折れる気持ち
〝別れよう〝
その言葉は頭を強く殴られたような感じだった。
『……拓人さん…
勝手すぎる…………結局肝心なことは何でも自分1人だけで決めて……………』
『…………………………ごめん』
わたしの手を握っていた手は離れ
拓人さんは背を向けた。
こうゆう時
どうしたらいいか分からない
でもきっと
拓人さんの気持ちは変わらない
私が今どんな事を言っても
叫び声を受け止めてはくれない…
それは今目の前にある背中がそう言っているから
『…………………私の方こそ色々とごめんなさい……』
私が悪いのが事実。
椿の件で拓人さんはずっと嫌な思いしてたんだから
わたしは、自分の私物を無言でバックにつめていった。
旅行用のバックを置いておいたのでそれを使った。
『…………………車で送るよ…………』
後ろから拓人さんがそう言った。
『…うぅん。………大丈夫。
そこまで量も多くないし。』
『………量の問題ぢゃないよ………。』
『…………ぢゃあ………何の問題なの?』
『…何も問題ぢゃないんだ…。
…………今俺が言ってることが分からなくていい。
ただ、時間も時間だし送らせてほしい』
そう言った拓人さんは笑顔なわけではないけど
何故か…優しい表情をしているように見えた。
別れるってゆうのに何でそんな表情をしているのか
わたしにはまったく理解できなかった
ただ、拓人さんの言葉に従う事しか出来ない自分がいた。
そしてそのあと荷物を準備してマンションへと送ってもらった。
拓人さんが車を止め、これが恋人同士では最後となる一言を言った
『……………………
………今までありがとう。………』
その瞬間わたしは
〝本当にこれが最後なんだ〝
改めて実感した
『……………拓人…さん………………』
わたしは遅い
あんなに大事にされていたことも
あんなに好きでいてくれたことも
今は別れを実感することも
こんなに好きだったんだと実感することも
離れたくないと思うことも
もう遅いんだよ…
『……………こんな私を……
好きでいてくれて…ありがとうございました…………』
今にも溢れ出しそうな涙を我慢しながら
合鍵を返し、車から降りた。
わたしは拓人さんと付き合いながらも
椿のことを少しでもいいと思ってしまった
これはそんな罰なんだ。
そう心に言い聞かせ
こぼれ落ちそうな涙を強くぬぐった。
右手薬指のペアリングが私に
〝本当にこのままでいいの?〝
そう言っている気がした。
〝いいの〝
〝これが答えなの〝
わたしはリングを外した。
翌日……
会社へ行くと、いつも通りの社内だった。
ただ、紗江子は風邪で休み。
昨日メールで拓人さんのこと話そうと思ったけど
やめておいて良かった。
この前拓人さんとは部署が変わったから今は必ず顔を合わさなきゃいけないわけではない。
これは気まづい状況を作らずに済むのでホッとした。
けどわたしが今こうして仕事をこなせるのは
全部拓人さんが教えてくれたからなんだよね…
そう考えたらわたしは与えられるばかりで
拓人さんに何かを与えることは出来てたのかな……
その日のお昼休み、わたしは食欲もあまりなかったので
社内に設置されている自動販売機で手軽に食べられるシリアルバーを選んで買った。
『ずいぶんと手軽な昼飯だな。』
『あっ…部長お疲れ様です。』
『そうかそうか。今日は野村くんが休みで元気が出ないんだな?』
『いえ、……そうゆうわけではないですよ。
それに元気ありますよ。わたし。』
『まぁ、寂しくなる気持ちも分からないではないけどなぁ。』
『……?
あの、…部長なにか聞いたんですか??…
寂しい気持ちって……』
『何を言ってるんだ、咲坂くんは。
聞くも何も話を持ちかけたのは上の方からで、それを伝えたのがわたしなんだから知ってるに決まってるぢゃないか。』
え…
まったく話が見えないんですけど部長……。
明らかに私が聞いてることと違うこと言ってるよね…?
『…もしかして
宮原くんはキミに話してないのか?………』
『あっ……はぁ…
そんな感じではあります……』
というか昨日別れたんですよ…
『まぁ……私の口から聞くのもなんだと思うが、
彼は海外へ転勤することになったんだよ。
その話はだいぶ昔からあったことではあるからようやく決意してくれたってことだ。』
かっ……海外へ転勤……………?
そんなこと…ひとことも聞いてないよっ…………
つづく。




