ある日の2人
あれから椿と連絡を取らないまま1週間がたった。
別に前にもそんなこともあったしなんともないけど
メッセージの1つも送ってこないなんて椿らしいなと
思っていた。
わたしと先輩の関係は〔仮〕のまま続いている。
好きは好き。ちゃんと好き。
でも心のどこかで椿の存在がいるような気がする…
あの日寒かった夜に見た椿の顔は今でも鮮明に覚えている。
なんであんな目でわたしを見てたの…
遠くを見ているような目でわたしを見ていた。
誰かを思い出してた……?
そんなような雰囲気だったのだ。
『拓人さん…聞いてもいいですか?』
『なに?』
金曜日の夜はだいたいこうして先輩の家でまったりと過ごすようになった。
『わたしのどこを良いと思ってくれてるんでしょうか…?』
『えっ…急にどうしたの?。』
『なんでもいいんです……』
そう。本当になんでもいい。
なんでもいいから優しい拓人さんに言ってもらって
癒されたかった
何故か寂しい心を埋めてほしかった…
『うーんとね。
まず、凄く美人なのにそれを鼻にかけてないとこ。
話すと気さくだし明るいし、面白いし笑顔も可愛い。
でも弱いとこもあるし…。
…そうゆうちゃんと人間らしさがある菫と一緒に居ると俺自身、楽しいしずっと一緒に居たいって思う。
……
ってゆうかこんなこと言うのだいぶ恥ずかしいんだけど…!』
先輩はうっすらと赤くなり照れた顔をした。
『………ありがとうございます。
なんかちょっと元気出ました。』
『……ちょっとだけしか出ないの?』
『…いえっ!!たくさん元気がでました!!』
『まぁ…無理することはないんだけどさ、
なにか悩んでたの?』
悩み……なのかな。何故か元気が出ない感じなのは事実だ。
『なんか……こうして拓人さんと一緒にDVD見たり食事に行ったり一緒にご飯作ったり一緒にゲームしたり
夜は一緒に寝たり…。
いっぱいいろんな一緒に過ごすことをしていてそれでも
仮の状態でいる私って最低な気がしてきて……』
『それは…俺はどう受けとればいいんだろ。』
『あくまでもこれは私の勝手な気持ちであってなにをどうしたいとかそうゆうのではないんです…!!』
『けど…仮が無理なら答えをどっちかで出してもらうしかないし…さ。』
『無理とかぢゃなくて、拓人さんにたくさん我慢させているんぢゃないかとか色々とっ…』
『うん…そっか…。
でも本当はどうしたい?
終わりにする?……そうゆうことでいいのかな…。』
『そうぢゃないんですっ…!』
『俺は菫のこと大事だからなんだって我慢するし頑張るし
とは思ってたけど、…それでもやっぱ違うなってゆうなら
仕方ないよね。』
『っ拓人さん!!
…わたしの話聞いて下さい!!』
『………俺は諦めるしかないのかな……』
『拓人さんっ…!!』
わたしはソファーから立ち上がろうとした先輩の背中にとっさに抱きついていた。
自分でもなんでこんなことしてるのかわからなかった。
拓人さんの背中に自分から初めて抱きついてしまった。
すると拓人さんはわたしの方に向き直り
抱きしめ返してきた。
『俺は…そんな簡単に諦められねーよ………
……大事なんだ……』
『拓人さん……ごめんなさい……
辛い思いさせてしまってごめんなさい……。』
わたしは涙が出てしまった。
あまりにも先輩の気持ちが伝わってきて
先輩のことを愛おしく感じてしまった瞬間だった。
そして先輩はわたしの涙を拭うと
綺麗な瞳で見つめてきた。
すると次の瞬間
唇が触れた……
先輩との………
『ごめんっ…
今のはさすがに我慢出来なかった…。
ルール違反だよな……』
『拓人さん……。』
『駄目だよね、ちゃんと約束は守らなきゃ。』
わたしは拓人さんの誠実さも好きなんだと思った。
『ぢゃあ……罰ゲームとして、
駅前のすっごく美味しいケーキ屋さんのスウィーツご馳走様して下さい…』
『罰ゲーム!?
しかもそれが!?
いやっ…そんなのでいいならいくつでも買っていいんだけど…』
『実は最近、甘いもの食べてなかったので急に食べたくなっちゃいました……』
『菫ってホント面白いよ。
しかも切り替え早いし!
まさか……嘘泣きぢゃないよな?』
『ひどいです!!
本当の涙ですよ!!
もう先に行きますからねっ!』
『はいはい。』
わたしたちはまるで喧嘩をして仲直りをしたかのような
本当のカップルのようにマンションをあとにした。
いまだにわたしは答えを出せないでいる。
けど先輩の優しさに甘えていたかった。
そんなずるいわたしなのにそれでも、大事だと言ってくれた…
もう少しこのままでいたいな……
つづく。




