第六章:決戦の朝
決戦の日。
夜明け前。
タイシは、村の工房で最終確認をしていた。
統括型ゴーレムが報告した。
「マスター、戦闘型ゴーレム500体、全て完成しました」
「人型戦闘ゴーレム50体も、王都に配置済みです」
「完璧だ」
タイシは頷いた。
「では、戦闘型ゴーレム500体を、国境へ派遣する」
「帝国軍5000名を、そこで食い止めろ」
「イエス、マスター」
「それと」
タイシは、新しい指示を出した。
「飛行型ゴーレムは、完成しているか?」
「試作機が3体、完成しています」
統括型ゴーレムが答えた。
「ただし、まだテスト段階です」
「実戦投入は、リスクがあります」
「構わない」
タイシは決断した。
「3体とも、国境へ派遣しろ」
「上空から、帝国軍の動きを監視する」
「そして、必要なら爆撃も」
「イエス、マスター」
タイシは、自分のステータスを確認した。
「ステータスオープン」
---
**【ステータス】**
**名前:タイシ**
**年齢:15歳**
**種族:人間(転生者)**
**レベル:658**
**HP:19,740 / 19,740**
**MP:27,150 / 27,150**
**基本能力値**
- 筋力:465
- 敏捷:540
- 体力:495
- 知力:885
- 精神力:958
- 魔力:1,015
**主要スキル**
- 全属性魔法:Lv12
- テレポーテーション:Lv11
- 空間連結術:Lv8
- 瞬間連続移動:Lv1
- 空間掌握:Lv3
- 時間魔法:Lv10
- テレパシー:Lv10
- ヒーリング:Lv10
**戦力**
- 戦闘型ゴーレム:500体
- 人型戦闘ゴーレム:50体
- 飛行型ゴーレム:3体(試作機)
---
「レベル658…」
タイシは呟いた。
「まだ、『影の刃』のヴァレリウスには届かない」
「あいつは、おそらくレベル700以上」
「だが」
タイシは拳を握った。
「レベルだけが、全てではない」
「超能力魔法と、戦術で勝つ」
タイシは、村を出発した。
テレポーテーションで、一瞬で王都へ。
---
王都。
スミス商会の地下会議室。
『自由の翼』のメンバー300名が、集結していた。
エドガーが、全員に指示を出していた。
「各班、配置につけ!」
「第一班は、王宮周辺の防衛」
「第二班は、中央広場の確保」
「第三班は、貴族街の監視」
「第四班は、民衆の避難誘導」
「はい!」
全員が、声を揃えた。
タイシが現れると、全員が振り向いた。
「タイシ様!」
「おはようございます」
タイシは、全員を見渡した。
「今日、我々は大きな戦いに臨みます」
「敵は、帝国軍5000名」
「保守派貴族の私兵1000名」
「そして、帝国の秘密警察『影の刃』30名」
「合計、6000名以上です」
全員が、緊張した。
タイシは続けた。
「だが、恐れることはありません」
「私のゴーレム軍500体が、帝国軍を食い止めます」
「人型ゴーレム50体が、この王都を守ります」
「そして」
タイシは、魔力を少し解放した。
圧倒的な魔力が、部屋を満たした。
全員が、息を呑んだ。
「私が、『影の刃』30名を倒します」
「皆さんは、保守派貴族の私兵を相手にしてください」
「1000名は多いですが」
「皆さんは、300名の精鋭です」
「そして、民衆も味方です」
「必ず、勝てます」
エドガーが、剣を掲げた。
「タイシ様の言う通りだ!」
「我々は、正義のために戦う!」
「王国の未来のために戦う!」
「恐れるな!」
全員が、剣を掲げた。
「おお!」
タイシは、満足した。
「では、各自配置につけ」
「作戦開始は、正午」
「それまでに、全ての準備を整えろ」
「はい!」
全員が、散っていった。
---
王宮。
謁見の間。
国王アルバート三世が、玉座に座っていた。
宰相と、改革派貴族たちが、両脇に並んでいる。
タイシが、謁見の間に入ってきた。
「陛下」
タイシは跪いた。
国王は、立ち上がった。
「タイシ、顔を上げよ」
タイシは、顔を上げた。
国王は、タイシの目を見つめた。
「タイシ、今日という日を、私は忘れないだろう」
「王国の命運が、お前にかかっている」
「重い責任だ」
「だが」
国王は、微笑んだ。
「私は、お前を信じている」
「お前なら、必ず勝てる」
「そして、王国を救ってくれる」
タイシは、頭を下げた。
「陛下の期待に、必ず応えます」
国王が、剣を抜いた。
そして、タイシの両肩に、剣を当てた。
「タイシ」
「本日より、お前を『王国守護騎士』に任命する」
「王国最高位の騎士だ」
「これは、お前の功績に対する報酬であり」
「同時に、今日の戦いへの期待でもある」
タイシは、驚いた。
「陛下…」
「受け取れ」
国王が、タイシに騎士の証である紋章を渡した。
金色の紋章。
王国の紋章の中央に、剣と盾が刻まれている。
「ありがとうございます」
タイシは、紋章を受け取った。
その瞬間
**【称号獲得!】**
**『王国守護騎士』**
**全能力値+50**
**カリスマ+100**
**王国内での影響力+200%**
タイシの体が、光に包まれた。
**【レベルアップ!】**
**レベル658 → 665**
**全能力値が大幅に上昇!**
タイシは、驚いた。
*称号だけで、レベルが7も上がった!*
*そして、能力値も上昇!*
国王は、満足そうに頷いた。
「タイシ、行け」
「王国を、頼んだぞ」
「はい!」
タイシは、謁見の間を後にした。
---
正午。
王都の城壁の上。
タイシは、リモート・ビューイングを発動した。
視界が拡大する。
国境。
そこに、帝国軍5000名が展開していた。
重装備の歩兵。
騎馬兵。
魔導師部隊。
そして、巨大な攻城兵器。
完全な侵攻軍だ。
「来たか…」
タイシは呟いた。
そして、タイシのゴーレム軍500体も、国境に到着していた。
戦闘型ゴーレム、整然と並んでいる。
上空には、飛行型ゴーレム3体が旋回している。
帝国軍の指揮官が、ゴーレム軍を見て驚いた。
「何だ、あれは!?」
「ゴーレム!?」
「しかも、500体も!?」
副官が報告した。
「隊長、あれは…タイシのゴーレム軍です!」
「噂は本当だったのか!」
隊長は、動揺した。
「だが、我が軍は5000名!」
「ゴーレムなど、数で圧倒する!」
「全軍、突撃!」
帝国軍5000名が、一斉に進軍を開始した。
その時
タイシが、テレパシーで指示を出した。
*《統括型ゴーレム、戦闘開始》*
*《敵を、一人も通すな》*
統括型ゴーレムが応答した。
*《イエス、マスター》*
*《全ゴーレムユニット、戦闘モード起動》*
戦闘型ゴーレム500体が、一斉に動き出した。
重装甲の体。
内蔵された魔法砲。
圧倒的な腕力。
ゴーレムたちが、帝国軍に向かって突進した。
---
同時刻。
王都。
マルクス伯爵の屋敷。
保守派貴族20名が、集まっていた。
マルクス伯爵が、全員に宣言した。
「時は来た!」
「帝国軍が、国境を突破する!」
「我々も、王都で蜂起する!」
「私兵1000名、全員出動!」
「王宮を占拠しろ!」
「国王を拘束しろ!」
「『自由の翼』を全員逮捕しろ!」
貴族たちが、立ち上がった。
「おお!」
だが
その時。
帝国大使館から、使者が駆け込んできた。
「マルクス伯爵!」
「大変です!」
「何だ!?」
「帝国軍が…」
使者は、息を切らしながら報告した。
「タイシのゴーレム軍500体に、阻まれています!」
「戦闘が、膠着状態です!」
「何だと!?」
マルクス伯爵が驚いた。
「500体のゴーレムが、5000名を!?」
「馬鹿な!」
別の貴族が、慌てて言った。
「では、我々の蜂起は!?」
「帝国軍が来なければ、意味がない!」
マルクス伯爵は、歯ぎしりした。
「くそっ…!」
「だが、もう引けない!」
「蜂起を実行する!」
「ヴァレリウス!」
マルクス伯爵が、帝国の使者ヴァレリウスを見た。
「『影の刃』は、どうする!?」
ヴァレリウスは、冷静だった。
「我々は、予定通り動く」
「タイシを倒すのが、我々の任務だ」
「帝国軍の状況は、関係ない」
「では」
マルクス伯爵が決断した。
「私兵1000名、出動!」
「王宮へ向かえ!」
「はっ!」
私兵たちが、屋敷から飛び出した。
---
王都の街。
突然、武装した私兵たちが現れた。
1000名。
保守派貴族の旗を掲げている。
民衆が、驚いて逃げ出した。
「何だ!?」
「クーデターか!?」
私兵たちは、王宮へ向かって進軍した。
だが
中央広場で、待ち構えていた者たちがいた。
エドガーと、『自由の翼』300名。
そして、人型ゴーレム50体。
エドガーが、剣を抜いた。
「ここから先は、通さない!」
私兵の隊長が、叫んだ。
「邪魔するな!」
「我々は、1000名だ!」
「お前たちは、わずか300名!」
「勝てると思うな!」
エドガーは、冷静に答えた。
「確かに、数では負けている」
「だが」
エドガーが、後ろを指さした。
人型ゴーレム50体が、整列している。
「我々には、これがある」
私兵たちが、動揺した。
「ゴーレム!?」
「しかも、人型!?」
「あれは…A級騎士相当の戦闘力だと!?」
エドガーが、宣言した。
「そして」
エドガーの後ろから、民衆が現れ始めた。
数百人。
数千人。
1万人以上。
民衆が、武器を持って集まってきた。
「『自由の翼』を支援する!」
「改革を守る!」
「保守派貴族を許すな!」
私兵たちは、完全に包囲された。
前方に、『自由の翼』300名と人型ゴーレム50体。
周囲に、民衆1万人以上。
私兵の隊長が、青ざめた。
「これは…」
エドガーが、剣を掲げた。
「投降しろ!」
「さもなくば、全員倒す!」
私兵たちは、武器を落とした。
「降伏します…」
王都での蜂起は、わずか10分で鎮圧された。
---
同時刻。
タイシは、王都の城壁の上にいた。
リモート・ビューイングで、全ての戦場を監視している。
*国境では、ゴーレム軍が善戦している*
*王都では、エドガーが私兵を制圧した*
*残るは*
タイシは、クレアボヤンス(透視)を発動した。
帝国大使館。
その地下に、30名の人影が見えた。
『影の刃』の精鋭たち。
そして、中央に立つ男。
ヴァレリウス。
黒い外套を纏い、冷たい目をしている。
タイシは、テレパシーで呼びかけた。
*《ヴァレリウス、聞こえるか?》*
ヴァレリウスが、驚いて周囲を見回した。
「誰だ!?」
*《タイシだ》*
*《お前を倒しに来た》*
ヴァレリウスは、冷笑した。
「タイシか」
「どこにいる?」
*《すぐそこだ》*
タイシは、テレポーテーションを発動した。
光が、帝国大使館の地下に出現した。
次の瞬間
タイシが、ヴァレリウスの目の前に立っていた。
『影の刃』30名が、一斉に武器を構えた。
だが、ヴァレリウスは手を上げて制止した。
「待て」
ヴァレリウスは、タイシを見つめた。
「噂通りだな」
「テレポーテーションか」
「便利な魔法だ」
タイシも、ヴァレリウスを見つめた。
「ヴァレリウス」
「帝国秘密警察『影の刃』の幹部」
「レベルは…」
タイシは、鑑定スキルを使った。
*レベル720*
「720か…」
タイシは呟いた。
「私より、60以上高い」
ヴァレリウスは、笑った。
「そうだ」
「お前がレベル665だと聞いている」
「私の方が、圧倒的に上だ」
「さらに」
ヴァレリウスは、周囲の29名を指さした。
「我が部下は、全員レベル500以上」
「お前一人で、我々30名を倒せると思うか?」
タイシは、微笑んだ。
「試してみるか?」
ヴァレリウスの目が、鋭くなった。
「面白い」
「では」
ヴァレリウスが、手を上げた。
「全員、タイシを殺せ!」
『影の刃』29名が、一斉にタイシに襲いかかった。
だが
タイシは、空間掌握を発動した。
周囲100メートルの空間が、タイシの支配下に入った。
29名の動きが、全て見える。
タイシは、瞬間連続移動を発動した。
タイシの姿が、連続で消えた。
1人目の背後に出現。
テレキネシスで首を折る。
2人目の横に出現。
パイロキネシスで発火。
3人目の上に出現。
クエイクで地面を砕き、落とす。
わずか3秒で、3人が倒れた。
残り26名が、驚愕した。
「速い!」
「見えない!」
ヴァレリウスは、冷静だった。
「包囲しろ!」
「空間を埋め尽くせ!」
「逃げ場をなくせ!」
26名が、タイシを包囲した。
全方向から、攻撃が来る。
だが
タイシは、笑った。
「包囲?」
「意味がない」
タイシは、テレポーテーションを連続で発動した。
包囲の外へ。
また中へ。
上空へ。
地下へ。
自由自在に、空間を移動する。
そして、移動するたびに
一人ずつ、『影の刃』を倒していく。
4人目。
5人目。
6人目。
わずか10秒で、6人が倒れた。
残り20名。
ヴァレリウスは、焦りを隠せなかった。
「くそっ…!」
「あの機動力は、反則だ!」
タイシは、ヴァレリウスを見た。
「ヴァレリウス」
「お前の部下は、全員倒す」
「そして」
タイシの目が、冷たく光った。
「お前も、倒す」
戦いは、始まったばかりだった。
---




