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恋あい気分  作者: ハム子
37/50

Another Story ★ Tsubaki






12月31日




『A happy new yearー!!』





俺は大学時代の友達とカウントダウンパーティーで知り合いの店で集まっていた。




『なンだよー椿!

年明けたってゆうのに全然盛り上がってねーぢゃんかー』


『いやいや、俺病み上がりで昨日までしかも仕事だったんだけど。』


『それはお疲れサンです!

年明け仕事いつから?』


『8日から。』


『めっちゃ休みあんぢゃん!!

さすが自分で店持ってるやつは違うねー!

休みも自由自在みたいなー。』


『お前飲み過ぎぢゃね?』


『椿ー!お前もノメー!』






久しぶりのメンツってこともあり、このあとはいつもなら飲まない量を飲まされだいぶ酔ってしまっていた。






『……やば、…気持ち悪くなってきたわ…』


『吐くならトイレ行けよー!』


『…………わかってるよっ……ゔっ……

つか水…』






俺は店の冷蔵庫から水を取り出し思いっきり水を飲んだ。早くこの酔いから抜け出したい…


すると俺のスマホが鳴り出した。


誰だかも確認しないまま出ると意外な相手だった。







『【はぁい………っ】』


『【………もしもし、……私…。】』


『【…………………雪音……………?】』


『【うん………………。電話しちゃいけないと思ったんだけど………どうしてもしたくて。】』


『【………あっ……いや別にいんだけどさ………っ】』


『【…??なんか変じゃない?酔ってる…??】』


『【うん、だいぶねー】』


『【大丈夫なの…?迎えに行こうか?…】』


『【…いやいや平気だよー】』


『【……絶対平気ぢゃない!

行きたいから行くね!】』






俺は酔いながらも頭のどこかで思い出していた。

雪音は言い出したら聞かないタイプだってことを。


酔いを少しでも覚まそうと外に出た。


みんなに誰が迎えに来るのかしつこく聞かれた俺は


〝トモダチ〝、そう言った。


元カノなんて言ったら雪音のこと知ってるやつらが

ウルさくなりそうでめんどくさかった。




てかさみー。





酔うと若干涙目になる俺は視界がはっきりしないままポケットに手を突っ込みながら歩いていた。

タバコを吸う気力も無かった。






『あのー、すいませーん…。

この前どっかで会いませんでした?』


『は?…いや…』





この3人組の女達…

さっきすれ違ったやつらか……?






『えー何か会った事ある気がする!

お兄さん、めっちゃカッコいいしタイプだから忘れないもん!』


『………急いでるから、ぢゃ』


『待って待って!連絡先交換したい!』


『………いやいや』


『いーぢゃん!お願い!!』


『……ホントそーゆーの無理。ごめん。』


『わたしMだから余計萌える!!

一目惚れなの!!お願い!!』


『Mとか自分で言ってるしー!』


『この子の為にもおーねーがーいー!!』






俺が歩いて行く方行く方にしつこくまとまわりつく女達。


この年明けの深夜にギャーギャーうるせえ…


頭痛くなってきたわ…




するとそこへ見覚えのある一台の車が止まった。






『おーいっ。お待たせ。』





雪音はウィンドーを開け車内から言ってきた。





『おう。』





良いタイミングで助かった。





『新年早々、逆ナンなんてモテから始まる男だね。

本当に。』


『まぢで助かった…。あまりにしつけーから逆レイプされんぢゃねーかと一瞬頭よぎったわ…』


『…あははは。

あの女の子達ならあり得るかもね。』


『…笑えない笑えない。

おかげで酔い覚めてきたけど頭痛くなってきたし』


『飲みすぎなんだよ。

珍しいんぢゃない…?』


『まぁ…こうなるまで飲むのはなー。……』









車の揺れが心地よく感じてしまった俺は

いつの間にか寝てしまっていた










『…………ごめんっ……

寝てた……あれからどんくらい経った…?』


『まだ30分くらいだから平気だよ。』


『……ホントわりぃ………。』





目が覚めた俺は辺りを見渡した。


コンビニの端に車を止めて俺が起きるのを待ってたのか





『…全然いいって。私が来たくて来たんだから。』


『………お前は女で、俺男なんだから良かないだろ。

何かあったら責任感じるっつーの。』


『………。

そーゆーとこ本当に椿らしいよね…

なんか急に懐かしくなっちゃった…。』


『………。この車まだ乗ってたんだな。』


『……まだって言ってもまだ3年半だよ?

乗るに決まってるし……椿が買ってくれたんぢゃん…』


『俺が言いたいのは別れたんだから売ればいいぢゃんてこと。』


『…そんな簡単に言わないでよね。

わたしは気に入って乗ってるし

そんなことできるわけない……』


『そか。

まぁ…気に入って乗ってんならいっか…』


『……椿は………

わたしがプレゼントした物とか捨てちゃった……?』


『…さぁな。』


『…さぁなって…?

わたし、そんなことで傷つかないよ…。

椿の性格理解してるもん……。』


『俺さ、…物に思い出作んの好きぢゃないからさ』


『そう…だよね。……ごめんね!

わかってるよ!………』





雪音は付き合ってる当時、俺に数え切れないほどのプレゼントをしてきた。

それは、俺に対する一種の首輪のようなものだろうかとさえ思ったことがあった

自分があげたもので埋め尽くして俺を閉じ込めておきたいかのような気持ちが伝わってきたからだ





『あっ…!

そういえば、この前あのスミレちゃんて子見かけたんだ。』


『ふーん。』


『可愛いかったからつい話しかけちゃった。』


『その理由おかしいだろ。』


『だって本当なんだもん。

…なんか目立つよね、あの子。』


『…まぁ。確かに目立つかもな。』


『1人かと思ったんだけど、

彼氏もいて。』


『…ふーん。』


『彼氏もイケメンでびっくりした。』


『…あっそお。 』


『わたしてっきり椿と付き合ったと思ってたから。』


『……なんでだよ。』


『だって……随分前に2人を見た時、良い雰囲気っぽく感じたから…。』


『店の中では俺だって仕事モードなんだから

誰と話してたってそう見えんだよ。……』





俺バカか……


ただそれには何も突っ込まず微笑んで言ってきた。





『……………本当はどう思ってるの?

スミレちゃんのこと……』


『……なんだろ…』


『…なんだろって?……?』


『不思議な存在……?みたいな。』


『…………どうゆう意味??』


『一緒に居てなんか落ち着くし

大した事ない事でも笑い合ったり…

…でもなんかドキドキ?してたりとか…

一緒にいない時は妙に気になったり不安になったり

〝ガキみてーにアホかって〝1人ツッコミしてるし。』


『……………えっ…とさ、………

それってスミレちゃんのこと

好きなんだと思うよ…?』


『…………俺が…………?』


『………好きだから………

そんなふうに思うんだよ……………』


『…………そっか……………。

これは…そうなのかもな………。』


『……………思う事はそれだけなの?……』


『………まぁ、…少なくとも〝今は〝。…

けど納得した。』


『……………椿はそれでいいの?

切なくないの?………』


『……今この気持ちがなんなのか気づいたから切なくないなんて言ったら嘘になるかもしんねーけど、

今のあいつには好きな奴が側にいて幸せならそれでいいと思う。

…それに……』


『……それに?……何?……』


『俺自身が勝手に好きでいる分にはどってことねーし

もしあいつになんかあったら受け皿になってやればいいかなって。』


『…………なにもなかったら………?』


『うーん…

…まっ、俺に興味が無いなら無いでいずれ分かれば

俺だって自然と感情もなくなるだろうし…って。

ここはちょっと流れに身を任す的な、。』


『…そっか。そうだよね。』


『??うん。』


『いやー……なんか椿のこと見直しちゃった。

昔と違って……凄く大人…だなって。』


『そりゃあ変わるだろ。

それに…俺自身、変わろうともしてきたし。』


『…うん。

伝わってくる…。』











このまま雪音といても

こいつが苦しいだけだ。











『…ぢゃ、俺そろそろ帰るわ。』


『えっ……家の近くまで送る!……』


『タバコ吸って帰りたい気分。

てか!、他の男にそゆこと言うなよ?

付け込まれんぞー。』




俺は車から降り、タバコに火をつけた。





『椿っ!!』





振り返ると雪音の瞳はどこか悲しげだった。





『………もう駄目だと分かってる相手を忘れるには

どうしたらいいのかな………?………』




んなこと俺に聞くなよ




『………自然と忘れるから心配すんな。』




俺は軽く手を振り、その場を去った。











あの時の俺はそうだった。


雪音と別れた直後

何故か頭のどっかで存在がチラついていた


忘れる為に遊んで

遊んで遊んで


だけどそうすればするほど

虚しさだけが残っていった


就職先も決めず

フラフラしていた俺はあることを思ったんだ


変わろうと。


じーちゃんに資金援助を頼み、

卒業と同時に店をオープンさせ

一心不乱に働いた


毎日毎日店の準備や料理、ドリンクの考案、

管理とスタッフの教育に汗を流した。



…そんな時気付いた



もう俺の中に雪音の存在は無いことに。



そうやって忘れる努力なんてしなくても

自然に人は忘れていく


きっと目的を持てば持つほど

忘れるスピードが早いだけで

必ず忘れ、乗り越えていくんだ




だから必ず俺を忘れる日がくるから心配すんな



むしろ忘れて前へ進め















俺は寒空の下、スマホ片手に


〝咲坂 菫〝の宛先に

文字を打ってみては消し、打ってみては消し…


らしくねー事やってる自分に笑えた




あいつ、今頃あのヤローといんだろーな




俺は打つのをやめ、ポケットにしまった。






そして俺はまた新たな一歩を踏み出していた。
























つづく。

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