絡む恋心
私はその女の人とすれ違った瞬間、
思わず後ろ姿を目で追ってしまっていた。
絶対にそうだよね?!
平岡さんの写メにうつってた人だよね!!
わたしは慌てて家に入った。
『っ……お兄ちゃんっ!!』
『?おうっお帰り。』
『あのさっ…!!さっき家から女の人が出て行ったよね?!……』
『あぁ、お前ちょうどすれ違ったの?』
『いやっ、…まぁすれ違ったにはすれ違ったんだけど…
、、てゆうかこの前酔いつぶれて泊まった人…?
だよね…?』
『ん?そうだけど?』
『そっ…そっか…。やっぱそうだよね。』
私は
あの人を知っているという事と
あの人には彼氏がいるという事を
言おうと思っていたのに
お兄ちゃんを前にしたら
言い出せなくなってしまった
『?なに?どした??』
『……えっ……うん。
あのー……
綺麗な感じの人だなあ、と思ってね…!』
『はっ?それ言うだけでなんかモジモジしてたん?
帰って来て早々変な奴ー。』
『………あれから
付き合ってはないんだよね?………』
『おう、付き合ってない。』
わたしはそれを聞いて若干安心した。
『けどまぁ、久々に燃えそうな予感だなー。』
『もっ…燃える?!…なにに?!』
『あの子に対して好きな気持ちがってことに決まってんだろーが!アホが!』
『あー…そうだよね、そっちだよね…!
ごめんごめんっ!』
『お前は帰って来て何なんだよー
お子ちゃまは早く寝ろっ!』
わたしとの会話のやりとりがうざくなったのか
そう言いながら自分の部屋へと消えていった。
…どうしよ……
てかお兄ちゃんは彼氏がいる事知らないわけ?…
わたしが変に口出してなんか起きたら嫌だし
話したいはずなのに
拓人さんの友達の友達が絡んでる事だから
急に言えなくなっちゃったし………
考えたところでどうにもならないと思い、
とりあえずこの日はお風呂に入って
ゆっくり寝ることにした。
それからわたしは拓人さんちと自分ちを行ったり来たりの生活をしていたけどここ2週間ほどはお互いの仕事が忙しく、拓人さんちへ行くよりわたしの家に帰る方が近いのもあり泊まりに行くのは週2日程にしていた。
驚くのがこの2週間の間、あの女の人は週3くらいで家に来ていたのだ。
あの出掛けてばかりいたお兄ちゃんも家にいるようになったし家に来て会ってる時間は少ないと言っても
こんなに家に遊びに来るなんて一体どうなってるんだろう……
わたしはある意味不思議な気持ちだった。
紗江子に話しても〝別に気にしなくていいぢゃん!〝
て言うだけだし
拓人さんには話してないし…
…………
……わたしは突然椿の事を思い浮かべてしまった。
くだらない事かもしれないけど
わたしのモヤモヤした気持ちを少しでも取り除いて欲しかった
とは言ってもこの前以来、連絡取ってるわけぢゃないし
こんな話でメッセージ送るのもおかしいけど
椿ならどう思うかも聞きたくなってしまっていた。
《久しぶり!
突然なんだけど、ちょっと聞いてもらいたいことがあって…》
そう送信すると意外にも早く返信が来た。
《久しぶり、どしたの?》
《説明が長くなっちゃうから
近いうち、お店に行ってもいいかな…?》
《オケ
ちなみに明日は夜7時に仕事上がる日》
《うん。ぢゃあ7時頃に行くね。》
わたしは翌日話すことを考えながら眠りについた。
朝起きるとお兄ちゃんはいつも通りだった。
というかいつも通りぢゃないのは私の方でお兄ちゃんを
不思議がって見ていた。
『…なに?』
『えっ…別に!』
『お前昨日からおかしいよな、』
『うぅんっ!!
…そんな事ないと思う!…』
『さては男と何かあったか?』
『いやっなにも…』
『まっやせ我慢すんな!
帰って来てクソ暇な時間があったら愚痴聞いてやるから!
ぢゃな!』
『…………』
うざー……
わたしはお兄ちゃんが行ってから20分後に家を出た。
とりあえず今日は椿に話聞いてもらいたいっ…!
わたしは足早に会社へと向かって歩いた。
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『お姉ちゃんさ、わたしの気持ち知ってて椿くんと会ってるの?』
『…夏菜の気持ちって?…
それに会ってなんてないけど?…』
『私が何にも知らないと思ってるんだね……。
わたしを椿くんのお店でバイトさせてもらえるように頼んだのだってわたしを思ってぢゃなくて、椿くんと連絡を取りたい為の手段だったんでしょっ?!
……気づかなかった私もバカだけどさ……』
『…そんなんぢゃないから。
あんたが勝手に言ってるだけでしょ。……』
『違うっ……!!!』
『だって……
今更わたしが椿と連絡取ったからって何になるの?
どうにもならないぢゃない。』
『………そんなの…
分からないぢゃんっ!!………』
『分かるよ…。』
『ぢゃあ何でいつまでも椿くんの連絡先残してたり
椿くんとの思い出の物を残してるのっ……?!
なんにもないなら必要ないことだよね?!』
『別に理由なんてないよ。
…あんたが好きならそれでいいぢゃない。
わたしは止めてないぢゃん。』
『…あのさ、そこがまたおかしいよね…。』
『……私のなにがおかしいの……?』
『だって……
普通、自分の元カレを好きになった妹を軽蔑しない?!
しかももしも何かあったらどうするの?!』
『ぢゃあ聞くけど、何があるわけ?』
『何って………そんなのっ…!!…』
『あんたみたいな子供を椿が相手にするわけないでしょっ?!
それとも、椿が自分に振り向いて女として大事に扱ってくれるって思ってるわけ?!
それを期待してるんだ?!』
『…っ!!
なんでそんな言い方するのっ……!?』
『あんたが全然わかってないからだよ!!』
『……わかってるもん!!』
『椿はね、……そう簡単に相手に隙は見せないの……
あんたが今近くで見てる椿は椿ぢゃないんだから…』
『…ぢゃあ…、いつか…!!』
『…いつかなんてない。
椿にとってあなたは私の妹である、門脇夏菜。
ただそれだけにしか過ぎないの
今も、この先も…ずっと』
『…そんな………
ひどいこと言うんだね……』
『私だって…言うつもりはなかったけど。
あんたが蒔いた種だよ。
こんな言い方したくなかったけど、言うしかなかった…』
『…………………………。
なんで………椿くん、ちっとも振り向いてくれないの……』
『……涙を流したところで何の意味もない。
ただ……相手に迷惑かけないで
勝手に好きでいるだけなら……意味あるんぢゃない』
『……そんなことに何の意味があるってゆーの?
ただ辛いだけぢゃん……』
『…………
好きなのにどうにも出来なくて我慢して…
相手を好きな気持ちをセーブしながら距離を保つ。
そうゆう感情のコントロールがまだあんたにはないのよ…
だったらこの際、勉強しなさい。
好き好きだけぢゃ相手は振り向かない。
成長しなさい………………
………わたしもまだまだだけどね……』
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つづく。




