驚きと緊張
私は一瞬何を言われているのか分からなかった。
『…………えっとさ………好きっていうのは
要するに……、、〝Like〝方だよね……?』
『違うっつーの!
どう考えても〝Love〝の方だろっ。』
好きは好きでも普通にそっちの好きだということに驚きを隠せなかった。
『え…!?なんで?!』
『なんでって…
別に昨日、今日そう思ったわけぢゃないし…』
『けどそんな感じの事なかったし…
ここ最近は前より会ってなかったわけだし……
それにっ…!………
わたしには…………』
『俺もなんとなーく気になってた気持ちがこうまでなるとは予想外っつーかさ…』
『……予想外なのはわたしのセリフだよ………』
『お前の兄貴ももしかしたらこんな感じなんかなーって思ったよ』
『…わたしのお兄ちゃん…??』
『そっ。
いいなと思ってた相手に彼氏ができて
……そのあと好きな気持ちに気付いてさ…。』
裏口にあるライトが椿の横顔を綺麗に照らしていた。
わたしはその横顔を見つめながらなんて言葉を返したらいいのか分からなかった。
『あー!何か言ったらちょっとラクになったな!』
『…………ラク?…』
『モヤモヤしててこんなん俺らしくねーとか思ってたからかな!
つか、別に付き合ってとかそんな事は言わないから安心しろよな。』
『………えっ……』
『俺は自分の気持ちに気付いたから伝えたかっただけだからさ。お前は今まで通りでいいんだよ。』
『…………………なんか本当にわたしはどうしたら…』
『だーかーらー、
いつも通りでいいんだって。
だって俺がこんな事言ったってあいつへの気持ちがそう簡単に変わるわけないだろ?
たださ…
俺の気持ちは知っておいてもらいたかったんだよ』
『そんな……
なんかそれって椿は平気なの……………?
……もし私が逆の立場なら辛すぎる気が………』
『俺はさ、今までのトモダチ?みたいな関係より
男として意識された方が良いと思ったから。
まっ……その分リスクもデカイんだけど…
もしすみれが俺を避けたらそれまでだし
今までの関係も終わる可能性あるし。』
『…………………避けたりなんてしないよ…。』
『それは良かった、まぢで。』
『本当だからね………。』
今のわたしにはそんな言葉しかかけられない。
どうにもできないよ………
『今日さ、…送ってってやりたいんだけど
ちょっと事務所片付けてから帰るからここまでで平気か?……』
『うん…………。
全然大丈夫っ…。』
『お前なー。
そんな気まづそうな顔すんなっつーの!』
椿はわたしの頭をポンポンと軽くたたいた。
『俺の事は気にすンな。
俺が勝手に決めて行動した事に過ぎないんだからすみれが気にする事ぢゃねーし、つかそもそも俺のメンタルそんな弱くねーから!』
『………………………うん。』
『それよりあいつに兄貴の話を早めにした方がいいと思うけどなー
それの方がすみれの気持ちも少しはラクになるんぢゃん。』
『…………うん。……………ありがと…。』
わたしは裏口からその場を後にした。
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ガチャっ…
『あれっ、お疲れ様です…オーナーどうしたんすか??
今日19時終わりの日っすよね??
もう22時過ぎてますけど。』
『お疲れ。
いや事務所の整理してた。』
『…事務所の整理、昨日してましたよね??
てゆうか俺、今日厨房やらせてもらって楽しかったすよ!!』
『トーマー。
たばこ一本っ。』
『…あっはい、』
『トーマってさ、今好きな子いんの?』
『今すか?……いないっすねー。
気になる子はいましたけど好きになる手前で終わったみたいな。』
『まぢか。
なんかあったの?』
『いや、その子に彼氏が出来ちゃって
そうなったらもう身を引くしかないぢゃないっすか。』
『!…。
なるほどねー……
ぢゃあその子に彼氏が出来たの知った上で自分の気持ちだけでも伝えようとは思わなかったわけだ…?』
『そりゃあ、俺がオーナーだったらそうしましたよ!!
絵になるような人がやるからカッコつくわけで、
凡人がそんなのやったとこでキモがられんのがオチっすよ。』
『ふーん。……お前も考えて行動してんだなあ。』
『……あの、何かあったんすか??』
『いーや、別に何でもねーんだけどさー
自分で振り返ってみて今だったのかそれとも早過ぎたかな、とか1人になったら考えてただけなんだけどさっ』
『……………すみれさんすか?』
『!!!』
『当たりっすね。
つかそれしかないっすよねー!』
『お前、何でそう思うんだよ!』
『いや普通に俺は気付いてましたから。
オーナーが気になってること。』
『まぢで?俺だってついこの前自覚したとこなのに
なんでお前が分かってたんかー』
『……オーナーって結構天然ぢゃないすか。
だから気付いてないんだろうな、とは思ってましたけどね……。
それより俺的にはすみれさんが意外でしたね。』
『意外ってなにが?』
『俺はすみれさんもオーナーのこと気になってると思ってたんで、宮原さんと付き合ったと聞いた時はちょっと意外だったんです。』
『すみれが俺を………?
だとしたら可能性はあったのか……』
『? 可能性…というと??』
『いや、…なんでもない。
俺が棒にふっていただけだったのかもしれないって事か……』
『あのー、、、
オーナー?』
『いやー、お前の一言で救われたぞ!
ありがとな!』
『はい……??
まっまあ元気が出たみたいで良かったですけど!』
『おうっ。
ぢゃあトーマ、帰り気をつけろよ!
お疲れっ!』
『お疲れ様です!』
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つづく。




