表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/21

行き遅れとか言った人は表に出ましょうか?



 「あか~り、つけましょ、うなななな~」

 「ドカ……お花をあげましょ、ハゲのはな~」

 「ご~にんばやしの、ふえちょんぱー」

 「きょ~あにたのしい、ひな祭り~」

 『……なにそのこれじゃない感ありまくりな歌詞は』

 「え、いやー口ずさんでみたらなんか、出て来たんですよね。ただ子供の頃はほとんど正規の歌詞じゃなくてこう、ブラックな替え歌があったものでしたから、それと混ざっちゃうんですよね~」

 「なにそれ子供怖い」

 「あっはっは~、まぁ何も知らないからこそ生まれた歌みたいなもんですからねー、実際に私が『ふえ』っていたところは『くび』に置き換えられてましたからね。一応私の今のは結構緩くしたものですよ?」

 『その『ごにんばやし』っていうのが何か知らないけど、後ろの歌詞を見る限りに首のある生物だし、確実にその光景は猟奇的だよね……』

 「そうですねー、今だからこそわかるってもんですよ」

 『それで、その歌をなんで歌ったんだい?』

 「ま、例にもれず私の住んでいた場所の記念日みたいなものですよ。特に、女の子のためにある」

 『おん、なの……子?』

 「ん?」

 『何でもないです』


 まったく、ポメちゃんはいっつもそういう冗談を言うんですから。

 ええ、まったく。まったく。私はまだまだ若いんですよ? ピチピチなんですよ? わかってます?

 あまり口を滑らせるというのは良くないと思うんです。口は禍の元と昔の人はよく言ったものです。


 『そ、それで、その日はどういうことをするんだい?』

 「そうですねー、最近の家庭ですとまったく見かけなくなったんですが、『雛壇』という、階段上の壇を用意するんです。そこに、上から女性のお雛様、男性のお内裏様、その下に三人官女、楽器を持つ五人囃子、まぁ他にもいろいろとあるんですけど、実際のところよくわかってないんですよね、私」

 『へぇー、オンナノコなのに?』

 「なにか?」

 『いえいえ』

 「で、まぁそれを家に飾るわけなんですが、一つだけ絶対に注意しないといけないことがあるんですよ」

 『なんだい?』

 「ええ、雛壇は飾ったら、ひな祭りの当日までに仕舞わないといけないんですよ」

 『それ、もししなかったら?』

 「なんでも、女の子は嫁げなくなるそうです」

 『だったらアヤメには関係ないね』


 よし、この子朝日を拝まないと宣言したんだ。

 ならば、徹底的にいたぶるしかないね。今日に限ってこうも人の癪に障る部分をつっついて来るとは、確実に舐めているよね。うん。


 「ああそれと、ひな祭り特有の食べ物で、雛あられというのもあって、もち米や豆を炒ったものを砂糖で味付けして、桃の色や草の色にすることで生命を象徴しているみたいですね。他にも菱餅と言って、名前の通り菱型のおもちなんですよ。それで、赤、白、緑の三色三段構造になっていて、赤は厄払いなどの桃、白は清浄を表していて、緑は穢れを祓う萌える若草を表現しているようですね」

 『ふーん、それにしてもアヤメは雛壇のこととかはわかってないのに、食べ物はよく知ってるね。なんだっけ、花より団子? 色気より食い気? そんな言葉があったような……』

 「ポ、メ、ちゃ~ん?」


 いま、お前は言ってはいけないことを言ってしまった。

 そう、言ってはいけないことだ。


 『な、なんだいアヤメ? そんな怖い笑顔をして』

 「ポメちゃんは~、もうちょっと~、女心というものを~、考えましょうね~?」

 『ま、待って! 待ってよ! 待ってください!』

 「無理☆」


 さぁ、処刑の時間だ。

 祈りは済んだか、この駄スコット?

 今宵はただでは済まさんぞ。



実のところ正規な歌詞は知りません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ