疑惑
誰のか分からないピアスを見つけてから数分後
タイミングが良いのか悪いのか
拓人さんが帰って来た。
わたしはまだ見つけたピアスの存在を話してはいない。
いつ聞いてみよう…
それともわたしも今日椿と会った事実がある。
その後ろめたさもありこのまま言わないでいるか…
『今日もメシ、美味かったよ!
菫はホントなんでも出来て器用だよな。』
『うぅん。そんなことないよー。
でも口に合って良かった。』
2人でソファーに座りながら話していた。
『………あれ?
なんか今日の朝と違う匂いがするな。』
『えっ…??』
『……タバコと香水の混じった匂い…みたいな。』
わたしは椿に抱かれた時についた匂いだとすぐ思った。
『そうかな?……
わたしには自分の匂いがよく分からないけど…!』
『…そっか。
………まぁ匂いなんて他からでもつくか。』
『…………うん。
あのっね、私も今日コレ見つけたんだけど……』
わたしはピアスを見せた。
『……わたしのぢゃないよ……』
『……………黙っててゴメン……。』
『………誰かここに来たってこと……?…』
『……一昨日、大学時代の飲み会があるって話したと思うんだけどその飲み会で酔いつぶれた女友達が家が遠くて帰れないって言い出して、ここに泊めた。』
『………2人きりだったの………?』
『…うん………。けどもちろん何もしてないよ。』
『……わたしの兄もついこの前、そんなこと言ってた。
泥酔した子を泊めた、何もしてない、…でもさすがに2人きりではなかった……』
『………俺を疑ってるの…?
菫と仮に付き合ってた期間も何もしなかった俺を。』
『……なんで黙ってたの?
もうそこからよく分からない…』
『それは菫が不安がるかと思って…』
『…………………』
何もないのかもしれないけど
彼女がいるのに他の女の子泊めるなんて嫌だよ
『…………拓人さんは私が不安がるって言ってたけど、
わたしはそんな隠し事までされて守られなきゃいけないの………?』
『……それはっ……変な誤解して悲しい思いをするかもしれないと思ったから…
菫は傷つきやすいから…』
『でも……このピアスがなかったらわたしはその事実をずっとこの先も知らずに過ごしてたんだよね…?
………そう思うと凄く怖いっ……!』
『………
ごめん。言わなかった俺が悪かった。』
『…もしかしたら私が知らないだけで
他にも色々あったりして………』
『なにもないよ。』
『そのピアスだって…
その人の計算でわざと落としていったのだとしたら…?』
『……そんなことあり得ないよ。』
『なんであり得ないの…?』
『そうゆうやつぢゃないからだよ。…』
『…言い切れるほど仲良いんだ……
拓人さんにそうゆう異性の友達がいることも全然知らなかった。なんか…知らないことだらけ…!』
『……そんなの俺だって知らないことばっかだよ…。
今日だってその香水の匂い、久利生のだろ。
一緒にいたんだろうなと思ったよ。
そう思ってた俺の気持ちはどうなるんだよ……』
『……うん…。椿と会ってたよ。
けどなんで聞いてこなかったの……?』
『菫が言ってこないってことは言いたくないことなんだろうから別にいいやと思ったから。』
『……付き合うってそうゆうことぢゃないぢゃん…
わたしは、色んな感情のやり取りがあったって良いぢゃん……なのにわたしがどう思うとかどう行動するとか先に決めて拓人さんが先回りしてたり、自分が我慢すればいいと思うのが付き合いだなんて変だよ…』
『俺は……俺なりに年の差がある菫にどう接していったら窮屈ぢゃないか、どう安心させられるか、そう考えてやってたつもりだったんだよ……それがそんなふうに思われてるなんてな……』
『そうゆうことなの……
自分が良かれと思ってることでも相手にとってはそうぢゃないかもしれないぢゃん…!だから色んな気持ちぶつけ合う時があっても良いはずなの…。』
『……………ぢゃあ
俺も聞いてみたいことがある…………』
わたしは視線を合わせないまま話を聞いていた。
『………久利生 椿のことどう思ってるか聞きたい…』
『………どうって…………』
『……その匂い、…あいつと一緒に居たんでしょ。』
『……………………………。』
『……………
黙ってたら話ができないよ…。何してたの…?』
『…何してたなんて聞き方やめてよっ……。
何にもやましい事してない!』
『別に俺はそんなつもりで言ったんぢゃっ……』
『わたしは、…拓人さんと付き合ったこと伝えに行っただけ。………直接会って言いたかったから……。
ただそれだけだよ……』
『…………………わかった………。』
『…………今日はちょっと家に帰るね。
頭冷やしたいし…。』
わたしは側にあったバックとコートを取り、玄関に向かった。
『…っ………すみれっ………!
…………本当……黙ってて悪かった………』
わたしは背中で拓人さんの声を聞きながら
無言で部屋を出た。
そんなに怒るほどの事でもないって分かってるし
実際のところ、そこまででもなかった。
でも……気持ちを言い合いたかった。
それに椿の存在を気にしてたなんて初めて知った
そうやって知らなかった相手の気持ちや考えが話し合えば出てくる
正直言うと、拓人さんみたいな人だからこそ女の子を家にあげるとかすごく嫌だった
何にもなくても、その優しさにつけ込んでくる人だっているかもしれない
信じてないわけぢゃない
でも心が締め付けられる気分
きっとこれは嫉妬心なんだ
わたしは家に着くと自分の部屋に入り鍵をかけ
スマホの電源を切った。
今は誰かと連絡を取れる手段のものはシャットダウンしたかった
そしてベッドに寝転がり目を閉じた。
椿……
どうしたらわたしの気持ちは晴れるのかな
拓人さんとだってうまくいってたはず
椿とだって一カ月何もなくても過ごせてたよ
なのに
嫌なもの見つけて
わたしも見つけられて
拓人さんの温もり
椿の温もり
同時に男2人の温もりを知ってるなんて
それだけで罪なのかな
拓人さん……
辛くあたっちゃってごめんなさい
でもショックだったの…
自分勝手な私を許して下さい
……………
わたしはそのまま眠りについた。
つづく。




