同調 ~賽は投げられた~ Ⅱ
それから三日。
レクチェの容態は安定しているがまだ起きる気配は無い。
クリスは露店で菓子を買ったその足で、レイアの実家に向かっていた。
まるで遊びに行くような雰囲気で、剣も持たずに完全私服。
ちなみにレイアの実家の場所は、レフトが丁寧に地図を書いてくれたのでどうにか迷わずに歩けている。
流石、仲が良くなくとも幼馴染といったところか。
この調子で歩いていれば丁度日没だろう。
紙袋の中身を食べることも、ルフィーナに会えることも、クリスは嬉しくて仕方ない。
意識はまだ戻らないとはいえ、レクチェも帰ってきた。
エリオットともうまくやっていけそうだ。
こんなに良いことばかりでいいのか、と心が緩み過ぎていることに少し心配になるくらいである。
やがて辿り着いた、王都の中心部より少し北東に位置する立派な造りの屋敷。
大きい玄関でベルを鳴らすとしばらくして開かれるドア。
出迎えてくれたのはガイアだった。
「ようこそッス」
相変わらずの三白眼を少し細めて笑顔を作ったガイアに案内されるがまま、クリスは広いロビーの奥にある階段を上った先の部屋の前に立つ。
ガイアは周囲の見張りに回る、と言ってクリスと共に部屋には入らず、また階段を下りて行った。
クリスが一人でその部屋のドアを恐る恐る開けると、既に皆到着していたようで中央にテーブルを挟んだ状態で左手にエリオット、右手側にレイアが着席しており、そして奥の正面には、
「全然変わってないのねぇ」
貴方こそ変わってないですよ、と言いたくなる赤い瞳のエルフが優雅に紅茶を飲んでいた。
「ルフィーナさん!!」
思わず荷物を投げ出し駆け寄ってその胸に飛び込むと、紅茶を零すまいと必死にティーカップを安定させる彼女。
クリスが見たことがあるようなシャツ姿ではなくドレス姿のルフィーナは、それでも空いているほうの手で少女をぎゅっと抱き締める。
「元気にしてたかしら?」
「元気です!」
顔を上げてにっこり笑うクリスに、同じように笑い返すルフィーナ。
そしてクリスは、
「もう離れません!!」
と、フォウとの約束を今度こそ守るつもりでその想いを口にした。
のだが、
「え。どうしたの、いきなり」
無論その言葉だけでは伝わるわけもなく、ルフィーナが微妙な反応を見せる。
クリスがきちんと事情を説明しようとしたところで、先にエリオットの横槍が入った。
「やっぱりお前ちょっとレズっ気が無いか?」
「違いますよ! 私はフォウさんとの約束を果たしたいんです!」
「約束? ……あー」
以前に説明されたことを思い出したらしい彼は、それで納得したようだ。
だがまだ理解出来ないルフィーナは、クリスではなくエリオットに「説明を寄越せ」と視線を送っていた。
それを受けて翡翠の瞳が少し困ったように伏目がちになるが、それでも言葉を紡ぐエリオット。
「フォウがクリスに、ルフィーナを護れみたいなこと言ってたらしいぜ。よく分からんが」
「あらそうなの」
そして目線をクリスに戻し、ルフィーナはティーカップを机に置いて今度は両腕でクリスを抱き締め、
「じゃあ頼むわねぇ」
むぎゅうと少女の顔をその胸に引き寄せて、埋める。
クリスはその幸せな感触に、抵抗せず抱き締められたままでいた。
しかしクリスの右側では、クリスがばら撒いたお菓子を拾い終わったレイアが居て、その視線が……冷ややかである。
レイアはその理由を言う。
「クリス……ちょっとその、顔が緩みすぎだと思う」
その指摘にクリスが慌てて離れると、特にそれに対して気分を害した様子を見せないルフィーナが言った。
「フォウ君は随分変わっちゃってたけど、クリスはまだ男の子みたいだからお姉さん歓迎するわよ」
「おい変態、クリスをそっちの道に引きずり込むなっ!!」
「あらやだ、エリ君妬いてるの?」
くすりと笑う妖艶なエルフに、みるみるうちに顔を赤らめていく元弟子。
やはり元師匠には敵わないようで、完全に子供扱いされているエリオットはそれ以上反論すること無く押し黙ってしまう。
クリスはそのやり取りに懐かしさを感じていた。
だがそこで、先程から名前が出ているのにこの場には居ない存在が気にかかる。
「そういえばフォウさんは居ないんですね。お城に居残りですか?」
疑問を声に出すとエリオットがぽかんと口を開けて一言。
「はい?」
そんな馬鹿にしたような聞き方をしなくてもいいではないか。
クリスが唇を尖らすと、彼は更に続ける。
「いや、フォウはもう依頼内容済ませて出て行ったぞ……まさか聞いてないのか?」
「……ふぇ?」
それはどういうことなのか。
うまく思考が働かないクリスにレイアの助けが入った。
「フォウさんは三日前に城を出たんだよ。てっきりそちらにも挨拶して出て行くものだと思っていたのだが、その様子だと彼は立ち寄らなかったようだね」
「え、え、え」
茫然と立ち尽くすクリスに投げかけられる言葉はそれ以上無いまま、ただその事実だけが彼女の頭をぐるぐる回る。
「あっ、もしかしてまた捕まっちゃったみたいなことになってたり……」
「フォウがまた何かを知っていて捕まった。考えられなくは無いがそれまではずっと俺と居たんだ。もし何か知っていたなら既に俺に伝わってるから、その線は薄いだろ」
「そんな……」
まるで彼の不幸を願うような一言が洩れ、クリスはハッとして手で口を覆う。
でも誰も責めはしない。
そういう意図の言葉ではないことを、皆察しているのだろう。
エリオットが舌打ちしながら静かに皆の想いを代弁する。
「アイツらしくねぇなぁ」
「そうなの?」
ルフィーナが問いかけるとエリオットは彼女に顔を向けること無く、入り口のドアに視線をやって答えた。
「少なくとも俺はそう思うぜ」
「私も同意見です」
レイアも続く。
そして、場の空気が悪くなってしまったところを切り替えるようにまた話し出す。
「……で、ルフィーナさん。今回王子を内密に呼んでの話とは一体何なのでしょうか?」
「そうそう、さっさと本題に入らないと不味いものね。単刀直入に言わせて貰うわ」
その割にはあまり急いでいるように感じられない彼女の口調。
基本的にルフィーナは何にしても余裕があるのでそう聞こえてしまうのかも知れない。
そんな彼女にただ視線だけを向けて、エリオットもレイアも黙って続きを待つ。
クリスはフォウが何も言わずに出て行ったことが尾を引いていて、少し上の空。
だが、それも次のルフィーナの言葉ですぐに引き戻される。
「エリ君、今すぐにでもフィクサー達を殺して頂戴」
決してそんな風に軽々と言い放つような内容では無かった。
また紅茶に手を伸ばして口をつけるルフィーナ。
その瞳がいつもよりも深い紅に見えるのは気のせいか。
「それは少し困るんだが、理由を聞いてもいいか?」
彼らを仲間、とまでいかずとも自分の目的の為に利用したいのであろうエリオットが静かに問う。
「むしろあたしとしてはエリ君が困る理由を聞きたいわね。何があるのかしら?」
「俺は……自分をこんな体にした連中全てに復讐する。その為にアイツらが持っている情報が欲しいんだ」
「なるほどねぇ」
ティーカップをソーサーに戻し、宙を見つめる東雲色の髪のエルフ。
その表情は先程から変わることの無い飄々としたもの。
口を挟めそうにないその空気に、クリスとレイアはただ固唾を飲むばかりだった。
そして、
「諦めなさい」
聞き分けの悪い子供に言うように、ルフィーナがぴしゃりと言葉を放つ。
「今の貴方に出来るのは、やるかやられるか、それだけよ。多分……一旦仲間になっていた時期があるのよね? 無理よ、方向性が違いすぎるもの」
「やっぱり違うのか……違和感はしていたんだが」
エリオットが額に手をあてて悩み始めた。
「正確にはエリ君の目的もアイツらの目的も、途中までは同じ道筋で進められるのよ。ただ……エリ君がやる場合は少なくとも彼らと同じやり方で成功することは無いわ」
「詳しく頼む」
確かに全く意味が分からない彼女の説明に、その詳細を求める緑髪の王子。
その指は前髪を梳いたまま額で止まっていて、沈鬱な表情に影を作っている。
クリスはレイアからさり気なく紙袋を受け取り、中身のクランブルマフィンを頬張りながら、彼の求めに応じるようにルフィーナが話し出す言葉を真剣に聞いた。
「どこから話そうかしらね、多分最初からがいいわよね」
「そうだな」
「じゃあまずフィクサー達がああなってしまった事の発端から話すわ」
そして以前クリスが聞いた話をもう少し掻い摘んで彼女はエリオットに説明していく。
たまたま神がその身に降りていたレクチェと遭遇したことで、エルフでは無くなってしまったフィクサー達のこと。
それから元の体に戻ろうと躍起になっているフィクサーと、それを手伝うセオリーのこと。
とある事情で一緒にルフィーナも手伝い、そこに女神の末裔もが加担していたこと。
そして、レクチェを『壊して』しまったことによりそれらが崩れ、今に至ること。
クリスとしては聞いた内容を振り返るもの。
だが、ルフィーナは一つだけ言わなかったことがあった。
それはセオリーとの確執のあたり。
この件には確かに関係が無いから飛ばしたのだろうか、とクリスはそこまで深く考えずにアーモンドプードルの香ばしい風味を堪能しながら、対面の紅茶に手を伸ばす。
「ってクリス、それあたしの紅茶」
「あっごめんなさい、つい」
「ついって言うような距離じゃねぇだろ!!」
紅茶に手を伸ばすには、椅子を立ち上がってテーブルに片手をつかなくてはいけないくらいの距離はあった。
でもクリスは本当に無意識なのだから、つい、で間違いは無い。
「……淹れて来よう」
呆れ顔のレイアが再度全員分の紅茶を用意したところで話は再開される。
「順番的に次はお城でのことかしらねぇ」
「……機密書室に保管されていた、ルフィーナが書いた書類は目を通した」
「そう、それね。エリ君の魔力がちょっと違うでしょ。だから念の為丁寧に調べて欲しいって言われてやったのよ」
紅茶にミルクを入れてティースプーンに視線を流したまま彼女は淡々と事実を述べていった。
「魔力や身体異常的なものまでは分かるとして、一つだけ腑に落ちない検査がね、あったの」
「項目には一切何のか書いてなかったが、適性、だな?」
「そうそう。その時は何か金色の腕輪のような遺物を渡されて、それが僅かに帯びていた力との適性値を計らされたのよ。物が何だか分からないのにやれって無茶よね。今思えばそれが本題で、他の検査に混ぜることで隠そうとしたんでしょうねぇ」
結局その遺物の正体も、調べたのが何の適性かも、ルフィーナは真実を知らないと言う。
だが、推測は出来ているようで、
「あの遺物はきっと……女神じゃなくて神の遺産、と呼ぶべき物なんじゃないかと思うの。そして、それとの適性はイコールでビフレストとしての適性、そう考えられなくもないわ」
「ルフィーナは例の夢の内容を知っているのか?」
「フィクサーから大体は聞いているから」
「そうか。ってことは、それを踏まえた上での意味で受け取っていいんだな……」
さらさらと会話が進んでいくが、エリオットの夢は勿論のこと、その書類とやらに目を通していないクリスは渋い顔になる。
よく分からないがエリオットの先生をやっていた時代にルフィーナは、先生の他にエリオットの検査をしていて、その中に神の遺産との適性値を計るような作業があった、と。
そしてそれは隠さなければいけないようなもので……
そこまでクリスが脳内で情報をまとめていたところに、少女の右手側から怒りに満ちた声色が響いた。
「それらを王子に隠れて行っていたと言うのですか……っ!」
「そうよ。でも責められても困るわ、あたしはこの時点ではまさかこの件がビフレスト絡みだなんて気付かなかったんですもの。だってエルヴァンの指示だったんだから」
琥珀の鳥人の怒声を軽く受け流し、赤い瞳のエルフは話を続ける。
「先にエリ君の能力に目をつけたのはフィクサー達よ。レクチェがまたダメになって、いい加減代わりを探そうとしたんだと思うわ。エリ君ってば何度もその力をセオリーに見せていたしねぇ」
「そうか……」
気付けば後頭部で結っていた髪を解き、ぐしゃぐしゃと頭を掻き毟っているエリオット。
それを見ながらルフィーナがぼそりと「しかしまぁ見ない間によく伸びたわね」などと彼の髪型に対する感想を呟いていた。
そう、ルフィーナとはもう四年以上も会っていなかったのだ。
先日のフォウ以上に、変化に着いて行けないのだろう。
怒っているレイアに甘い物を、と最後の一つのクランブルマフィンを手渡して、今度はドライフルーツのビスコッティに手を伸ばしたクリス。
だがエリオットが気付いて注意をした。
「まてまてクリス、それはうるさいから食うな」
「じゃあ紅茶に浸します」
「……おう」
ボリボリ食べるのも好きだが、浸したビスコッティも嫌いでは無いのでやはり口にしては顔が綻ぶ、食い気たっぷりの少女。
というかこの少女は先程からずっと食べている。
気を逸らされたことで呆れた様子だったエリオットが、深い溜め息を吐いた後に一言。
「俺にもくれ」
クリスは笑顔で彼にビスコッティの小袋を手渡した。
皆、精神的に疲弊しているのかも知れない。
結局ルフィーナにも渡しておやつタイムに突入し、食べ終えたところでようやく話題が再開される。
テーブルにぽろぽろと屑を落としているのはクリスだけだった。
無論、口元にも一切菓子の粉がついていないルフィーナが改めて喋り出した。
「彼らがエリ君に目をつけたのはあの王都でクリスのお姉さんとの戦闘後。機密書室から書類を盗んで予想が確信に変わった彼らはエリ君を引き入れようとした……ってところよね多分」
「あぁ、神殺しをやってのけるって言うから話に乗っちまった。フィクサーの奴、自分にも俺の兄上達みたいな異常があるとか言ってたし、疑いなんて最初は持たなかったんだよ」
「信じるほうがおかしいですよね、あんな人達の話!」
入れそうな話題だったのでクリスが口を挟むと、即エリオットが睨みつける。
そんな二人のやり取りをルフィーナは微笑ましそうに見つめていたかと思うと、
「相変わらずねぇ」
と小さく笑った。
そして彼女は赤い瞳をまた鋭いものに戻し、エリオットに今度は疑問を投げかける。
「って、エリ君のお兄さん達、何かあるの?」
その問いかけにエリオットは少し驚いた様子を見せながら、彼女の質問に口を開いた。
「そこらは知らないのか? 兄上達の視力や精神異常はビフレストを通して神もどきに頭をいじられた際の副作用みたいなもんらしいぜ」
「な、何それ……」
「俺はゆっくり見せられたから良かったものの、フィクサーは一瞬で詰め込まれたせいで異常が起きたようなことを言ってたな。俺の兄上達も多分そうだろう、とさ」
エリオットの説明を聞きながら瞬き一つせずに一点を見続けるルフィーナ。
その目を次第に潤ませ唇を震わせる彼女に、クリス達は顔を見合わせる。
彼女のその反応はまるで、悲しみに耐えるようなものだったから。
「ルフィーナ?」
掛け難い状況にも関わらず、声掛けるのはエリオット。
俯いてしまった彼女の顔を心配げに覗き込み、彼は見たものに対して顔を辛そうに歪める。
やがてテーブルの上に一粒落ちた滴で、エリオットのように覗かずとも彼女が泣いてしまっているのがクリスとレイアにも分かった。
ルフィーナは少しそのままだったが右手で涙を拭い、グッと顔を上げるとエリオットの瞳をしっかりと見据えて言う。
「ごめんなさいね。エリ君、フィクサーの異常の内容って分かる?」
「いや、聞いたこと無いな」
首を振って返された一言を、彼女は溜め息まじりに受け止めながらもまた続けた。
「そう……でもだからこそ躍起になってるのね、ようやく理解出来たわ。エリ君は異常が無いからただの復讐に留まっているだろうけれど、彼はそれよりも先に体の異常を元に戻したいんでしょうね。てっきりあたしは単にエルフに戻りたいだけだと思ってた……」
「元に戻せるのか?」
「出来るとしたら自分達をそうした張本人だけだと考えているんじゃないかしら。だから神を再度降ろすことにしたんでしょ」
「……待った」
突然エリオットの顔色が変わり、引きつり始める。
というか笑っている。
何か笑うような内容が今の話に含まれていただろうか、と首を傾げると、レイアの顔色も変わっていて驚くクリス。
彼が止めたのでルフィーナは一旦口を噤み、エリオットが話し出すのをじっと待っていた。
そして、
「前にフィクサー達はレクチェに降りた神にいじられたって言ってたな?」
「そうね」
「ということは神に会うには、まず降ろさなくてはいけないってことになるな?」
「降ろすだけじゃないわ。エリ君もフィクサー達と同じ知識を植え付けられているのなら分かるかも知れないけれど、この世界では実体を持たないとはいえ、その精神は個として存在している。例えるなら女神の遺産の精霊のような存在であり、レクチェが出来ていた以上、普通に意思を通わせる方法はあるはずだわ」
「そうだな……レクチェがどういう方法で神と連絡とってたのかは知らないが、無ければおかしいからな」
「でも、どんなに頑張ってもそれはこちら側からはレクチェを使っても出来なかったの。だから最近方法を変えたようなことをセオリーが言ってて、多分……それはエリ君の想像通り、ね」
エリオットが想像しているものが何なのか、クリスには分からない。
仕方なく耳だけ傾けていると、ルフィーナの唇がまた言葉を紡ぐ。
「会うまではエリ君もフィクサー達も目的の道筋自体は同じ。でも……さっきも言ったけど、同じ方法じゃ無理よね」
「そういうことかよ……っ!」
エリオットの表情が本日一番に険しくなり、彼は当たるように拳をテーブルに叩きつける。
流石に分からなくなり過ぎたので、クリスは申し訳ないと思いつつも口を開いた。
「どういうことです?」
そこで答えたのはレイア。
彼女は歯を食い縛りながら言う。
「……あの男達は……王子に神を降ろそうとしているのだと思う」
「えっ」
エリオットに降ろしてしまっては、エリオットは神と会えないではないか。
というかそれでいくと、エリオットは自分で自分を殺すしかなくなる。
「あ、じゃ、じゃあ……」
「他のビフレストに降ろすなら、王子は確かにあの男達と利害が一致するように思える。だが他ではなく王子に降ろすのならば……王子は神に手を出しようが無いということだよ」
「そ。だから言ったでしょ、アイツらを殺して頂戴って」
ルフィーナはまた平然と「殺せ」と言う。
しかし……今度は先程と違って意味の伝わるものだった。




