様、シャキッとして、葛西様をしっかりリードしてあげてください!葛西様も相手に寄りかからないで自力で立ちなさい!」


「「はーい、先生」」


「佐東様も!自信のなさが足取りに表れてますわよ」


「はい!」


「柊様は……いつも通り完璧ですわね」


「ありがとうございます、先生」


「うぇー、バケもんかよ、柊」


「西那様!無駄口をたたかない!」


ただ今テスト最終日の放課後、最後のダンス特講だ。


「う、動きにくいですね、ドレス」


俺と踊ってるE組の大人しめの女の子、北川さんが小声で言う。


今日はできるだけ本番に近づけるために、女子は学園に借りたドレスを着て練習している。

男子はあまり変わらないので制服のままだ。


「当日のドレスの丈はこれくらいなの?」


「これより少し短いです」


「なら、これに慣れてしまえば明日はばっちりだね」


にこっ、と笑いかける。


「っ、はい!頑張ります!」


「(策士ですね)」


「(策士ですわね……)」


「どうかしたかな、小南君、南部さん?」


「「い、いえ……」」


俺らの近くで回っていたB組の2人が慌てて首を振る。

確かこの2人は最初からダンスはできていたな……


「失礼します」


はっきりとした声が部屋に響いて、如月玲奈が姿を現した。


「「「「………………」」」」


「先日は挨拶もなしに退室してしまったことをお詫び申し上げますわ。テストが終わりましたので、練習に参加せて頂きたくて参りましたの」


「あなたが如月様ですわね」


「はい。本番の前に柊様と一度でも練習をしておきたかったのですわ」


「……承知致しましたわ」


「ありがとうざいます、先生」


如月玲奈がほっ、と一息つくのが見えた。


俺は北川さんに一礼して、如月玲奈の元へ行く。


「こんにちは、如月さん。僕と一曲、踊っていただけますか?」


「はい……お願いしますわ、柊様」


にこりともしないで俺の差し出した手に自分の手を重ねた如月さんは、やっぱりあのゲームの如月玲奈とは少し違うように思う。


如月さんは周りの目を気にする、責任感の強い、少し不器用な、普通の女の子だ。







読んでくださってありがとうございます。


いつか級長達の紹介がしたいです。笑



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