第七章:迫る影
タイシは、22歳になっていた。
第二次改革から、3ヶ月が経過していた。
リベラ共和国は、平和で繁栄していた。
だが、平和は長くは続かなかった。
ある日。
情報省からの緊急報告。
タイシの執務室。
情報省長官、カール・シュミットが訪れた。
「首相」
「緊急の報告があります」
タイシは、緊張した。
「何だ?」
カールは、厚い報告書を置いた。
「グランディア帝国についてです」
グランディア帝国。
リベラの遥か東方に位置する、大帝国。
人口3,000万人。
軍事力50万人。
大陸最強の国だった。
「帝国が、どうした?」
カールは、答えた。
「軍備を、急速に拡大しています」
「過去1年で」
「軍隊を40万人から50万人に増強しました」
タイシは、眉をひそめた。
「それだけか?」
カールは、続けた。
「それだけではありません」
「魔導師団も、倍増しました」
「5,000人から10,000人に」
「そして」
カールは、最も重要な情報を告げた。
「皇帝ガイウス・マグヌスが」
「演説を行いました」
「『世界統一』を宣言しました」
タイシは、立ち上がった。
「世界統一?」
カールは、頷いた。
「はい」
「全ての国を、帝国の支配下に置く」
「それが、皇帝の野望です」
タイシは、窓の外を見た。
*ついに、来たか*
*平和の終わりが*
---
タイシは、緊急会議を招集した。
出席者:
- タイシ(首相)
- エドワード(宰相)
- エドガー(護衛隊長)
- グレン(外務次官)
- カール(情報省長官)
- マイケル(商人、経済顧問)
タイシが、口を開いた。
「皆さん」
「グランディア帝国が、脅威となっています」
「我々は、どうすべきか」
エドガーが、言った。
「軍備を増強すべきです」
「現在5万人の軍隊を、10万人に」
だが、マイケルが反対した。
「軍備増強は、経済に悪影響です」
「第二次改革で、社会保障に多額の予算を使っています」
「さらに軍事費を増やせば」
「財政が破綻します」
グレンが、提案した。
「外交で解決できないでしょうか?」
「帝国と、不可侵条約を結ぶとか」
カールが、首を振った。
「無理です」
「皇帝ガイウス・マグヌスは」
「野心家で、狂信的です」
「話し合いは、通じません」
タイシは、考え込んだ。
そして、決断した。
「同盟を結ぼう」
全員が、タイシを見た。
「同盟?」
タイシは、頷いた。
「既に国交がある3つの国」
「ノーザン王国、サウザン連邦、イースタン商業同盟」
「そして」
タイシは、大胆な提案をした。
「魔族領とも、同盟を結ぶ」
全員が、驚愕した。
「魔族領!?」
「人類と魔族の同盟!?」
「そんなこと、歴史上一度もありません!」
タイシは、真剣な表情で言った。
「だからこそ、やる」
「帝国の脅威に対抗するには」
「あらゆる力を結集する必要がある」
「魔族も、同じく帝国の脅威を受けている」
「共通の敵がいるなら」
「共に戦うべきだ」
エドワードが、尋ねた。
「ですが、国民は受け入れるでしょうか?」
「魔族との同盟を」
タイシは、答えた。
「リベラは、全ての種族が平等な国です」
「人間、獣人、エルフ、ドワーフ」
「魔族も、例外ではありません」
「国民は、理解してくれます」
---
タイシは、国民に向けて演説した。
王都の中央広場。
10万人の市民が集まった。
「国民の皆さん」
「重要なお知らせがあります」
「グランディア帝国が」
「世界統一を宣言しました」
「我々も、その標的です」
市民たちが、ざわついた。
「戦争になるのか!?」
「帝国は強大だ!」
「勝てるのか!?」
タイシは、声を張り上げた。
「恐れることはありません!」
「我々には、仲間がいます!」
「ノーザン王国」
「サウザン連邦」
「イースタン商業同盟」
「3つの友好国が、共に戦ってくれます」
市民たちは、少し安心した。
だが、タイシは続けた。
「そして」
「さらにもう一つ」
「魔族領とも、同盟を結びます」
市民たちが、驚愕した。
「魔族!?」
「魔族と同盟を!?」
「大丈夫なのか!?」
タイシは、説明した。
「魔族も、帝国の脅威を受けています」
「共通の敵がいます」
「ならば、共に戦うべきです」
「そして、考えてください」
「リベラには、既に魔族が住んでいます」
「彼らは、平和に暮らしています」
「魔族も、我々と同じです」
「家族を愛し、平和を望んでいます」
市民の一人が、叫んだ。
「でも、魔族は恐ろしい!」
タイシは、答えた。
「偏見です」
「実際に会えば、分かります」
「魔族は、我々と変わりません」
「そして」
タイシは、力強く言った。
「この同盟は」
「人類史上初めての」
「人類と魔族の同盟です」
「これが成功すれば」
「世界は変わります」
「種族の壁を超えた」
「真の平和が訪れます」
市民たちは、徐々に納得し始めた。
*タイシ首相が言うなら*
*きっと、正しいんだろう*
*彼は、今まで間違えたことがない*
拍手が、広場に響いた。
---
タイシは、外交使節団を編成した。
目的:4つの国との軍事同盟締結。
メンバー:
- タイシ(首相)
- エドガー(護衛隊長)
- グレン(外務次官)
- 外交官10名
- 護衛兵50名
- 戦闘ゴーレム100体
出発の日。
王都の門前。
多くの市民が、見送りに来ていた。
タイシが、馬車に乗る前に振り返った。
「行ってきます」
「必ず、同盟を成功させます」
「そして、リベラを守ります」
市民たちが、叫んだ。
「タイシ首相!」
「頑張ってください!」
「私たちは、あなたを信じています!」
タイシは、深く頭を下げた。
そして、馬車に乗り込んだ。
使節団が、出発した。
*これから、長い旅が始まる*
*ノーザン、サウザン、イースタン*
*そして、魔族領*
*4つの国と同盟を結ぶ*
*帝国の脅威に、立ち向かうために*
タイシは、決意を新たにした。
---
同じ頃。
グランディア帝国。
帝都メトロポリス。
皇帝ガイウス・マグヌスが、側近と話していた。
「リベラ共和国」
「面白い国だな」
側近が、報告した。
「はい、陛下」
「貴族制度を廃止し、共和制に移行しました」
「そして、改革で急速に発展しています」
ガイウスは、笑った。
「改革か」
「だが、所詮は小国だ」
「人口580万人」
「軍隊5万人」
「我が帝国の10分の1だ」
「簡単に征服できる」
側近が、言った。
「ですが、陛下」
「リベラには、強力な魔法使いがいます」
「首相のタイシ」
「若くして、驚異的な魔法の才能を持つと言われています」
ガイウスは、興味を示した。
「魔法の才能?」
「若いのに」
「面白い」
「だが、私には」
「アルカディウスがいる」
側近は、頷いた。
「帝国最強の魔導師」
「アルカディウス様」
「彼がいれば、タイシなど敵ではありません」
ガイウスは、立ち上がった。
窓から、帝都を見下ろした。
「世界統一」
「それが、私の野望だ」
「全ての国を、帝国の支配下に置く」
「リベラも、例外ではない」
「そして」
ガイウスは、邪悪な笑みを浮かべた。
「魔族も、滅ぼす」
「人類の敵を、一掃する」
「それが、私の使命だ」
---
運命の歯車が、回り始めていた。
タイシの決断。
ガイウスの世界統一の野望。
二つの力が、衝突しようとしていた。
タイシは、窓の外を見た。
王都の夜景が、静かに輝いていた。
*これから、長い戦いが始まる*
*だが、私は一人ではない*
*仲間がいる*
*そして、必ず勝つ*
タイシは、決意を新たにした。
明日、外交使節団を編成する。
ノーザン王国、サウザン連邦、イースタン商業同盟。
そして、魔族領。
4つの国との同盟。
それが、リベラを守る唯一の道だ。
---




