表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国簒奪物語  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/98

第八章:新魔法の開発


決戦から3日後。


タイシの村。


研究棟。


タイシは、戦闘の記録を見直していた。


『影の刃』30名との戦い。


全属性融合魔法。


時間加速。


空間掌握。


全て、有効だった。


だが


タイシは考えた。


「もっと効率的な戦い方がある」


「特に、魔物を狩る時」


「全属性融合魔法は強力だが、魔力消費が大きい」


「それに」


タイシは、魔物の素材について考えた。


「魔物を倒す時、体を傷つけると」


「素材の価値が下がる」


「皮、肉、骨、魔石」


「全て、無傷の方が高く売れる」


「ならば」


タイシは、新しいアイデアを思いついた。


「体を傷つけずに、殺す方法」


「窒息だ」


タイシは、水魔法について考え始めた。


*全ての生物は、呼吸をしている*


*呼吸を止めれば、死ぬ*


*ならば*


*水で、呼吸を止めればいい*


タイシは、魔法陣を描いた。


水魔法の基本形。


だが、それを応用する。


「水球を作る」


「それを、顔面に密着させる」


「鼻と口を完全に覆う」


「呼吸ができなくなる」


「窒息する」


タイシは、魔力を集中させた。


水魔法。


Lv15の力を持つ、タイシの水魔法。


*イメージする*


*顔を覆う、水の球体*


*形を維持して、密着する*


*どんなに暴れても、剥がれない*


魔力が、形を成した。


タイシの前に、透明な水の球体が浮かんだ。


直径30センチほど。


柔らかく、しかし形を保っている。


「これだ」


タイシは、練習用のダミー人形に向けて、水球を放った。


水球が、ダミーの顔面に飛んでいった。


そして


ぴたり、と張り付いた。


ダミーの顔全体を、水球が覆った。


鼻と口が、完全に水の中。


「完璧だ」


タイシは満足した。


「これなら、呼吸ができない」


「生物は、窒息する」


「しかも、体に傷がつかない」


タイシは、この魔法に名前をつけた。


「ウォーターマスク」


「水の仮面」


タイシは、統括型ゴーレムを呼んだ。


「マスター、何でしょうか?」


「新しい魔法を開発した」


タイシが説明した。


「ウォーターマスクという魔法だ」


「魔物を狩る時に使う」


「体を傷つけずに、窒息死させられる」


「理解しました」


統括型ゴーレムが分析した。


「この魔法は、魔物狩りに最適です」


「素材を傷つけないため、価値が最大化されます」


「さらに」


統括型ゴーレムが続けた。


「人間にも使えます」


「暗殺などに」


タイシは頷いた。


「ああ」


「音もなく、痕跡も残さない」


「傷がないから、病死や自然死に見える」


「完璧な暗殺魔法だ」


「だが」


タイシは、真剣な表情になった。


「この魔法は、慎重に使う」


「暗殺に使うのは、最終手段だ」


「イエス、マスター」


タイシは、実験を続けることにした。


---


村の外れ。


魔物が出没する森。


タイシは、ゴーレムたちと共に森に入った。


「魔物を捕獲しろ」


「生きたまま」


ゴーレムたちが、森の中を探索した。


10分後。


戦闘型ゴーレムが、魔物を捕獲してきた。


グレイウルフ。


体長2メートルの狼型魔物。


レベル50ほど。


凶暴だが、タイシにとっては弱い。


グレイウルフは、縄で縛られていた。


暴れている。


タイシは、グレイウルフに近づいた。


「では、実験だ」


タイシは、ウォーターマスクを発動した。


水球が出現し、グレイウルフの顔面に飛んでいった。


ぴたり、と張り付いた。


グレイウルフの顔全体を、水球が覆った。


グレイウルフは、暴れた。


首を振る。


体を揺する。


だが、水球は剥がれない。


しっかりと、顔に密着している。


グレイウルフは、呼吸ができない。


10秒。


20秒。


30秒。


グレイウルフの動きが、鈍くなった。


酸欠だ。


40秒。


50秒。


グレイウルフが、倒れた。


1分。


完全に動かなくなった。


窒息死。


タイシは、水球を消した。


グレイウルフの顔に、傷はない。


体にも、傷はない。


完璧な状態。


「成功だ」


タイシは満足した。


統括型ゴーレムが報告した。


「マスター、ウォーターマスクの効果を確認しました」


「レベル50の魔物を、1分で無力化」


「体に一切の損傷なし」


「素材価値は、最高状態を維持」


「完璧です」


タイシは、グレイウルフを解体した。


皮。


無傷。


通常の2倍の価値。


肉。


新鮮で、傷なし。


通常の1.5倍の価値。


骨。


折れていない。


魔石。


完璧な状態。


通常の3倍の価値。


「素晴らしい」


タイシは喜んだ。


「この魔法があれば」


「魔物狩りの効率が、飛躍的に上がる」


「収入も増える」


タイシは、さらに実験を続けた。


---


1時間後。


タイシは、様々な魔物で実験していた。


ゴブリン。


レベル30。


30秒で窒息死。


オーガ。


レベル80。


1分30秒で窒息死。


グリフォン。


レベル100。


2分で窒息死。


どの魔物も、体に傷がつかない。


完璧な素材。


タイシは、ウォーターマスクの有効性を確認した。


「レベル100までの魔物なら」


「確実に倒せる」


「それ以上のレベルでも」


「時間はかかるが、倒せるだろう」


タイシは、統括型ゴーレムに指示した。


「ゴーレムたちにも、この魔法を教える」


「魔法を使えるゴーレムを作る」


「そして、魔物狩りを効率化する」


「イエス、マスター」


統括型ゴーレムが答えた。


「魔導型ゴーレムを開発します」


「ウォーターマスクを搭載したゴーレム」


「自動で魔物を狩り、素材を回収します」


「いいな」


タイシは満足した。


「では、開発を進めてくれ」


---


その夜。


タイシは、部屋で休んでいた。


窓の外を見る。


星空が、綺麗だ。


*ウォーターマスクか*


*便利な魔法を開発した*


*だが*


タイシは、考えた。


*この魔法は、暗殺にも使える*


*音もなく、痕跡も残さない*


*完璧な殺人魔法*


タイシは、自分の手を見た。


*私は、どこまで行くのだろう*


*超能力魔法*


*全属性融合魔法*


*時間加速*


*そして、ウォーターマスク*


*私の力は、どんどん強くなっている*


*だが*


*それは、正しいのか?*


タイシは、マイケルの言葉を思い出した。


「タイシ様は、変わってしまったんですか?」


*変わった*


*確かに、変わった*


*力を得て*


*多くの敵を倒して*


*私は、変わった*


*だが*


タイシは、拳を握った。


*それでも、私は進む*


*王国のために*


*新しい時代のために*


*どんな力でも、使う*


*たとえ、それが暗殺魔法でも*


タイシは、ステータスを確認した。


「ステータスオープン」


---


**【ステータス】**


**名前:タイシ**

**年齢:15歳**

**種族:人間(転生者)**

**レベル:680**


**HP:20,400 / 20,400**

**MP:28,500 / 28,500**


**基本能力値**

- 筋力:490

- 敏捷:570

- 体力:525

- 知力:920

- 精神力:995

- 魔力:1,050


**主要スキル**

- 全属性魔法:Lv15

- 水魔法:Lv15

- テレポーテーション:Lv13

- 空間掌握:Lv6

- 時間魔法:Lv12

- 時間加速:Lv5

- テレパシー:Lv10

- ヒーリング:Lv10

- ウォーターマスク:Lv1 ←(NEW!)


**戦力**

- 戦闘型ゴーレム:500体

- 人型戦闘ゴーレム:50体

- 飛行型ゴーレム:3体


---


「ウォーターマスク、Lv1か」


タイシは呟いた。


「まだ、改良の余地がある」


「レベルを上げれば」


「もっと速く、確実に殺せる」


「複数同時に発動することも、できるかもしれない」


タイシは、決意した。


「明日も、実験を続ける」


「この魔法を、完璧にする」


---


翌日。


森。


タイシは、ウォーターマスクの訓練を続けた。


1体ずつ、魔物を倒す。


10体。


20体。


30体。


魔物の死体が、積み上がっていく。


全て、無傷。


完璧な素材。


タイシは、ウォーターマスクを連続で発動した。


1体。


2体。


3体。


同時に3体の魔物を、窒息死させた。


「いいぞ」


タイシは満足した。


「同時発動も、可能だ」


「もっと増やせる」


タイシは、さらに魔力を集中させた。


4体目。


5体目。


6体目。


同時に6体の魔物を、ウォーターマスクで攻撃した。


6体の魔物が、同時に倒れた。


「素晴らしい」


タイシは喜んだ。


その時


タイシの体が、光に包まれた。


**【スキルレベルアップ!】**


**ウォーターマスク:Lv1 → Lv5**


**【新たな効果追加!】**

- 同時発動可能数:10体

- 発動速度:2倍

- 効果時間:半減(30秒で窒息死)

- 射程距離:100メートル


タイシは、驚いた。


「一気にLv5!」


「そして、効果が大幅に強化!」


「30秒で窒息死!」


「射程距離100メートル!」


「同時に10体まで!」


タイシは、新しい力を試した。


100メートル先の魔物に、ウォーターマスクを発動した。


水球が、一瞬で魔物の顔に張り付いた。


30秒後。


魔物が、倒れた。


「完璧だ」


タイシは満足した。


「これで、遠距離からでも」


「音もなく、敵を倒せる」


「暗殺にも、魔物狩りにも」


「最高の魔法だ」


---


夕方。


タイシは、村に戻った。


統括型ゴーレムが報告した。


「マスター、魔導型ゴーレムの試作機が完成しました」


「見せてくれ」


タイシは、工房へ向かった。


そこには、新しいゴーレムが立っていた。


人型。


だが、体内に魔法陣が刻まれている。


「これは?」


「魔導型ゴーレムです」


統括型ゴーレムが説明した。


「ウォーターマスクを搭載しています」


「自動で魔物を探知し」


「ウォーターマスクで倒し」


「素材を回収します」


「試してみよう」


タイシは、魔導型ゴーレムを森に派遣した。


1時間後。


魔導型ゴーレムが戻ってきた。


手には、魔物の素材。


グレイウルフの皮、3枚。


ゴブリンの魔石、5個。


オーガの骨、2本。


全て、無傷。


「素晴らしい」


タイシは喜んだ。


「これで、自動的に素材を集められる」


「収入が、さらに増える」


統括型ゴーレムが報告した。


「マスター、魔導型ゴーレムを量産しますか?」


「ああ」


タイシは頷いた。


「100体、作ってくれ」


「魔物狩り専用のゴーレムだ」


「イエス、マスター」


タイシは、窓の外を見た。


*ウォーターマスク*


*新しい力を手に入れた*


*これで、さらに強くなった*


*そして*


タイシは、決意を新たにした。


*王国改革を、加速させる*


*新しい時代を、必ず作る*


夜が、静かに更けていった。


---


**第三部 第八章 了**


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ