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恋あい気分  作者: ハム子
26/50

★Another Story★Tsubaki★2






俺は立ち止まっていた。


目の前で菫が男に手を引かれていく光景。


あいつは俺に


〝ありがとう〝


と言った。



〔は?


なに礼なんて言ってんだよ


馬鹿か


むかつく女




けど別に俺が引き止める理由もねーし…〕





ポケットからタバコを出し火をつけた。

この寒空の下で吸うタバコを持つ手が冷たくなっていく。


〔てか仮に付き合うってなんなんだよ

あの男イカれてんぢゃねーの

イライラするわ〕


俺は歩きタバコのまま店に戻っていた。





それから2時間程で仕事が終わりラスト作業をしていた。


すると入店ベルが鳴った。


〔あれ…

確かclosedの札出してたよな…。〕



俺は入り口へと小走りで向かった。


『すいませんっ…今日はもう閉店でっ……ー』


『……知ってるよ。』


会いたくない人物がそこにいた。


『久しぶりだね。

でも…いい意味で変わってない。』




〔今日はなんなんだよ……

最初から最後までついてねー〕




『…………なんか用…?』


『ひどいなぁ…。何でそんなこと言うの。』


『まだやる事あるから忙しいんだけど』


『ぢゃあ終わるまで待ってる。』




2年ぶりくらいに会った雪音はあまり変わっていなかった。

性格もこんな感じで基本的にグイグイくる奴だった。



『迷惑なんだけど。

用があるなら今聞くから。』


『…別に用ってゆうか、

ただ椿に会いたかったから……』



俺はカウンターバーの椅子に腰かけた。

雪音はうつむきながら話始めた。



『わたしね、…夏菜が椿が持ってるお店見つけたって言ってきた時すごく嬉しかった…。

本当は何度も何度も電話しようと思ったんだけど、用もなくかけてもし着信拒否されてたらどうしようとかむしろ番号すら変わってたらどうしようとか考えちゃって…。』


『………………あっそう。』


『けど番号変わってなかったし電話も出てくれて

こうしてまた会えてホント嬉しいんだ…』



俺はまたタバコに火をつけた。

ワイシャツの首元のボタンを2つほど開けながら

煙をはいた。



『……ねえ椿、可能性ってあるのかな…?』


『なんの?』


『私達がやり直せる可能性…。』






『…………

悪いけど…それは無い……。』



俺ははっきりそう言った。



『……どうして……?』


『…………いやっどうしてって…

俺らさ、一回寄り戻したんだよ?

それでも別れたんだからもう無いでしょ。』


『………わたしが悪かったの…

反省してる……。』




俺と雪音の出会いは、俺が当時高1の16で雪音が高3の18で

ある日元々中学の頃から知り合いだった先輩の女友達ということでいつもたまっていた場所にやって来たのが雪音だった。

俺は中学から高校、大学まである私立のエスカレーター式の付属高校へとそのまま進学した。

雪音はちょっと離れた私立の共学でマドンナ的存在だったらしい。


雪音とは出会ってすぐ意気投合して何度か2人で遊び始めた頃に付き合うことになった。


今思えばあれは俺の初めての一目惚れだったのかもしれない。




『………急になんなんだよ…

2年も過ぎてからいきなり……』






雪音とは8ヶ月程付き合って別れた。

その後連絡は一度も取らずに俺は携帯も買い替え普通に過ごしてたある日、偶然の再会だった。

大学2年の頃キャッチの仕事を短期でしてた時、俺が声をかけた相手がまさかの雪音だった。

そこから連絡先を交換してやり取りをするうちに、やり直そうと言われ俺は頷いた。


だけどその2年後結局別れた。




『……高校生の時は本当に受験に専念しなくちゃいけなかったし会えない間に浮気されたらどうしようとかそうゆう不安もあってそれならいっその事別れた方がいいと思ったの…』



俺は知っていた。

本当は受験というのは口実に近く、俺の先輩と付き合ってたこと。

俺が浮気相手だったんだろうと思ったらそれを知ったときはさすがに当時の自分にはきつかった。



『…やり直したあとも今度はちゃんと椿と向き合おうって思ってたのにやっぱり私がバカだったから…』



〔どうせまだ先輩とずるずる関係が続いてたんだろ。

今度は先輩が浮気相手だったんだろうけど〕



『…………今の俺は期待に応えられない。

ごめん。』



『………あのスミレって子の事気になってるの…?

……あの子綺麗だもんね。』


『?そんなんぢゃねーよ。

てか何でスミレのこと知ってんの?』


『…実はちょっと前に初めてお店に来た時に

椿と話してるとこ見て名前が聞こえたの…。』


『……あっそう……

…なんでも知ってんのな、俺の事も周りの取り巻く環境も。』



灰皿にタバコの火を消して立ち上がった。



『昔からそうだったよな…。

……でも俺は知らないことばっかでさ。

一体なんなんだよ、……』


『………過去のことはごめんね……

だからっ……もう一度だけチャンスが欲しいの…!』


『……無理だって…

俺はもうお前のことなんとも思ってない。』


『それでもいいっ…!!

今の私を見てそれから答えを出してほしいの…!

お願いっ…。』




俺の頭の中で昔雪音と付き合ってた頃の思い出が走馬灯のように駆け巡った。


年上の雪音はいろんなことを教えてくれた

そのいろんなことが雪音で始まって

そして雪音で終わったんだ






俺はこいつが嫌いだ……

いつも俺が追いかけて

捕まえようとすると逃げる猫のようなやつ


別に恋愛することが怖いんぢゃない

過去は綺麗して新しい一歩を踏み出した

今さら雪音はそんな俺になにを望んでるんだ






『………正直今の俺は雪音が知ってる前の俺ぢゃない。

ガキだったあの頃とは違うんだよ……』


『……いいの………。

わたしは椿とやり直したいの……もう一度だけ…』







また俺は受け入れるのか?


雪音は俺を幸せにはしないはず


そして俺も幸せにはできないはず








『………ごめん……

俺には無理だよ。

もう明日の準備もしたいから帰ってくれ…。』





俺は締めの作業をするために

バックヤードへと向かおうとした時だった。





『お願いっ!!……

椿が私の事を嫌いでもこの先気持ちが変わることがないとしても!……もう一度だけ一緒に居たい……』





雪音は俺の背中に抱きついてきた。





『好きなの………』




『……椿に好きな人が出来るまででいいから

一緒に居させてほしいの……。』















つづく。



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