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恋あい気分  作者: ハム子
45/50

胸の痛みの理由













目が覚めてスマホをみると時刻は

pm19時半をまわっていた。




何も予定のない休日、久しぶりにこんなに寝すぎてしまった…

でもこれには理由があって…

実は昨日拓人さんと会う予定だったのが急遽会えなくなって、半分仕方ないという気持ちともう半分は若干しょげながら家に帰った。

家にはお兄ちゃんとお兄ちゃんの男友達が遊びに来てて

みんなに慰められながらみんなでお酒を飲み始めた。


…一杯のはずがまたもう一杯、

もう一杯と増えていって気づいた時には朝方の4時過ぎに

なっていた。


わたしは自分の部屋に行くチカラもなくそのままリビングで寝てしまい、起きた頃にはお昼の12時。

もちろんみんな居ないしわたしはお風呂に入り、全身に水分を行き渡らせるようにミネラルウォーターを沢山飲んだ。

ベットに入り目をつぶっていると眠気に襲われて

寝ちゃって、こんな時間に起きたという話…。





わたしは1人で駅の中にあるスーパーに向かった。





拓人さん…どうしたんだろう…

仕事って言ってたけど休み返上してまでやらなきゃいけない仕事なのかな…

この前は忙しい時期ってゆうのはわたしにもわかるけど

もう落ち着いたはずだよね……





わたしは今まで拓人さんに対して抱いた事のない感情が湧き上がって来ていた。

でもそれを口に出したらその予想が現実になってしまうんぢゃないかと怖くて気持ちを落ち着かせた。






駅内のスーパーに着くとわたしは簡単に食べれるものと

飲み物そのあたりを買う予定だった。


だけど野菜、フルーツのゾーンに行くと

1つのフルーツが目に入った。







アボガド…







椿、好きだって言ってたよね…。


夜型の仕事だからってあんなヤンチャな見た目して

健康の為に気をつけてるなんて意外だよ。








わたしはたまには食べようかと思い

1つのアボガドを手に取ろうとした時だった。


他のお客さんとその手が重なってしまった。









『あっ…!

すいませんっ!……

って…え!!?』



『すみれっ?!』







それはまさかの椿だった!!








『びっくりしたぁ!』


『いや、それは俺もだから!

てかなんでココにいんの??』


『それこそわたしのセリフだよ!

だってうちの家の最寄駅だし…』


『あっそうか!

言われてみればそうだな。』


『椿はなんで?

最寄駅はこの先だよね?』


『俺、この駅の北口のジム行ってんだよ。

中々行けないけど時間見つけてはって感じでさ。』


『へー!そうなんだ!

ジムなんて行ってたんだねっ。』


『まぁ…ちょっと前に行き出したんだけどなー。

てかすみれこそこの休日にお一人様??

カップルはこの時間あたりからイチャラブすんぢゃねーのかと思ってたわ!』


『なにそのからかい方は……

ちょっと今日は……会えなくなっちゃっただけ……』


『………………ふーん……

なぁ、時間ある?』


『……えっ……うん。……』


『ちと行きたいとこあるから行こうぜ!』








わたしは椿に手を引かれ言われるがままに歩いた。




てゆうか…

普通に手握られてわたしはどう反応したらいいのっ…!?


……椿は何にも思わず平気で出来ちゃうんだね。

やっぱそれ相応に遊んでるんだね…。

分かってはいたけど………









『ここ、来て見たかったんだよなー!』


『ここって…

この前新しく出来たプラネタリウムだよね??』


『そ!

すみれんちから近いとは知ってたんだけど男だけで行ってたらキモいぢゃん?』


『あはは。確かにそうだね!』


『んで、ここはただのプラネタリウムってだけぢゃなくて珍しいのがあんだってー。』







椿は入り口で喋りながら大人2枚のチケットと

飲み物2人分の注文をスマートにやってくれた。


手慣れた手つきでエスコートって感じだった。


椿は窓口で番号?みたいな何かを受け取り

わたしを呼んだ。





『ねえ、今何受け取ったの?』


『あぁ。それはもう少しで分かるよ!』





中に入ると新しく出来ただけあってとても広い室内に大きな天井。

その天井にはすごく綺麗に光るプラネタリウムがあった。





ここまでは見た感じ普通のプラネタリウム鑑賞って感じだけど何があるんだろう……








『俺ら、ここ。

めっちゃ良くね?』


『え!

これってカップルシート?!』


『そっ!

完全個室ぢゃないのが俺的残念だけどゆっくりできるっしょ?』


『完全個室はダメでしょ!

……半個室?みたいな感じだから確かに落ち着くかも…

人の目が気にならないってゆうか。』






そこはこの広々とした場内の1番奥へ進むと

ドアの無い壁がしきりのようになっていて

カップルだけが入れる空間になっていたのだ。



私達は中へ入り低めに設置してあるソファーへ座った。





『おっ、背もたれの位置変えられるから変えようぜ。』





電動で背もたれが動き私達は45度より少しだけ低めの位置から天井を見上げた。





『綺麗だね………。』


『だな。

はぁ……落ち着くわ。』


『最初、プラネタリウム?ってちょっと椿が意外すぎて

びっくりしたけど…これはいいかもだね。』


『まぢで?

俺こう見えてロマンチストのかたまりなんですけど?』


『あははは。かたまりは言い過ぎでしょー!』







何気ない会話のやり取り…

今の私には癒し…なぐさめ…

とにかく包んでくれているように感じた。






『椿にとっては本当に本当にどうでも良い話なんだけど

…………聞いてくれる?……』



『おう。

どした?』



『…昨日から今日にかけて拓人さんと会う約束してて…

でも仕事になっちゃったって連絡が来たのね…。

仕事なのはもちろん仕方ないし、わたしも理解してるんだよ?

……でも…

拓人さんがそう言ってドタキャンみたいな事するのって今回が初めてで…。

しかも忙しかった時期は過ぎたはずなのに…とか

なんかモヤモヤするんだ……

また考えても仕方ない事考えちゃって

……あー……もう面倒くさい性格だよー……』






椿は天井の光を見ながらわたしに言った。






『…やっぱ好きだから

気になんだよ。……だから仕方ねーよな。』








そう言った椿の声は寂しげに聞こえた。



わたしは今椿にひどいことをしてしまった…


好きだと言ってくれた相手に


こんな相談して


わたしはどうかしてる…







『…椿、あの……

わたし無神経なこと話しちゃって……

本当にごめんね……ごめんなさい……。』



『…俺がここにお前を連れて来たのは

そーゆう話全部含めた上で聞こうと思ったからなんだよ。

だからそこですみれが謝ったら俺が行動したことが間違ってたことになるんだよ。わかるか?』



『…………でも、…

その気持ちに気付いてあげてなかった私自身が恥ずかしい……。』



『要するに、いつでもスミレはスミレらしく

居てくれたら良いってことなんだよなー。俺からしたらさ。』





私の方を向いてニコっと笑った椿の表情が

また私の胸を痛くさせた。



椿は…


なんでそんなに私を……






気づくとわたしはソッと椿に近づいて





椿の肩に頭をコツンと付けていた……






『……今私がしてることが中途半端だってわかってる…

……でも…

こうしたいって思っちゃったから……ごめんね……。』







すると椿は無言でわたしの手を握ってきた。






きっとそれは言葉でなく、わたしが行動で示したように

椿も自分の心のままに行動したという〝返事〝なんだと思った。

握ってきてくれた椿の手のひらは、


〝いつだってお前の味方だよ〝


そう言ってるように感じたから













それからゆっくりとした時間を一緒に過ごした。



気がつくともう少しで退館時刻が迫っていたので

私達は外へ出て帰り道を歩いていた。



手を繋いで歩くわけでもないこの道を

手が触れるか触れないかで距離を保っている私達の関係を周りから見たらどんなふうに見えるんだろうと考えながら歩いていた。



さっきまであんな側に居たのに

外ぢゃ恥ずかしくて自分からは近くに寄れない。



そんな私の気持ち知ってか知らずか

椿は爽やかに夜風をきって歩いている



街を照らす繁華街のネオンや

道を照らす街灯さえも

椿1人を照らしているかのように感じた









『うん?どした?』


『えっ!…

私なんか変だった?!…』


『いや、なんか考えてるよーな顔して

こっち見てたから。』


『…そう…かな?!

あっ!でも確かに考えてたよ…!

今日の椿の服装、なんかいつもと違って新鮮で良いなぁと思った!』


『そお?

ジム行くときはだいたいこんな感じなんだよね。

まぁ店の時とはだいぶ違うよな!

すみれこそ会った瞬間、俺思ったよ。』


『なにを思ったの?!

今日わたし全然ダメダメだから嫌なんだけど!!…』


『あははは!

いやいや、逆でしょ!

そのオフ感がまたたまんねーって感じで俺的ツボだよ?

普段とのギャップでさ…!』


『シー!声おっきいよ!

恥ずかしいからっ…!』






周りを歩いている人達が私達を見ていた。

微笑ましく見えたのか、イチャついてるな、と見たのかは分からないけど

椿の発言に振り向いた人もいた。






『まぁ悪いことしてねーし

見られるくらい上等だっつーの!あははは。』






そう言うと椿はわたしの肩に腕を回し

子供のような笑顔をわたしに向けた。




これを素でやっているとしたら

落ちなかった異性はいないだろうと思わせる程の

破壊力だった。












結局、2人で散歩がてら歩いていたら

わたしのマンションまで着いてしまった。











『椿。

今日は本当にありがとう。』


『おう。楽しかったな。』


『うん。

ほんの少ししか一緒に居なかったのに

1日中一緒に居たみたいに……

……心が満たされたよ。』


『…そうか。

なら誘ったかいがあったな。良かった。』


『また……

プラネタリウム見に行けたら一緒に行きたいな……って思っちゃった…。』


『いつでも俺の横は歓迎だぜ?』


『あははは。

はいはい、ありがとね!』








一瞬、笑いのあとに間があって

椿はこう言った。









『…考え過ぎるのはアイツにも原因があんだよ。

普通にすみれの気持ち優先で考えて行動してたらお前が悩んだり考え込むことも無いと思うし。』


『うん……

でもわたしが悪いのもあるよ…考え込む癖みたいなのもあるし……』


『だから、そうゆう所もだよ。

女にかばわれるような男は男ぢゃねーよ。

男はいつだって孤独でも辛くても…

寂しい立場でいていいんだからさ。

それがいつか幸せに辿り着けた時に今までの気持ちが全て救われんだ。』


『………………椿…。』


『まぁー、…要するにアレだ。

俺がお前に言いたいのはちゃんとアイツに聞いてみろよってこと。気になることは聞け。

もしかしたらアイツも話したくても話せない事があんのかもしんねーし。余裕がないのは確かだろうな……。』


『…………うん。

わかった…………。』


『………アイツは悪い奴ぢゃねーと思うしさ。

その話すキッカケをすみれが作ってやれよ。

そしたらお互いがスッキリすんぢゃん?』


『……椿…

もうこんなふうにいっぱいいっぱい色んな事してもらって私は一体っ……』


『男はいつだって心がブレない男で居るんだよ。』








椿の男気をとてつもなく感じた瞬間だった……

今までに感じてきた胸の痛みとはまた違う痛みが

わたしの心を突き刺した








『あっ!

つか俺ジムに荷物置きっぱだったから戻るなっ。』


『うん…。いつもありがとう。』


『安心しろ。

すみれは良い女だ。自信持てよ。』








椿はそう言い

わたしの前から一歩、また一歩距離があいていく。




片方の手はポケットに

また片方の手はタバコを持ち深く吸っては吐く度に

煙が夜の空に消えていく

その椿の後ろ姿を見つめていた。




何度か繰り返したあと

椿がわたしの方に振り向き




優しい笑顔で

軽く手を振った…




わたしは同じく手を振り

椿の姿が見えなくなるまで見送った。
























部屋に入るとわたしは気づいた










椿と居た時間、












一度もと言っていいほど













拓人さんの事を考えていなかった…


















そのことに気づいた瞬間と同時に
















何故か涙が溢れてきた
















それはきっと




















わたしの気持ちに大きな変化があったから































涙が止まらなかった





















つづく





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