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王国簒奪物語  作者: 慈架太子


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第十三章:毒殺計画の崩壊


3日後。


王宮。


晩餐会が開かれていた。


国王、宰相、タイシ、そして改革派貴族たちが出席していた。


行政官採用試験の合格者を祝う会だ。


大広間は、華やかに飾られている。


料理が、次々と運ばれてくる。


タイシは、席についていた。


だが、タイシの目は鋭かった。


*今日、来るはずだ*


*保守派貴族の毒殺計画*


*1週間以内と言っていた*


*そして、今日で6日目*


タイシは、偵察型ゴーレムからの報告を思い出した。


昨夜、料理人の一人が保守派貴族と接触していた。


金を受け取っていた。


そして、小さな瓶を受け取っていた。


毒だ。


タイシは、その料理人を特定していた。


「ジェラルド」


「40代の男性料理人」


「フェルディナンド子爵の遠縁」


タイシは、テレパシーで統括型ゴーレムに確認した。


*《統括型ゴーレム、ジェラルドの動きは?》*


統括型ゴーレムが応答した。


*《マスター、ジェラルドは現在、厨房にいます》*


*《あなたの料理を、準備しています》*


*《間もなく、毒を盛るでしょう》*


タイシは、微笑んだ。


*来たか*


*いいだろう*


*見せてやる*


*完全毒無効の力を*


---


10分後。


料理が運ばれてきた。


タイシの前に、豪華な肉料理が置かれた。


「鹿肉のロースト、赤ワインソース添え」


タイシは、鑑定スキルで料理を見た。


**【鑑定結果】**

- 鹿肉のロースト

- 品質:最高

- 調理レベル:9

- 毒:デッドリーポイズン(致死量)


タイシは、心の中で笑った。


*デッドリーポイズンか*


*致死量*


*普通の人間なら、一口で死ぬ量*


*だが*


タイシには、完全毒無効がある。


タイシは、何事もないように料理を食べ始めた。


一口。


美味しい。


毒の味は、全くしない。


そして


何も起こらない。


体調に、一切の変化なし。


タイシは、さらに食べ続けた。


二口。


三口。


全て食べ終わった。


何も起こらない。


完全に、無効化されている。


タイシは、満足した。


*完璧だ*


*毒が、全く効かない*


だが


タイシは、すぐには何も言わなかった。


*まだだ*


*保守派貴族たちが、私の死を確認するまで待つ*


*そして*


*その時に、全てを暴く*


---


晩餐会は、続いた。


国王が、乾杯の音頭をとった。


「改革の成功を祝して!」


「乾杯!」


全員が、グラスを掲げた。


タイシも、ワインを飲んだ。


(もちろん、毒は入っていない)


会話が弾む。


改革派貴族たちが、喜んでいる。


「行政官試験、大成功でしたね!」


「平民が85名も合格するとは!」


「これで、王国は変わります!」


タイシも、会話に参加した。


だが、心の中では


*保守派貴族は、今頃焦っているだろう*


*私が毒を食べたのに、何も起こらない*


*彼らは、混乱しているはずだ*


---


晩餐会が終わった。


タイシは、部屋に戻った。


そして


偵察型ゴーレムの映像を見た。


保守派貴族たちの屋敷。


緊急会議が開かれていた。


30名の保守派貴族が、パニックになっていた。


「どういうことだ!?」


「タイシは、毒入りの料理を全て食べた!」


「だが、何も起こっていない!」


「生きている!」


「元気そうにしている!」


別の貴族が叫んだ。


「毒が、効いていないのか!?」


「そんな馬鹿な!」


「デッドリーポイズンだぞ!」


「致死量を入れたはずだ!」


料理人ジェラルドが、震えながら答えた。


「確かに、入れました!」


「瓶の中身を、全て料理に混ぜました!」


「間違いありません!」


貴族たちが、混乱した。


「では、なぜ!?」


「なぜ、タイシは生きている!?」


一人の貴族が、恐怖の声を上げた。


「まさか…」


「タイシには、毒が効かないのか!?」


「毒耐性を持っているのか!?」


沈黙。


全員が、青ざめた。


「もし、そうなら…」


「我々の計画は、完全に失敗だ」


「それどころか」


別の貴族が、恐怖に震えた。


「タイシは、気づいているかもしれない」


「毒を盛られたことに」


「そして」


「我々のことも、知っているかもしれない」


全員が、凍りついた。


「では…」


「我々は…」


「終わりだ…」


---


タイシは、映像を見て冷たく笑った。


「気づいたか」


「そうだ」


「お前たちは、終わりだ」


タイシは、立ち上がった。


「では、行くか」


「保守派貴族を、完全に終わらせる時だ」


タイシは、テレポーテーションで保守派貴族の屋敷へ移動した。


---


保守派貴族の屋敷。


会議室。


30名の保守派貴族が、パニックになっていた。


その時


部屋の中央に、光が出現した。


タイシが、テレポーテーションで現れた。


保守派貴族たちは、驚愕した。


「タイシ!?」


「なぜ、ここに!?」


タイシは、冷たく微笑んだ。


「こんばんは」


「保守派貴族の皆さん」


タイシは、ゆっくりと歩いた。


「先ほどの晩餐会」


「美味しい料理でした」


「特に、鹿肉のロースト」


「素晴らしかった」


貴族たちが、青ざめた。


タイシは続けた。


「ただ」


タイシの目が、鋭くなった。


「毒が入っていましたね」


「デッドリーポイズン」


「致死量」


貴族たちが、後ずさりした。


「な、何のことだ!?」


「知らない!」


タイシは、手を振った。


瞬間


部屋の壁に、映像が映し出された。


保守派貴族とジェラルドの接触。


金と毒の受け渡し。


ジェラルドが料理に毒を混ぜる様子。


全て、録画されていた。


貴族たちは、言葉を失った。


「こ、これは…」


タイシは、冷たく言った。


「証拠です」


「あなた方が、私を毒殺しようとした証拠」


「暗殺未遂です」


「王国の法律では、死刑に相当します」


貴族たちが、震えた。


「ま、待ってくれ!」


「我々は」


だが、タイシは遮った。


「だが」


「私は、優しいので」


タイシは、微笑んだ。


「チャンスを与えましょう」


貴族たちが、顔を上げた。


「ち、チャンス?」


タイシは、提案した。


「今すぐ、全ての財産を王国に寄付してください」


「そして、貴族の地位を放棄してください」


「平民になってください」


「そうすれば」


タイシは続けた。


「命は助けます」


「処刑はしません」


「ただし、王都から追放します」


「二度と、政治に関わることは許しません」


貴族たちは、絶望した。


「財産を全て…」


「貴族の地位を放棄…」


「平民に…」


だが


タイシは、さらに厳しい選択肢を提示した。


「もちろん、拒否することもできます」


「その場合」


タイシの目が、冷たく光った。


「暗殺未遂の罪で、全員処刑です」


「明日の朝、公開処刑です」


「どちらを選びますか?」


沈黙。


長い、長い沈黙。


そして


一人の貴族が、膝をついた。


「受け入れます…」


「財産を寄付します…」


「貴族の地位を放棄します…」


「命だけは、助けてください…」


他の貴族たちも、次々と膝をついた。


「私も…」


「私も受け入れます…」


「お願いです…命だけは…」


30名全員が、膝をついた。


タイシは、満足した。


「賢明な判断です」


タイシは、書類を取り出した。


「では、ここに署名してください」


「財産寄付の契約書」


「貴族地位放棄の宣誓書」


「全てに、署名を」


貴族たちは、震える手で署名した。


一人。


また一人。


30名全員が、署名を終えた。


タイシは、書類を回収した。


「これで、あなた方は平民です」


「明日、王都から追放します」


「二度と、戻ってこないでください」


元貴族たちは、涙を流した。


「分かりました…」


タイシは、部屋を出た。


テレポーテーションで、王宮へ戻った。


---


翌朝。


王都中央広場。


民衆が、数万人集まっていた。


演壇に、タイシが立った。


隣には、国王と宰相。


タイシは、宣言した。


「皆さん!」


「昨夜、重大な事件が発生しました!」


民衆が、ざわついた。


タイシは、映像を流した。


保守派貴族の毒殺計画。


金の授受。


毒を料理に混ぜる様子。


全てが、巨大なスクリーンに映し出された。


(魔法で作られたスクリーン)


民衆が、怒った。


「なんだと!?」


「タイシ様を、毒殺しようとした!?」


「許せない!」


タイシは続けた。


「保守派貴族30名が、私を暗殺しようとしました!」


「だが」


タイシは微笑んだ。


「私には、毒が効きませんでした!」


「毒耐性を持っているからです!」


民衆が、驚いた。


「毒が効かない!?」


「タイシ様は、毒も無効化できるのか!?」


タイシは、さらに発表した。


「そして、保守派貴族30名は」


「全財産を王国に寄付しました!」


「貴族の地位を放棄しました!」


「平民になりました!」


「今日、王都から追放します!」


民衆が、歓声を上げた。


「おお!」


「ざまあみろ!」


「保守派貴族が、ついに終わった!」


タイシは、拳を掲げた。


「これで、改革を妨害する者は、いなくなりました!」


「これからは」


「全力で、改革を進めます!」


「新しい王国を、作ります!」


民衆が、タイシの名を叫んだ。


「タイシ様!」


「タイシ様!」


「タイシ様!」


歓声は、王都全体に響き渡った。


---


その日の午後。


元保守派貴族30名は、王都から追放された。


馬車に乗せられ、国境へ向かった。


財産は全て没収。


貴族の地位は剥奪。


ただの平民として、生きていくことになる。


彼らは、無一文で、知り合いもいない土地へ送られた。


二度と、王都に戻ることはできない。


---


王宮。


タイシは、国王と宰相に報告した。


「陛下」


「保守派貴族、30名を追放しました」


「残る保守派貴族は、20名です」


「彼らは、今回の計画に関与していませんでした」


国王が尋ねた。


「その20名は、どうする?」


タイシは答えた。


「監視を続けます」


「もし、再び改革を妨害するようなら」


「同じように、処分します」


「だが、おとなしくしているなら」


「手は出しません」


宰相が言った。


「賢明な判断です」


「全ての保守派貴族を追放すれば」


「貴族全体が反発します」


「穏健派の20名を残すことで」


「バランスを保てます」


タイシは頷いた。


「はい」


「改革は、急ぎすぎてはいけません」


「少しずつ、確実に進めます」


国王は、満足した。


「タイシ、よくやった」


「お前のおかげで、王国は変わりつつある」


「本当に、ありがとう」


タイシは、頭を下げた。


「陛下のお役に立てて、光栄です」


---


その夜。


タイシは、一人で王宮の庭を歩いていた。


星空が、綺麗だ。


*保守派貴族30名、追放*


*残るは、20名*


*改革を妨害する大きな障害は、なくなった*


タイシは、考えた。


*これで、本格的に改革を進められる*


*無料診療所を増やす*


*無料学校を増やす*


*行政官を増員する*


*税制改革を進める*


*全ては、新しい王国のために*


タイシは、拳を握った。


*そして、いずれは*


*王国を、完全に作り変える*


*貴族制度を廃止する*


*真の平等な社会を作る*


*それが、私の最終目標だ*


タイシは、空を見上げた。


*まだ、遠い*


*だが*


*必ず、たどり着く*


*新しい時代に*


夜が、静かに更けていった。


---


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