第六章:大魔法アースクエイク
国境の砦。
帝国軍15万人の総攻撃が、始まった。
「全軍、突撃ーーー!!!」
ルキウス将軍の号令と共に、15万人の大軍が一斉に動き出した。
地が、揺れた。
砂塵が、舞い上がった。
まるで、津波のような人の波。
マーカス将軍は、城壁の上から叫んだ。
「全軍、迎撃準備!」
「弓兵、射撃開始!」
1万人の弓兵が、一斉に矢を放った。
空が、矢で覆われた。
「シュシュシュシュ!」
矢の雨が、帝国軍に降り注いだ。
「うわあああ!」
帝国兵が、次々と倒れた。
だが、15万人の大軍は止まらなかった。
倒れた仲間を踏み越えて、前進を続けた。
マーカス将軍は、続けて命令した。
「魔法使い、魔法攻撃!」
1,000人の魔法使いが、一斉に魔法を放った。
「ファイアボール!」
「アイスランス!」
「サンダーボルト!」
巨大な火球、氷の槍、雷撃。
帝国軍に、魔法攻撃が襲いかかった。
「ドカーン!ドカーン!」
爆発が、次々と起こった。
「ぐわああ!」
帝国兵が、吹き飛ばされた。
だが、帝国軍の魔導師団も反撃してきた。
「魔導師団、前へ!」
9,500人の魔導師が、魔法を唱えた。
「メテオストライク!」
「ブリザード!」
「チェインライトニング!」
空から、隕石が降ってきた。
吹雪が、砦を襲った。
雷が、次々と兵士を襲った。
「うわああ!」
リベラ兵が、倒れていった。
マーカス将軍は、叫んだ。
「魔法大砲、発射!」
「目標、敵魔導師団!」
10門の魔法大砲が、一斉に発射された。
「ドーン!ドーン!ドーン!」
巨大な魔法砲弾が、敵魔導師団に向かって飛んでいった。
「ドォォォォン!」
爆発が、敵陣で起こった。
魔導師が、次々と吹き飛ばされた。
「うわああああ!」
だが、帝国軍の数は多すぎた。
魔導師団が100人倒れても、まだ9,400人残っている。
そして、通常兵士は14万人以上いる。
副官が、マーカス将軍に報告した。
「将軍!」
「城壁の東側、突破されそうです!」
「西側も、危険です!」
マーカス将軍は、歯を食いしばった。
「くそ!」
「数が多すぎる!」
その時。
帝国軍が、梯子を使って城壁を登り始めた。
「登れ!登れ!」
「城壁を奪え!」
帝国兵が、次々と城壁に到達した。
リベラ兵と、帝国兵の白兵戦が始まった。
「うおおお!」
「死ね!」
剣と剣が、ぶつかり合った。
血が、飛び散った。
マーカス将軍は、剣を抜いた。
「戦闘ゴーレム、全機出撃!」
900体の戦闘ゴーレムが、城門から飛び出した。
ゴーレムは、帝国兵を次々と倒していく。
「ガシャン!ガシャン!」
鋼鉄の拳が、帝国兵を粉砕した。
だが、帝国軍の魔導師団が反撃してきた。
「魔導師団、ゴーレムを破壊しろ!」
数千の魔導師が、ゴーレムに魔法攻撃を集中させた。
「メテオストライク!」
「フレアバースト!」
巨大な爆発が、ゴーレムを襲った。
「ガシャーン!ガシャーン!」
ゴーレムが、次々と破壊されていった。
900体が、800体になった。
800体が、700体になった。
マーカス将軍は、絶望的な表情になった。
*このままでは、持たない*
*3日どころか、今日中に落ちる*
その時。
砦の中央に、魔法の光が現れた。
巨大な魔法陣。
そして、その中央に
タイシが立っていた。
マーカス将軍は、驚いた。
「タイシ様!?」
「なぜ、ここに!?」
タイシは、答えた。
「マーカス将軍」
「よく戦ってくれました」
「ここからは、私が」
タイシは、両手を広げた。
全身から、強大な魔力が溢れ出した。
青い光。
いや、白い光。
いや、虹色の光。
タイシの魔力は、色を変え続けた。
マーカス将軍は、その魔力の大きさに驚愕した。
*これは…*
*こんな魔力、見たことがない*
*タイシ様は、こんなに強かったのか*
タイシは、呪文を唱え始めた。
「大地よ、聞け」
「我が名はタイシ」
「異界の知識を持つ者」
「汝の力を借りん」
タイシの声が、響き渡った。
魔力が、さらに高まった。
砦全体が、光に包まれた。
帝国軍の兵士たちは、立ち止まった。
「何だ、あの光は!?」
「魔力が、すごすぎる!」
ルキウス将軍も、驚いた。
「あれは…」
「大魔法か!?」
タイシは、続けて唱えた。
「大地の奥底より」
「怒りを呼び覚ませ」
「敵を飲み込み」
「大地に還せ」
タイシは、両手を地面に向けた。
「大魔法」
「アースクエイク!!!」
その瞬間。
大地が、揺れ始めた。
最初は、小さな揺れ。
だが、すぐに激しくなった。
「地震だ!」
「地震だ!」
帝国兵が、叫んだ。
だが、これは普通の地震ではなかった。
揺れの中心は、帝国軍の密集地帯。
そこで。
「ゴゴゴゴゴ!!!」
大地が、割れ始めた。
巨大な亀裂。
幅10メートル。
長さ1キロメートル。
深さ無限。
「うわああああああ!!!」
帝国兵が、次々と亀裂に落ちていった。
「助けてくれ!」
「落ちる!落ちる!」
だが、誰も助けられなかった。
亀裂は、次々と広がっていった。
2本、3本、5本、10本。
帝国軍の陣形が、完全に崩壊した。
ルキウス将軍は、恐怖に震えた。
「何という魔法だ!」
「こんなもの、聞いたことがない!」
大地の揺れは、5分間続いた。
その間、帝国兵は何もできなかった。
ただ、地面にしがみつくだけ。
そして、5分後。
揺れが、止まった。
大地には、無数の亀裂。
その中に、数万の帝国兵が消えていた。
マーカス将軍は、呆然とした。
「これは…」
「夢か?」
タイシは、膝をついた。
額に、汗が流れていた。
*大魔法は、体力を消耗する*
*だが、やるしかなかった*
エドガーが、タイシに駆け寄った。
「タイシ様!」
「大丈夫ですか!?」
タイシは、頷いた。
「ああ、大丈夫だ」
「少し、疲れただけだ」
タイシは、立ち上がった。
そして、帝国軍を見た。
15万人の大軍は、完全に混乱していた。
兵士たちは、恐怖に逃げ惑っていた。
タイシは、マーカス将軍に言った。
「将軍」
「今です」
「反撃してください」
マーカス将軍は、はっとした。
「そうだ!」
「今が、チャンスだ!」
マーカス将軍は、剣を掲げた。
「全軍、反撃!」
「ゴーレム、前進!」
「弓兵、射撃!」
「魔法使い、攻撃!」
リベラ軍5万人が、一斉に反撃を開始した。
残った700体のゴーレムも、突撃した。
矢が、魔法が、帝国軍に降り注いだ。
混乱している帝国軍は、まともに反撃できなかった。
「うわああ!」
「逃げろ!」
帝国兵が、次々と倒れていった。
ルキウス将軍は、叫んだ。
「退却!」
「全軍、退却だ!」
帝国軍15万人いや、今や10万人は、慌てて後退し始めた。
リベラ軍は、追撃を続けた。
1時間後。
帝国軍は、10キロメートル後方まで退却していた。
城壁の上で、リベラ兵が歓声を上げた。
「勝った!」
「帝国軍を撃退したぞ!」
「タイシ様、万歳!」
「タイシ!タイシ!タイシ!」
マーカス将軍は、タイシに深く頭を下げた。
「タイシ様」
「ありがとうございました」
「あなたがいなければ、我々は全滅していました」
タイシは、答えた。
「いいえ、将軍」
「あなたたちが、よく戦ってくれたからです」
「私は、最後の一押しをしただけです」
副官が、報告した。
「戦況報告です」
「我が方の損害」
「戦死者:3,000名」
「負傷者:5,000名」
「ゴーレム損失:200体」
「敵の損害」
「推定戦死者:5万名以上」
「そのうち、アースクエイクによる死者:3万名」
「負傷者:3万名以上」
「退却した敵兵:約7万名」
マーカス将軍は、驚いた。
「5万人!?」
「15万人の3分の1を!?」
タイシは、複雑な表情になった。
「3万人を、私が殺した」
「大地に飲み込んだ」
エドガーが、言った。
「タイシ様」
「戦争です」
「敵を殺さなければ、我々が殺される」
「あなたは、正しいことをしました」
タイシは、首を横に振った。
「正しいかどうかは、分からない」
「だが、必要なことだった」
「それだけは、確かだ」
マーカス将軍が、尋ねた。
「タイシ様」
「帝国軍は、また攻めてきますか?」
タイシは、答えた。
「いいえ」
「しばらくは、来ないでしょう」
「彼らは、大きな損害を受けました」
「立て直しに、時間がかかります」
「おそらく、2-3日は」
マーカス将軍は、安堵した。
「それなら、同盟軍が到着します」
タイシは、頷いた。
「はい」
「明日、ノーザン王国軍15万人が到着します」
「明後日、サウザン連邦軍30万人とイースタン傭兵15万人」
「3日後、魔族軍10万人」
「合計、80万人の同盟軍が集結します」
「その時、決戦です」
---
同じ頃。
10キロメートル後方の帝国軍陣地。
ルキウス将軍は、天幕の中で頭を抱えていた。
副官が、報告した。
「将軍」
「最終的な損害が、判明しました」
「戦死者:5万3千名」
「負傷者:3万2千名」
「行方不明:5千名」
「戦力の、約6割を失いました」
ルキウスは、拳で机を叩いた。
「くそ!」
「あの魔法使い!」
「タイシという男!」
「あんな大魔法を使えるとは!」
副官が、言った。
「将軍」
「どうしますか?」
「このままでは、勝てません」
ルキウスは、答えた。
「本国に、援軍を要請する」
「10万人の追加兵力を」
「そして」
ルキウスは、暗い表情になった。
「魔導師団の総力を、投入してもらう」
「あのタイシという男を倒すには」
「並の魔導師では無理だ」
「最強の魔導師を、連れてくる」
副官が、尋ねた。
「最強の魔導師、ですか?」
ルキウスは、頷いた。
「ああ」
「魔導師団長、アルカディウスだ」
「彼なら、タイシに対抗できる」
副官は、驚いた。
「魔導師団長!?」
「あの伝説の魔導師が!?」
ルキウスは、答えた。
「そうだ」
「この戦争は、もはや普通の戦争ではない」
「魔法使い同士の、戦いになった」
「ならば、最強の魔導師を連れてくるしかない」
---
その夜。
リベラ王都の王宮。
タイシは、執務室で休んでいた。
大魔法の使用で、体力を大きく消耗していた。
ドアがノックされた。
「タイシ様、国王陛下です」
「入ってください」
国王が、入室した。
「タイシ」
「体調は、どうだ?」
タイシは、答えた。
「大丈夫です、陛下」
「少し休めば、回復します」
国王は、タイシの隣に座った。
「タイシ」
「お前の大魔法、見事だった」
「5万人の敵を、一撃で」
「だが」
国王は、真剣な表情になった。
「3万人の命を、奪った」
「それについて、どう思う?」
タイシは、沈黙した。
しばらくして、タイシは答えた。
「陛下」
「私は、殺人者です」
「3万人を、大地に飲み込みました」
「彼らにも、家族がいたはずです」
「妻が、子供が、親が」
「その人々を、悲しませました」
国王は、頷いた。
「そうだな」
タイシは、続けた。
「だが、戦わなければ」
「我々が殺されていました」
「リベラの国民が、奴隷にされていました」
「それを防ぐために、私は戦いました」
「これが、正しかったかどうかは」
「歴史が判断するでしょう」
国王は、タイシの肩に手を置いた。
「タイシ」
「お前は、正しいことをした」
「戦争は、悲しいものだ」
「多くの命が失われる」
「だが、それでも戦わなければならない時がある」
「今が、その時だ」
タイシは、頷いた。
「ありがとうございます、陛下」
国王は、立ち上がった。
「さあ、休め」
「明日から、さらに激しい戦いが始まる」
「同盟軍が集結し、決戦の時が来る」
「お前の力が、必要だ」
タイシは、頭を下げた。
「はい」
「全力を尽くします」
国王が出て行った後、タイシは窓の外を見た。
夜空。
星々。
*3万人*
*私が殺した*
*この罪を、どう償えばいいのか*
*だが*
タイシは、拳を握った。
*戦争が終われば*
*平和が来れば*
*二度と、こんな悲劇は起こさせない*
*それが、私にできる唯一の償いだ*
---
翌朝。
国境から50キロメートル後方の丘陵地帯。
第二防衛線。
ノーザン王国軍15万人が、到着していた。
エドワード3世自ら、軍を率いてきた。
エドワード3世は、タイシに会った。
「タイシ殿」
「アースクエイクの話、聞きました」
「見事でした」
タイシは、頭を下げた。
「ありがとうございます、陛下」
「おかげで、第一防衛線を守れました」
エドワード3世は、言った。
「ノーザン王国軍15万人」
「あなたの指揮下に入ります」
「どのように配置すべきでしょうか?」
タイシは、地図を広げた。
「この丘陵地帯に、陣地を構築してください」
「ここが、決戦の場になります」
「明日、サウザン連邦軍とイースタン傭兵が到着します」
「明後日、魔族軍も」
「そして、帝国軍も、おそらく3日以内に再編成を終えて」
「攻めてきます」
「その時、80万人の同盟軍で」
「帝国軍を完全に撃破します」
エドワード3世は、頷いた。
「分かりました」
「全軍、陣地構築を開始します」
タイシは、言った。
「そして、陛下」
「一つ、お願いがあります」
「何でしょうか?」
タイシは、真剣な表情で言った。
「帝国軍との決戦の時」
「私は、再び大魔法を使います」
「アースクエイク、あるいは別の大魔法を」
「ですが、それには膨大な魔力が必要です」
「私一人では、足りません」
エドワード3世は、尋ねた。
「つまり?」
タイシは、答えた。
「同盟軍の魔法使い、全員の力を借りたいのです」
「魔力を、私に集中させる」
「そして、超大魔法を発動する」
「それで、帝国軍を一気に殲滅します」
エドワード3世は、驚いた。
「超大魔法!?」
「アースクエイクを超える魔法が、あるのですか!?」
タイシは、頷いた。
「はい」
「その名は」
タイシは、静かに言った。
「ジャッジメント」
「天の裁き、です」
---
**【第一次国境防衛戦の結果】**
**リベラ軍(勝利):**
- 兵力:5万人→4.2万人
- 戦死者:3,000名
- 負傷者:5,000名
- ゴーレム:900体→700体
**帝国軍(敗北):**
- 兵力:15万人→7万人
- 戦死者:5万3千名(うちアースクエイクによる死者3万名)
- 負傷者:3万2千名
- 行方不明:5千名
**タイシの大魔法「アースクエイク」:**
- 発動時間:5分間
- 効果範囲:直径2キロメートル
- 亀裂数:10本以上
- 犠牲者:3万人
- 魔力消耗:極大
**次の展開:**
- 同盟軍80万人、第二防衛線に集結中
- 帝国軍、援軍10万人+魔導師団長アルカディウスを要請
- タイシ、超大魔法「ジャッジメント」を準備中
---
**第五部 第六章 了**




