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明けたようですね


 「あけまして、おめでとうございます」

 『なんだい、それは?』

 「私の世界での一年が明けたときの挨拶ですよ」

 『へ~』


 さて、年越しに関してはこの世界も同じなのか、夜だというのにたくさんの人々がお祭り騒ぎをしているところです。

 宗教的なものに入信している方々はお祈りをしていますね。

 そういったことに関しては全くと言っていいほど興味がないので、私はお祭り騒ぎな街をポメちゃんと回ることにしました。


 『相変わらず、この国は盛んだね』

 「そうですね~。やっぱり、一年の始まりは明るく始めたいんでしょうね」


 露店を覗き、おいしそうなものがあれば買って食べる。お祭りなんかの基本です。


 『それにしてもアヤメ、よくそんなに食べられるね……』

 「そうですか? まぁお祭りの雰囲気というのもありますし、ねぇ」


 一応利き手は使えるように片方の手だけで持てる食べ物を選んで食べているんですが、主に果物系ですね、シロップでコーティングして棒状に切ったものだとかは食べやすくていいですよね。ほら、例えるならチョコバナナなんか。


 「いらっしゃーい! うちのベステはうまいよー」

 「ほぉ、じゃあそれを一つ」

 「はいよ。5ジェルカね……毎度ありー!」


 おっちゃんに言われたのであれば、買ってみなくては。

 ちなみに、ベステは魚類の一種でして、今かったのは串でぶっ刺したベステに甘辛いソースを塗ったくってから焼いたものです。ベステは新鮮であればあるほどさっぱりとしており、時間を置くと脂肪が変質してこってりとした味わいになる魚です。


 「ふむふむ。へぇー」 

 『どうなんだい?』

 「いやはや、さすがに自慢するだけあって見事ですよ」


 一口食べてみたところ、中々うまく熟成されています。

 少し時間を置いたところでさっぱりとした中に少しまったりが混じっていて、そこに甘辛いタレがあるから甘すぎない味がまたいいです。よく噛んでみれば焼いたことで溶けた油がさっぱりとした身を包むことで途中から味が変わるという面白い工夫までされてます。うん、正解。


 「さて、そろそろ行きましょうか」

 『あ、忘れてなかったんだ』


 当たり前ですよ。というか、街まで出て来たのだって用事を済ませるためなんですから、主目的忘れてどうするんですか、まったく。

 もちろん、1年の始まりというのですから、いろいろなことが起こったり、始めだからこそ行わなくてはならないことっていうのがあるんです。

 特に、魔法使いだからこそしなくてはならないこともあります。


 「それにしても、一応この街にも魔法使いいましたよね?」

 『うん、いるよ』

 「じゃあどうして私がやるんですか……」

 『どうやら、彼は肉体労働じゃなくて頭脳労働っていうのがあるらしくて、だからやらない、らしいよ』

 「それ単に私の事脳筋とかいいたいんですか?」


 これでもか弱い乙女なんですがねぇ……。魔法使いだからって怖いもの知らずとか言ってる人いたらちょっとでいいから魔法使いの身にしてあげたいんですがねぇ。

 ま、やることはやらないといけませんし、請け負ったのが私なんですから責任も全うしなければ。

 というわけで、街から少し離れたところにある祠。


 「いつきても、気味悪いですねぇ」


 ポメちゃんは、外で待機させています。一応あの子、こういったところは悪影響が出ちゃうそうなのでそういうことにしてます。

 で、この祠に祀られてる人がいるわけなんですが。


 『よくぞ、来てくれた』

 「相も変わらず、血気盛んですねぇ」

 『ふん、これもこの土地を守っている故としろ』

 「そうですね、そうしておきましょう」

 『では、さっそく頼んでいいか』

 「わかりました、よ」


 この国を作り上げた、初代の王様です。

 この国王様、いわゆる成り上がりというか、その身一つで本当に国を作り上げた人らしいです。

 元々が貧しい村の出で、そこから戦争戦争また戦争、といった具合に身の上を上げていった結果、国の重要なことろまでいったらしく、かと思いきやそれまでの自分の国が突然彼の村を壊そうとしたらしく、そこで一斉蜂起。やんややんやと腕っぷしでは最も強く、さらには多くの仲間を率いて革命起こし、戦争しながらいつのまにやら王様に、って具合でだったそうです。その彼が亡くなったのは寿命なわけでしたが、それでも国に、というよりは村に執念があるらしくて、今後自分の作り上げた国が自分の村や他の村なんかを虐げない様に、守りながら、他にもモンスターから国を守ると言った風にいまでは英霊みたいな感じになっているというわけです。

 で、どうしてその初代の王様がこんな祠いるかと言えば、ここは国の中でも重要な地脈の一部でして、彼はここの地脈の力を借り受けながら、国を守っているというわけです。

 私がここに来た理由は結構簡単でして、いわゆるお祓いです。

 地脈というのは善悪問わず、力の塊でして、それを借り受けているこの王様はもちろん力が高まっているわけですが、そのせいで穢れも溜まってしますんです。ですので年初め、穢れを吐き出させてあげて、今年も守ってもらいましょうというわけです。

 では、肝心の穢れを祓う方法。それはですね。


 『では、手加減などせず、やってやろう!』

 「いやいや、元々手加減なんて知らないでしょぉ!」


 王様の鬱憤を晴らさせるために、殴り合うということです。ガチンコで。


 『うらぁ!』

 「やぁ!」


 もちろん、相手はこの国で最強と言われている人です。その人がいくら霊体になっているといっても格は英霊です。しかも、汚れた力というのは暴力的な力を持つもので、地脈によってさらに力の増しているというのは厄介なのです。

 私が魔法使いでも、そんな暴力的な力に油断をすればあっさりとぽっくりですよ。

 そういった意味では、戦いというものに慣れてないといけないわけでして……。


 『おらおらおらおらおらおらおらおらおらおら!!!』

 「≪肉体強化≫! ≪障壁強化≫! ≪燃えてしまえ≫!」

 『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!』

 「やっかいすぎでしょーもぉー! この脳筋王がーーー!!!」

 『はっはっはっはっはっは!』


 なんですか、この王様ホント。

 戦い始めた途端に最高にハイってやつですか。戦闘狂にもほどがあるでしょう。よく王様出来ましてこの人は……。いや、一応穢れを前面に発揮してるからこうなのかもしれませんけど、それでもメンドすぎでしょう、これ。

 とりあえず、私のするべきことは王様飽きさせないように戦い続けることだけです。私には疲れる作業なんです。代わりたいとか言った人、これやりたいですか?





 『うむ、すっきりした』

 「そう、ぜぇ、ですか、ぜぇ……」


 なんとか、満足してもらえたようです。

 う、なんという眩しい笑顔。


 『それにしたって、死んでからでもこんな幸せなことが出来るとはな。最初はびっくりしたが、箱を開けてみればさらに驚かされて楽しかったものだった』

 「私としてみれば面倒この上ないんですけどね」

 『そういうな、魔法使い。おまえもこの国に住むものであり、間接的であろうともこの国を守る者なのだ。感謝はしている』

 「感謝して貰てるのはわかりますよ。一応、これもお仕事に一環ですからね」

 『仕事か。そうだな、仕事だ。投げ出せるものを投げ出さないというのは、重要なことだ』

 「別に、放っておくと厄介なことになるからやってるだけですよ。それでお金諸々がいただけるんですから、それで十分ですよ。それじゃ、帰ります」

 『ああ、ご苦労だった。来年も、逢い見えよう』


 こういった経緯を以て、私の1年最初の仕事が終わるのでした。

 それでは皆さん、今年もよろしくお願いいたします。



というわけで、今年最初の更新です。

もう一度ここで挨拶を。

明けましておめでとうございます。

今年も一年、よろしくお願いいたします。

また、この一年も私の執筆した小説も、よろしくお願いいたします。

それでは皆々様方、今年がよいお年でありますように。

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