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【日本昔話】  作者: ssラジオ高等情報局
1/1

人類編ノ1 (通算No.1)

『ST○P細胞は、あります!』

 その虚構の言葉により、時空間は震盪をおこし、

『耳聴こえないねん』

大きな亀裂を発生させた。


 そう、人は都合の悪いことをすべて闇に葬ろうとする動物である。


「……どこよ、ここ」

「今から600万年ほど前の日本列島だ」

 セレンはじとりとした目で俺を見る。

「2013年のサンクトペテルブルクに行くんじゃなかったの?」

「うーん、すまん。時間平面に亀裂が生じてな」

 結論、時空間移動に失敗してしまったというわけだ。

亀裂は依然として存在し続けている為、戻ろうにも戻れない。

 彼女はふうとため息をつき、額に人差し指を当てる。

「で、どーすんの?」

「さあな」

 時空間移動は最近偶然にして身につけた能力だ。

ある程度の制御もできるようになり、ちょっとした旅行もできるようになったのだが、

こんなハプニングは初めて……想像すらしてなかった。

「うぅ〜〜これだから……。ところで、600万年前ってどんな時代?恐竜とかいるの?」

「バカ、恐竜なんかいるわけないだろ。猿人の時代だ」

「バカとは何よ、バカとは!」

 バカにバカと言って何が悪いのか是非凡人の俺に説明していただきたい。

「ところで、えんじんってなに?」

 小首をかしげ、きょとんとした顔をしているが。

「授業で習っただろ!」

 彼女はちょんちょんと両手の人差し指の先っぽをくっつけ、離すことを繰り返す。

「授業寝てたから」

 思わずため息が溢れた。

さすが、期待を裏切らない。

「人類の歴史は猿人から原人、旧人、新人の順に移り変わっていったってことはわかるな?」

「つまり、猿は猿人から原人、旧人、新人の順に進化したのよね」

 もっともらしく聞こえるが、完全に間違っている。

「猿は様々な種類の人類に進化して、今残っているのが新人ということだ。

お前の言うような直線的な進化をしたんじゃない」

「ふん、わかってるわよそんなこと。ちょっと言い間違えただけ」

 このように、人は都合の悪いことを(以下略)。

「ほらあそこ、木のそばにいるのが猿人だ」

「猿の惑星で見たことがある気がするわね」

「ああそうだな。脳の容積は500立方センチメートル。新人の1/3に相当する」

「ステーキ一人前!」

 夕日を背中に浴び、ビシッと人差し指をさす彼女はポーズだけではあるがかっこよさげに見えた。

だが、多分それはこの可笑しなシチュエーションにおかれた俺が見た幻。

まったく、もう少し良い喩えがないものか。

「猿人の代表はアウストラロピテクス、アフリカで発見された。で、こいつのスゴいところは」

 アウ(以下略)はいつの間にか俺のすぐ横にいて、奇妙な鳴き声をあげる。

セレンは可愛い!と言いながらアウ(以下略)の背中を蹴る。

「なにアウストラロピテクス蹴ってんだよ!」

「ええ、だって、この子が蹴って欲しいって……」

「ウホッ!」

 気持ち良さそうに背中をさすっているアウ(以下略)の気持ちは全く理解できなかった、

いや理解したくもない。

 ……で、何を話してたんだっけ。ああ、そうだ。

「直立二足歩行を行い、道具を使用できる!」

「ねえねぇ、アウちゃんがお友達を紹介してくれるらしいよ!」

 おい、聞けよ人の話っ!

と言いたいところだが、色々気になるので許そう。

「で、お友達とやらはどこにいるんだ?」

「ウホッ、ウ、ウホホッ!」

 ああ、なるほど、全くわからん。

「あったま悪いわね、440万年前のエチオピアっていっているのよ!」

 なるほど、頭が猿人並みのセレンにはわかるのか。

うむ、合点合点。

「なにかいったかしら?」

いえいえ、なにも言っておりませんよ、ご心配なく。と笑顔で伝える。

……、いやちょっと待った。

「どうやって移動するんだよ?!俺今、時空間移動できないし」

「この子によると、そこにあるラベンダーの香りを嗅げば移動できるらしいよ」

 おいおいおい、そんな簡単な方法で……どっかで聞いたことはあるが。


「じゃあレッツラゴーーー!」「ウホオ!」


【問題】

アウストラロピテクスのお友達は誰でしょう?


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