第二章:超能力魔法の開発
翌日。
タイシの村の研究棟。
タイシは、一人で魔法陣の前に立っていた。
*地球にいた頃…*
*超能力という概念があった*
*サイコキネシス、テレパシー、透視…*
*科学的には証明されていなかったが*
*理論上は、存在しうるものだった*
タイシは考えた。
*この世界には、魔法がある*
*魔法は、イメージを現実化する力*
*ならば*
*地球の超能力を、魔法で再現できるはずだ*
タイシは、魔力を集中させた。
「まずは、基礎から」
「テレキネシス念動力」
タイシが目の前の石に向かって、手を伸ばした。
*イメージする*
*念で物体を動かす*
*重力を無視して、自由に操る*
魔力が、石を包み込んだ。
そして
石が、ゆっくりと浮き上がった。
「成功だ」
タイシは石を空中で操った。
左右に動かす。
回転させる。
上下に動かす。
完全なコントロール。
「これが、テレキネシスか」
タイシは続けた。
「次は、テレパシー念話」
*イメージする*
*思考を直接伝える*
*言葉を介さない、心の通信*
タイシは魔力を脳に集中させた。
そして、統括型ゴーレムに向けて思考を送った。
*《聞こえるか?》*
統括型ゴーレムが反応した。
「マスター、思考通信を受信しました」
「明瞭です」
「成功です」
タイシは満足した。
「これで、遠距離でも思考を送れる」
「声を出さずに、指示を出せる」
タイシは、次々と新しい魔法を開発していった。
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**クレアボヤンス透視**
タイシは目を閉じた。
*壁の向こうを見る*
*物質を透過して、視界を得る*
魔力が目に集中する。
タイシが目を開けると
壁が透明に見えた。
壁の向こうの部屋。
そこで働くゴーレムたちの姿。
全てが見える。
「これは便利だ」
「敵の配置も、一瞬で把握できる」
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**クレアオーディエンス念聴**
タイシは耳に魔力を集中させた。
*遠くの音を聞く*
*壁を越えて、会話を聞く*
タイシの聴覚が、鋭敏になった。
村の反対側の工房。
ゴーレムたちの会話が聞こえてきた。
「戦闘型ゴーレム、第250体完成」
「次の生産に移ります」
鮮明に聞こえる。
「透視と念聴を組み合わせれば」
「完璧な偵察ができる」
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**リモート・ビューイング遠隔透視**
タイシは魔力を最大限に高めた。
*距離を超えて見る*
*王都の様子を、ここから見る*
タイシの視界が、急速に拡大した。
村から、王都へ。
タイシの意識が、王都の上空に到達した。
眼下に広がる、王都の街並み。
中央広場。
王宮。
スミス商会。
全てが見える。
「すごい…」
「数百キロ離れた場所も、見られる」
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**フォアサイト未来視**
タイシは、時間の魔法に挑戦した。
*未来を見る*
*これから起こることを予知する*
タイシの意識が、時間の流れに触れた。
断片的なビジョンが見えた。
*保守派貴族の会合*
*マルクス伯爵が、何かを計画している*
*帝国からの使者*
*戦争の気配*
ビジョンは、不鮮明だ。
確実ではない。
だが、ヒントにはなる。
「未来視は、まだ不完全だ」
「だが、危険を察知する助けにはなる」
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**プレコグニション未来予知**
タイシは、さらに集中した。
*より明確に、未来を見る*
*具体的な出来事を予測する*
タイシの意識が、未来の可能性に触れた。
*2週間後*
*保守派貴族が、再び動き出す*
*マルクス伯爵が、帝国と密約を結ぶ*
*王国への侵攻計画*
ビジョンは、少し鮮明になった。
「2週間後…」
「マルクス伯爵が動く」
「対策を立てなければ」
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**サイコメトリー念視**
タイシは、古い剣を手に取った。
*物体から、過去の記憶を読み取る*
*この剣が見てきたものを知る*
魔力が剣に流れ込む。
タイシの脳裏に、映像が流れ込んできた。
*戦場*
*騎士が剣を振るう*
*敵を倒す*
*最後の戦いで、騎士が倒れる*
剣の記憶。
「これは…便利だ」
「証拠品から、真実を読み取れる」
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**ポストコグニション過去視**
タイシは、部屋の中心に立った。
*この場所の過去を見る*
*昨日、何が起こったのか*
魔力が空間に広がる。
タイシの目の前に、過去の映像が再生された。
*昨日のこの部屋*
*統括型ゴーレムが作業をしている*
*設計図を確認している*
過去の光景が、透明な映像として見える。
「過去視も成功だ」
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**レビテーション空中浮揚**
タイシは、自分自身に魔力を向けた。
*自分の体を浮かせる*
*重力から解放される*
タイシの体が、ゆっくりと浮き上がった。
1メートル。
2メートル。
3メートル。
天井近くまで浮き上がる。
「飛行魔法よりも、繊細なコントロールができる」
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**ソートグラフィー念写**
タイシは、白紙の紙を用意した。
*頭の中のイメージを、紙に写す*
*描かずに、画像を作り出す*
タイシは、ゴーレムの設計図をイメージした。
魔力が紙に流れ込む。
紙の上に、設計図が浮かび上がった。
完璧な線。
正確な寸法。
「これは…設計図の作成が楽になる」
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**ヒーリング超能力治療**
タイシは、軽く手を切った。
*傷を治す*
*細胞を再生させる*
*超能力による治癒*
タイシが手をかざすと、緑の光が傷を包んだ。
傷が、目に見えて塞がっていく。
数秒で、完全に治癒した。
「回復魔法よりも速い」
「そして、より精密だ」
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**パイロキネシス発火能力**
タイシは、薪を置いた。
*念で火をつける*
*発火点まで、分子を振動させる*
タイシが薪を見つめると
薪から煙が上がり始めた。
そして、火が燃え上がった。
「触れずに、発火できる」
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**テレポーテーション瞬間移動**
タイシは、最も難しい魔法に挑戦した。
*瞬間移動*
*空間を歪めて、一瞬で別の場所へ*
タイシは、10メートル先の地点をイメージした。
魔力が空間を歪める。
タイシの体が、光に包まれた。
次の瞬間
タイシは、10メートル先に立っていた。
「成功だ!」
「だが…魔力消費が激しい」
「長距離の移動は、まだ無理だ」
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**アポート物体取り寄せ**
タイシは、遠くの棚の上の本を見た。
*あの本を、手元に*
*空間を越えて、物体を取り寄せる*
魔力が本を包んだ。
本が消えた。
次の瞬間、タイシの手に本が現れた。
「これは…便利だ」
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**アスポート物体送信**
タイシは、手に持った本を送り返した。
*元の場所へ戻す*
本が光に包まれ、消えた。
そして、棚の上に戻った。
「取り寄せと送信」
「両方できれば、完璧だ」
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**ピュリフィケーション浄化・精製**
タイシは、汚れた水を用意した。
*不純物を取り除く*
*完全に浄化する*
タイシが手をかざすと、水が光り始めた。
泥や汚れが、水から分離していく。
残ったのは、透明な純水。
「これは…医療や工業に使える」
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**ピュリファイ浄化する、清める**
タイシは、毒を含んだ薬草を手に取った。
*毒を取り除く*
*有益な成分だけを残す*
魔力が薬草を包む。
毒が、黒い霧となって分離した。
残った薬草は、純粋な薬効成分だけ。
「これで、毒物も無害化できる」
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**クエイク地震**
タイシは、最後に破壊的な魔法を試した。
*地面を揺らす*
*地震を起こす*
タイシは村の外れの空き地に移動した。
そして、地面に手を当てた。
魔力が地中に流れ込む。
地面が、激しく揺れ始めた。
小さな地震。
だが、確実に地面を揺らしている。
「これは…攻城戦で使える」
「城壁を崩せる」
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数時間後。
タイシは、全ての超能力魔法の開発を終えた。
統括型ゴーレムに報告した。
「マスター、素晴らしい成果です」
「これらの魔法は、戦略的価値が極めて高い」
「特に」
統括型ゴーレムが分析した。
「リモート・ビューイング、テレパシー、テレポーテーション」
「この3つは、戦争において決定的な優位性をもたらします」
タイシは頷いた。
「ああ」
「だが、これらの魔法は、まだ完璧ではない」
「特にテレポーテーションは、魔力消費が大きすぎる」
「改良が必要だ」
「イエス、マスター」
「それと」
タイシは続けた。
「これらの魔法を、他の人間にも教える」
「マイケルさん、エドガー、ダリウスたち」
「『自由の翼』のメンバーにも」
「全員が、これらの魔法を使えるようになれば」
「我々の戦力は、飛躍的に向上する」
統括型ゴーレムが質問した。
「マスター、魔法の教育には時間がかかります」
「どのように教えますか?」
タイシは考えた。
「まず、基礎から教える」
「テレキネシス、テレパシー、ヒーリング」
「この3つを、優先的に」
「他の魔法は、各自の適性に応じて」
「イエス、マスター」
タイシは窓の外を見た。
*これで、準備が整いつつある*
*ゴーレム軍の増強*
*超能力魔法の開発*
*行政改革*
*全てが、新しい王国のために*
タイシの決意は、さらに強固になった。
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