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この箱庭よりも大切な人に  作者: 蒼山
第三部 第七章
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器 ~翻弄される者達~ Ⅱ

   ◇◇◇   ◇◇◇


 その頃、クリスは夜遅いにも関わらず寝付いていなかった。

 自分がどうしたいのか分からなくて。

 ライトに質問されたその答えを、必死に自分の胸の内から探り出す。

 けれど、どこを掘り返してみても一つの結論になど至らない。

 彼の傍に居たい気持ちも、彼から離れたい気持ちも……両方捨てられず宙に浮いたまま。

 自分自身、もどかしくて仕方なかった。


 真っ白なベッドで、真っ白な枕に顔を埋めながらずっとずっと悩み続ける。

 目元からじんわり滲む涙が、そのまま枕に吸い込まれていく。

 ただひたすら焦がれ求め続けるだけの感情。

 そう、クリスのそれは、愛ではなく恋だった。

 相手の行動に一喜一憂させられる気分の変化が苦しい。

 その笑顔に癒されたかと思えば、それが掴めないものであることに落ち込まされる。


 寝ようとし始めてからどれくらい経っただろうか。

 月明かりがぼんやり見える窓の外にクリスが目をやった時、部屋に青い光が溢れたかと思うと、


「おや、起きていたのですね」


 何か大きなものを肩に担いで室内に突然現れる、丸眼鏡の長身の男。


「ッッ!!」


 ベッドに立て掛けてあった赤い剣をすぐに取り、クリスはその切っ先を目の前の男に向けた。

 だが彼は向かって来たりせずに、まず目について気になったことを問う。


「泣いていたのですか?」


 涙は枕に吸わせていても、目の腫れは誤魔化せない。

 月明かりだけでも分かるほど、少女の瞼は赤く腫れていた。

 先程までの醜態を指摘されたクリスは、動揺して剣を持つ手が震えてしまう。

 この男にそんな顔を見られたことが悔しくて恥ずかしくて、本当ならばすぐに顔を背けたい。

 けれど、それをしていい相手では無い。


「どうだっていいでしょう……っ」


 どうにか搾り出した言葉で虚勢を張って、クリスはセオリーを睨み付けた。

 空間転移が出来る男なのだ。

 いつこうやって奇襲があってもおかしくなかったのに油断し過ぎていた、と自分を責める。

 彼らはいつでもクリス達をどうにか出来る。

 して来ないのは、する必要が無いからなだけで。

 先日のモルガナでの件然り、彼らの真の敵はクリス達では無い。

 赤い瞳の男は、弱い月明かりの下でその表情に影を落として言った。


「そうですね」


 ただ微かな相槌を。

 そして肩に抱えていた何かを床にどさりと落とす。

 そういえば一体何を持っていたのだろうか、とクリスは目を凝らして床に落ちたものを見つめ、


「……!!」


 声にならない声をあげた。

 何故なら、それはレクチェだったのだから。

 元々の服の色が何だったのか分からないくらい赤く染まった彼女を見て、クリスの意識が飛びそうになる。

 もうこの時点でクリスは一切セオリーに目を向けていなかった。

 頭の中が知らない感情でいっぱいになって、この男が嫌いだとか敵だとか視線を外しては危険だとか、そういうことが考えられる状態では無くなっていたのだ。

 精霊武器の剣先を前に向けたまま、視線は床。

 その状態で固まったままのクリスの耳に、声が響いてくる。


「礼を言って欲しいところですよ、捨て置くところをここまで運んであげたのですから」

「ぅ……」

「おや、少しばかりショックが大きすぎましたか? 安心なさい、まだ生きています」


 生きている……?

 その言葉が朦朧としていたクリスの意識を辛うじて呼び戻した。


「以前も心臓を突かれたはずなのに生きていましたし、多分原型を留めているうちは放っておいても問題ないでしょう……記憶やらがどうなるかは知りませんがね」


 この男の言っていることが正しければ、自分はこうしている場合では無い。

 震えが止まらない手を、剣を持ってない片方だけベッドにつき、今度はしっかりとセオリーを見つめてクリスは言う。


「何をしたいんですか」


 戦闘態勢に入るわけでもなく、瀕死のレクチェを連れてきてただ寄越すなどおかしすぎる。

 レクチェをこれ以上傷つけないかわりに、何かを要求でもするのか。

 するとセオリーはいつもの不快な笑みを作って、言い放った。


「特に何もありませんよ。単に先の戦闘でコレが手に入ったので貴方に見せようと思っただけです」

「見せる、ですって……!」


 あまりのことに、手だけでなく声までもが震えてくる。

 このような姿のレクチェを見せて、悲しむ顔でも見たかったのか。

 それとも怒った顔でも見たかったか。

 どちらにしてもこの男の期待通りの反応など絶対してやりたくない。

 そう思ったクリスの右手は、剣を握っていた力を強くした。

 震えを止めるために、ただ、強く。

 唇も一旦噤んで震えが止まったのを確認してから、クリスは悲しいわけでも怒っているわけでも無い顔を作って見せてやる。

 すると、セオリーの切れ長の瞳は少しだけ見開かれる。

 驚いているように。


「レクチェさんを連れて来てくださり、ありがとうございます」


 その時のクリスは、少なくとも自分では優しく微笑んでやったつもりだった。

 けれどその笑顔はセオリーが驚くほどに、暗く、冷たくなっていた。

 クラッサに対する反応から鑑みると、セオリーは他人の憎悪や悪意を見ることが好きな変わり者といえるだろう。

 勿論この瞬間も彼は喜んで、一緒に笑おうともした。

 が、何故か彼の表情は引きつってしまう。

 愉快なはずなのに、彼の中にはもう一つ別の感情が芽生えてしまっているからだ。

 この状況でそのような表情を作った少女に対して、僅かな……恐怖という感情が。


「ふっ」


 それらを誤魔化すように、セオリーは俯いて息を吐いた。

 セオリーの前屈みになった姿勢は、スーツの肩から胸にかけてべったりと染み付いている血をクリスに見せている。

 それによって更に感情を逆撫でされる少女。

 やがて、ベッドの上に立ち上がったクリスの体は押さえずとも震えることはなくなっていたが、自身でそれに気付くことは無いまま、再度剣を構え直す。


「でも、もう必要無いんで帰って頂けますか?」


 いつかだれかがいっていた。

 冷静になろうとするのは戦闘中でいいと。

 それは今だと思い、クリスは感情を掻き乱されないように、至極冷静に言葉を紡いでいたつもりだった。

 けれど周囲が見たならばとてもそうは見えない。


「レヴァ、命令を聞いてください」


 クリスのこれはただ、


「この男を焼失させて貰えますか」


 内に燃える炎が凍て付いているだけの話。

 クリスの言葉を聞いて顔を上げたセオリーの表情は不思議なものだった。

 嬉し涙でも流すのではないかと思うくらいに目と口を細め、そしてその端を歪ませている。


「……どれほどのものか受けてあげましょう」


 クリスを試すように無抵抗のまま立つセオリーへ、クリスはこの手の中の剣を大きく斜め一線に振り斬った。

 肩口から腰まで、深く。

 その時いつもならばただの良く斬れる剣だったレヴァが、秘めていた力を初めて見せる。

 振り斬った直後、熱過ぎるがあまりに逆に冷たいのではと思ってしまうくらいの感覚を肌に残す何かが、クリスの心に呼応するように目映く光った。

 ダインが言う通り、それは炎のようで炎とは全く違うもの。

 熱かったはずなのに部屋は少しも燃えておらず、本気で振れば辺り一面が燃えるようなことをレヴァが言っていたがそれも無い。

 ただ目の前からは跡形も無くセオリーの人形が消えていた。

 室内に残る空気の熱さだけが、何となく消失ではなく焼失なのかも知れないと思わせる程度に漂っている。

 そして床に取り残された、


「レクチェさん……」


 以前胸をダインの刃で刺されたにも関わらず、辿り着いた先で普通に生活が出来ていたのだから、自己治癒能力がとても高いのだろうと考えることが出来る。

 セオリーの言う通り放っておいても問題無いかも知れない。

 けれどこんな血塗れの状態で放置するわけにもいかない、とクリスはベッドから降りて彼女の体に手を触れた。

 自分ではこの状態のレクチェをどう扱えばいいのかさっぱり分からない為、ライトを呼ぶという案が過ぎる。

 それならばすぐ呼びに行くべきだというのに、クリスの足は動かずに膝を折った。

 リャーマで再開したあの時、幸せを願って別れた初めての友達がそこに横たわっている。

 息をしているようには見えず、正直なところ生きているとは思えない。

 けれど、もし彼女が息を吹き返すことがあるのなら……


「っ」


 最低なことを考えている自分に、クリスは泣きそうになる。

 クリスは、こんな姿でも彼女が戻って来てくれて嬉しいと思っているのだ。

 あの幸せだったであろうリャーマでの生活を壊され、酷い目に合わされている彼女のこの結果を、悲しく思っていると同時に心の奥底で喜んでしまっている。

 近くに居ても不快感がこみ上げてこないのは、彼女が瀕死の状態だからだろうか。

 触れても熱くならず、気分が悪くなったりもしない。

 クリスは、エリオットに抱いているような感情を、レクチェにも種類は違えど抱いているのだろう。

 とても一方的な好意というものを。

 相手の幸せを願っていたはずなのに、それはどれも上辺ばかりだった。

 勿論その願いが全部嘘というわけでは無い。

 でもそこに自分の望むものがぶら下がった時、それでもその他人の為の願いを通せるほど、クリスは善人では無いのだろう。


「ごめんなさい、ごめんなさい……っ」


 泣きそうではなく、もう泣いていた。

 彼女の赤く染まった胸に額を押し付けて、涙をその血と混じらせる。

 少女は、ライトがその声に気付いて部屋に来るまでの間、ずっと慟哭していた。




「ふむ」


 あれから、一向に傷が治るわけでもなく全く動かないレクチェを一先ず隣の部屋のベッドに寝かせ、それをライトが診ている。

 衣服は全部着替えさせ、血を拭き取った後に見えた彼女の体は、ライト曰く不思議なことになっているらしい。

 普通ならばすぐに血が止まるとは思えない傷が辛うじて塞がっていて、他にも癒えかけの傷がいくつかある、と彼は言う。


「初めて見るが……多分俺に近いものを持っているのだろう」

「ですわねぇ」


 何だかんだでレクチェと初対面のライトとレフトが、この状況にも関わらず興味深そうに彼女の体を見ていた。

 レクチェは今、胸の傷をしっかり診る為に、着せたブラウスのボタンは外され、その胸を露わにした状態だ。

 だがそこは医者。

 エリオットと違ってレクチェの胸にいやらしい視線を送る様子は見当たらない。

 まぁ……この獣人の医者は、大きい胸に興味が無さそうではあるが。


「ライトさんに近いもの、ですか?」

「あぁ」


 ライトの力といえば、ディビーナと呼ばれる癒しの力のことだろう。

 魔力なようでそれとは全く違うものだ、とだけ昔に聞いた記憶がクリスにはある。

 それに近いものがレクチェにもあるから、まだその体が冷たくならずに済んでいるのか。

 でもやっぱり分からない……とクリスは腫れぼったい目を凝らして再度レクチェを見てみた。

 すると彼女の胸の傷口に指を突っ込むライト。


「な、何を!」

「どういう状態か確認しているだけだ」


 深く突っ込んでいるわけでは無いが、見ているこちらが痛くなる彼の行動にクリスの体が固まってしまう。


「目に見える範囲に魔術紋様は見当たらないが、多分内側にあるのだろう。それによって自身の傷を即座に癒せるようになっているのだと思う。だが、それを使う為の元となる力が足りていなくて、こんな中途半端な状態で治癒が止まっているように見える」

「そ、そうなんですか……」


 そう言われると納得出来る節が沢山ある。

 傷ついた後、半端に記憶だけ無くしてしまっていたりするレクチェ。

 何度も大変な目に遭っていれば、それを癒す為の力の貯えが無くなって、全ての異常の治癒に力が回らなくなるのかも知れない。

 傷口から指を離して、パジャマ姿の白髪の獣人はその右手をレクチェの胸の上に浮かせ、少し握るようにして言った。


「俺が傷を癒すことも出来そうだが、これならディビーナ自体を分け与えたほうがきちんと完治しそうだ」


 そこで、彼の表情が無表情から、やや険しいものに変わる。

 そして握り締めた右手から金色の粉のようなものが零れてレクチェの胸に降りかかり、その粉は積もるのではなく彼女の肌に吸い込まれていくように滲んで消えていった。

 ライトのそれは粉末上だが、エリオットやレクチェの使う魔力の色と類似しているようにクリスの目に映る。

 しばらくそれを続け、ライトが握り締めていた手を開くと自然とその粉も落ちなくなった。


「……っ、俺はもう寝る。後は放っておけばいい」


 ゆらりと椅子から立ち上がり、言うだけ言ってさっさと部屋を出て行ってしまう彼。


「こ、このまま放っておいて大丈夫なんですか?」


 ライトが居なくなってしまったので残ったレフトに問うと、彼女はにっこりとクリスに笑いかけた。


「はい~。お兄様は随分サービスしてくださったようですから~、後は彼女の自己治癒能力に任せておけばいいと思いますわ~」

「は、はぁ……」


 サービスしていたのか、アレは。

 かなり分からないけれどエリオットへの治療も、いつも「後は放っておけばいい」流れが多かった。

 一旦力を使い与えたら、時間を掛けつつも勝手に体が治っていくとかそんなところだろうとクリスは解釈した。

 ぽかんと口を開けながら、ベッドの上のレクチェを見つめていると、


「!」


 呼吸をし始めたのが分かる胸の動きに、ドキリとさせられる。

 それを見てレフトも安心したように、彼女のブラウスのボタンを一つずつ丁寧に留めていった。


「同じビフレスト、と聞きましたけども~、エリオット様とは随分違いますわね~」


 最後までボタンを留めて布団を体に掛けてあげた後、先程までライトが座っていた椅子に今度はレフトが座る。


「具体的にどのあたりが違うんです?」


 クリスが尋ねると彼女の優しげな金色の瞳が困ったように細められ、人差し指を顎にあてて唸りながら、


「そうですわね~……まずエリオット様と違って魔術が使えないと思います~」

「つ、使えない、ですか?」


 以前エリオットから聞いたものと同じ言葉が紡ぎ出されたことに、クリスはひたすら疑問符を投げかけるばかりだった。


「そうですわ~。もしお兄様に近い何かがあるのでしたら~、適性以前に普通の魔術は発動しないと思います~」


 そう言ってレフトは自分の左腕の袖を捲って、そこにあるものをクリスに見せる。

 彫り物ではなく、痣のような魔術紋様。

 手首より少し心臓に近い位置から肘にかけて浮かんでいる痣はフォウの背中で見たものとは違い、吸い込まれそうな渦がメインの、何か悪いものでも喚んでしまいそうな怖くなるデザインだ。

 しばらく見せた後、袖を戻して彼女は話し始める。


「これはカルドロンに分類される天然の魔術紋様なのですが~、わたくしはこの紋様があるから他の魔術は使えません~」


 カルドロンが何なのかクリスには分からないが、後半のレフトの言葉に少女の意識が集中した。

 多少かじってはいるものの、魔法も魔術もそこまで得意では無いクリス。

 だが、ここまで説明して貰えればその先も何となく分かる。


「天然の魔術紋様は他の魔術紋様に干渉し、発動を妨害してしまうってことです?」

「その通りですわ~」


 ほえーっと口を開けてレフトの話を頭の中で巡らせた。

 魔法が自身の体内の魔力を用いて紡ぎ出す能力ならば、魔術は形と理解から成す技術的なもの。

 魔法の得手不得手はキャパシティによるものだが、魔術はそれがアビリティ。

 頭の良い者ならば、適性による多少の相性はあれども極めていける部類の技である。

 クリスは残念ながらあまり勉強が得意では無いので魔術はほんの少し、聖職者として必要最低限のものだけ覚えるのに精一杯だった。


「だから皆さん、魔術を使う様子が無かったんですね……」


 そう、ライトはさておき、フォウ。

 彼は見たもの全てを記憶出来る便利な能力があるのだから、その能力さえあれば存在が確認されている全ての魔術紋様とその理解すべき構造を、簡単に頭に叩き込んでルフィーナ以上の術者になることが出来るはずなのだ。

 けれど彼は、戦闘はからっきし。

 剣を振るえなかったり魔法が下手だったりまでは分かるが、魔術を苦手とする理由が彼には見当たらない。

 でも使えるとは聞いたことが無い。


「そ、そっか……」


 あの二人は便利な能力を持っているけれど、一応デメリットもあったのだ、とクリスは考える。


「ちなみにクリスさんはカルドロンはご存知ですか~?」

「あ、ごめんなさい。知らないです」

「だと思いましたわ~」


 先程まで寝ていたこともあり、三つ編みが解かれ下ろされたその絹糸が、ふふふと笑う仕草でふわふわと揺れた。


「言葉自体は大釜の意をもちますが簡単に言いますと~、お兄様が純粋に与えるだけの癒しなのに対し、わたくしの力は一旦奪わないと与えられない癒しなのです~」

「奪うですか!」


 彼女の性格を考えると、持って生まれた力が似合わなすぎる。

 どちらかといえば、レフトがディビーナで、ライトがカルドロンのほうがしっくりくるのではないか。

 レフトが何かを奪うだなんて、クリスは聞くだけで違和感がしてくる。

 表情を歪めたクリスに彼女は言葉を続けた。


「ですから~、ほとんど使ったことはありません~。最近使ったのはクリスさんの中の精霊を抜き取る際ですわね~。といっても私の力は奪いすぎてしまう節がありますので、フォウさんに見極めて貰いながらの作業でした~」

「なるほど……」


 クリスの為に少し脱線した話はそこでおしまい。

 とにかく、エリオットを除くビフレストは自動治癒能力を持つ魔術紋様を体内に作られているが故に、他の魔術を使う適性を持っていないということである。

 神が作ったレクチェは、エリオットに近い不思議な魔力を持ち、それでいて驚異的な治癒能力まで持たされていた。

 けれどその代償として他の魔術が使えない。

 同じように神によって体を作り変えられたセオリーとフィクサー。

 彼らはビフレストとは逆に、魔法や魔術にも特化された体のように思える。

 戦闘時のセオリーは魔法をメインで使ってくるが、そもそも魔術を用いてあの人形を動かしているのだから。


 ――そして順番的に最後に作られたであろうエリオットは、


 不思議な魔力による攻撃が可能で、その特殊な魔力を使いこなすことで自動治癒では無いものの体をすぐに癒すことが出来、一般的な魔術も問題無く上手に使える。

 多分今後は、その夢の知識によって更に高度な魔術も使えるようになるのだろう。

 あれ、何だかいいとこ取りだ。

 ふっと過ぎった想像がクリスの胸を圧迫して、


「まるで、実験じゃないですか……」

「?」


 喉の奥から搾り出された少女の独白に、レフトが首を傾げてその綺麗な純白の髪をまた揺らした。

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