始まりの始まり。
『先輩!お疲れ様でした。』
『おっ。
お疲れ様。』
私、咲坂菫〔さきさかすみれ〕は出版業界に就職して半年が経った。
最初は色々不安だったけど意外と良い人達にも恵まれた甲斐もあって仕事もいたについてきた。
そして何よりも気になる人がいるというのが1番頑張れてる理由かもしれない。
『もう仕事は慣れてきた??』
『あっ!はい…まだまだですけど、先輩の指導のおかげで以前よりは慣れてきたかな、と思います。』
〔エレベーター内で先輩と2人きりで話すのは凄く緊張するっ…!〕
『咲坂さんは、元々のみこみが早いみたいだから俺からしたら教えるなんて大した事してないんだよね。』
『そんな事ありません!…先輩のおかげです…!
私が分かりやすいようにしてくださっているので。』
『そこまで言ってくれてありがとう。教えた甲斐があるよ。』
〔先輩の笑顔素敵っ!
あ〜あ…モテるんだろうなぁ…。〕
今日の仕事内容を振り返りながら私達は会社を出た。
『咲坂さんさ、このあとなんか用事ある?』
『いえ、特に何もありませんが…?。』
〔え!なんだろう!…食事のお誘いかな!?〕
『一杯、飲みに行かない?』
『いっ!!…行きますっ!』
〔ヤッター!先輩との初飲みだー!!みんなで食事会はあったけど2人きりは初めて〜\(^o^)/〕
、というわけで私達は会社からの最寄駅となる駅前の居酒屋で飲むことになった。
『咲坂さんてあんまりこうゆうトコ来ないでしょ?
おしゃれなバーとかが似合うもんね。』
『いえっ友人達と飲む時は全然居酒屋とかありますしおしゃれなバーの方が行く事少ないですよ!』
『ホントに?なら良かったけど!
ぢゃあとりあえず俺は…、生飲もうかな。
咲坂さんは?好きなの頼んでよ。』
〔先輩の注文の仕方1つだけでもまた素敵!!
ネクタイを軽くゆるめながらの生ビール注文!〕
『あっ…ぢゃあ私は…カシオレで』
『飲みやすいよね。
あと、つまみはコレと、コレ、コレで。また追加します。』
〔スマートな注文の仕方!!だらだら注文する人って嫌だ(´Д` )〕
『前に好き嫌いないって言ってたから適当に頼んだけど平気?食べたいのあったら注文しちゃってね。』
『大丈夫です!ありがとうございます!』
〔私の話したこと覚えてくれてたー\(^o^)/
いちいち嬉しいー\(^o^)/〕
『そういえば、俺のフルネームって覚えてくれてる??』
『当たり前ぢゃないですか!!
宮原拓人〔みやはらたくと〕さんです!』
『お〜良かった安心。
いつも“先輩“って呼ばれてるから忘れられちゃってるんぢゃないかって。』
『忘れるわけないですよ!安心して下さい!』
〔先輩の笑顔がまた可愛い…!
てか彼女はいないってゆう噂といるってゆう噂があるけど本当はどっちなんだろ…。聞きたいけどなんか聞きにくいー´д` ;〕
『そういえば…、
咲坂さんは彼氏いるの?』
〔!!先輩から聞いてきてくれた!!
私も聞くチャンス!!〕
『私はいないです。良い人がいたらいいんですけど。』
『えっ…そうなんだっ。てっきりいるんだと思ってたよ。咲坂さん綺麗な上に気配り上手だし入社当初から評判だったよ。それに好意持ってる奴多いって聞くしさ!』
『いやっ私なんて全然そんなことありませんよ…!』
〔先輩に褒められてること嬉しいんですけど☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆〕
『それより!先輩こそ彼女はいるんですか??』
『俺も付きあってる子いないよ!』
『え!!それこそ驚きですよ!』
『2年付き合ってる子がいたんだけど3ヶ月位前に別れたんだ。あっ…てかこの話内緒ね!会社内に広まると色々面倒だから。』
『誰にもいいません!任せて下さい!』
〔先輩との間にできた秘密っ…!
嬉しいんですけど☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆〕
それから時間はあっという間に過ぎた。
まだ先輩と一緒に居たい気持ちを抑えながらお店をあとにした。
『久々に飲んだし、…それに本当楽しかった!
有意義な時間をありがとう。』
『いえっ…!私の方こそ先輩とご一緒できてとても楽しかったですし!…ご馳走していただいてありがとうございます!』
『そんなのは当たり前だからいいんだよー!
いつだってどこでだってご馳走するよ!』
〔かっこいいんですけどーo(≧▽≦)o .〕
『えっと俺はこの駅から二駅のとこなんだけど…
咲坂さんは?』
『私は先輩とは反対路線の二駅のとこです…!』
と電光掲示板を見てみると私側の路線が人身事故で止まっていて復旧中、時間未定と流れていた。
『えっ!?…いつ動くか分からないなんて…。』
『本当だ。車で送っていってあげたいけど俺も酒飲んぢゃったしな…。』
『こうなったらタクシーという手があるので大丈夫です!』
『うーん…それかっ…、』
〔…?それか…??〕
『いやっ…なんでもない!
ぢゃあロータリーまで一緒に。』
そう言いながら先輩はロータリーでタクシーをつかまえてくれた。先輩が歩く後ろ姿はそれだけでも絵になるなぁと見惚れていた。
『ハイ、これで。
おつりは彼女に。』
タクシーのドアが開き私が乗り込もうとした時先輩がタクシーの運転手にお金を渡した。
『あっ…先輩っあのお金大丈夫です!!…ここから近いですし気にしないで下さい!』
『いいからいいから。
これは俺の自己満足だと思って。
ね?』
〔どこまで私を魅了すれば気が済むんですか〜(/ _ ; )〕
『…。う〜ん…と、ではお言葉に甘えさせてもらいます…。ご馳走になった上に帰りまでありがとうございます。』
『咲坂さんと居た時間を考えれば大したことないよ。』
〔!!そしてそれは一体どうゆう意味ですかー!?…〕
『…わっ私もすごく楽しかったです!
また明日もよろしくお願いします!!…』
…そう。わたしはそんな夢を見たのだ。あまりに現実とリンクしすぎていて夢だとわかった時は心底落ち込んだ(/ _ ; )
もちろん宮原拓人という先輩はいるし私も気になってはいるしとかその辺は間違いない。
だけど先輩に彼女がいないというのが現実と夢との違い…。現実にはモデル風な彼女と付き合っているらしい(´Д` )
私は朝の通勤ラッシュ内の電車内でモヤモヤしていた。ただ思い返すだけでも幸せな夢だった。
そして会社の最寄駅に着き歩いていると同僚の紗江子と会った。
『スミレ〜!おっはよ!
…って、なんか元気ないね…?』
『おはよ〜。そういう紗江子は朝から元気だね〜。』
『昨日、アフターシックスで涼くんとディズニー行って来て楽しくて!お土産買って来たから♪』
涼くんというのは紗江子の彼氏で同じ部署で働く同僚。年齢も私達3人は同じく23歳である。
『それは良かったね〜。
私なんて最高ででも最悪な夢見たんだから〜』
『なになにソレ!?どんな夢!?教えてよ!!』
私は会社に向かうまでの間に紗江子に話した。
紗江子は、まだ結婚してるわけぢゃないし彼女となんか別れるかもしれないんだから落ち込む事ないよ!
って…(´Д` )…まぁそれはそうなんだけど…(´Д` )
会社に着くと私と紗江子はデスクが遠い為、またあとでと会話を交わしそれぞれの位置についた。
私のデスクを見ると一枚のポストイットが貼ってあった。
“このメモ見たら5階の会議室に。宮原“
〔先輩ぢゃんっ!!!
でも朝からロビーになんてどうしたんだろ?
私仕事でなんか間違えたかな!?〕
考えながら急いで会議室に向かった。
〔朝礼まであと15分時間があるけど話だとしたらそんな短時間で終わるのかな…〕
会議室の前に着き、ノックをすると返事が返って来たので中に入った。
『失礼します…。
先輩おはようございます。』
『おはよ。
朝からここまで来てもらっちゃってゴメンね。』
〔てか先輩!!朝から爽やかです!!
素敵な笑顔ありがとうございます〜(´∀`* )
まさにこの人が私の気になる人物である宮原拓人センパイ!
23歳にして毎日青春感じてるような状況です。
そしてこれからどんな物語が始まっていくのでしょうか!
つづく。