表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国簒奪物語  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/98

第三部:革命の嵐 第一章:新時代の幕開け


マルクス伯爵の暗殺計画が失敗してから、1ヶ月が経過した。


王都は、大きく変わりつつあった。


中央広場には、新しい掲示板が設置されていた。


『改革委員会からのお知らせ』


「来月より、無料診療所を王都に3箇所開設します」


「場所:南区、東区、北区」


「平民の皆様は、誰でも無料で診察を受けられます」


民衆が、掲示板の前に集まっていた。


「本当か!?」


「無料で医者にかかれるのか!?」


「すごい! 子供が病気になっても、もう心配ない!」


別の掲示板には


「平民のための学校を、来月開校します」


「授業料:無料」


「対象:6歳から14歳までの子供」


「読み書きと計算を教えます」


母親たちが、涙を流していた。


「うちの子も、勉強できるんだ…」


「文字が読めるようになれば、もっといい仕事に就ける…」


「タイシ様、ありがとう…」


王都の空気が、明らかに変わっていた。


希望に満ちた空気。


---


王宮の改革委員会室。


タイシ、マイケル、エドガー、ダリウス、そして国王と宰相が会議をしていた。


「医療と教育の準備は、順調に進んでいます」


宰相が報告した。


「診療所は3箇所とも、建物の改修が完了しました」


「医師も、各地から募集しています」


「学校も、旧貴族邸を改装して使います」


「教師は、元役人や商人の中から選んでいます」


国王が頷いた。


「素晴らしい」


「これで、平民の生活も改善される」


タイシが言った。


「ですが、陛下」


「これはまだ、序章に過ぎません」


「次の段階に進む必要があります」


「次の段階?」


国王が尋ねた。


タイシは資料を広げた。


「行政改革です」


「現在の王国行政は、全て貴族が独占しています」


「財務省、内務省、外務省、軍部」


「全ての要職は、貴族の世襲です」


「これを、実力主義に変えます」


保守派貴族の代表現在は穏健派のロベルト男爵が反論した。


「待ってください!」


「行政を平民に開放するなど、前例がありません!」


「国家運営には、経験と教育が必要です!」


「平民に、それがあると?」


ダリウスが立ち上がった。


「私は、元財務省の役人でした」


「10年間、行政に携わってきました」


「平民でも、十分に能力があります」


「問題は、機会が与えられていないことです」


マイケルも言った。


「私は商人として、王国中を回ってきました」


「各地には、優秀な平民が大勢います」


「彼らに機会を与えれば、王国はもっと発展します」


エドガーが続けた。


「騎士団でも同じです」


「平民出身の騎士は、実力があっても昇進できません」


「貴族の子弟が、自動的に高い地位につきます」


「これでは、士気が下がります」


国王は、深く考え込んだ。


「確かに…」


「貴族の世襲だけでは、優秀な人材が埋もれてしまう」


「だが」


国王は慎重に続けた。


「急激な変革は、混乱を招く」


「段階的に、進めるべきだ」


タイシが提案した。


「では、まず試験制度を導入しましょう」


「行政官の採用試験を実施します」


「貴族も平民も、同じ試験を受けます」


「成績上位者を、採用します」


「これなら、公平です」


宰相が賛同した。


「良い案です」


「試験なら、実力を客観的に測れます」


ロベルト男爵が渋々頷いた。


「…試験制度なら、まだ理解できます」


「ですが、既存の役人を解雇するわけではないですよね?」


「もちろんです」


タイシが答えた。


「既存の役人は、そのまま働いていただきます」


「ただし、新規採用は試験を通過した者だけです」


「そして」


タイシは続けた。


「既存の役人も、定期的に能力評価を受けていただきます」


「能力が不足している者は、降格もあり得ます」


保守派貴族たちの顔が、強張った。


だが、反論できなかった。


国王が宣言した。


「では、試験制度の導入を決定する」


「3ヶ月後、第一回行政官採用試験を実施する」


「宰相、準備を進めてくれ」


「はい、陛下」


会議は終了した。


---


会議の後。


タイシは、マイケルたちと共に王宮の廊下を歩いていた。


「タイシ様、今日も素晴らしかったです」


マイケルが言った。


「試験制度の導入、大きな一歩ですね」


「でも、まだ抵抗があるわね」


マーガレットが心配そうに言った。


「保守派貴族たちは、まだ諦めていないと思うわ」


タイシは頷いた。


「その通りです」


「マルクス伯爵は、今は静かにしていますが」


「必ず、また動き出します」


「それに」


タイシは窓の外を見た。


「他にも、懸念材料があります」


「懸念材料?」


エドガーが尋ねた。


「何ですか?」


「他国の動きです」


タイシが説明した。


「王国の改革は、周辺国にも知られています」


「平民が力を持つ国」


「これは、貴族制度を維持する他国にとって、脅威です」


「まさか…」


ダリウスが言った。


「他国が、介入してくる?」


「可能性はあります」


タイシは真剣な表情で続けた。


「特に、東の帝国」


「あの国は、厳格な貴族制度を維持しています」


「我が国の改革が成功すれば」


「帝国の平民たちも、同じことを求めるでしょう」


「帝国の皇帝は、それを恐れているはずです」


全員が、緊張した。


「では…戦争になる可能性も?」


「はい」


タイシは頷いた。


「だからこそ、軍の改革も急ぐ必要があります」


「そして」


タイシは拳を握った。


「もっと強力な戦力が必要です」


「ゴーレム軍を、さらに増強します」


---


その夜。


タイシの村。


タイシは、統括型ゴーレムと会議をしていた。


「マスター、ゴーレム生産の進捗を報告します」


「現在、戦闘型ゴーレムは250体」


「人型戦闘ゴーレムは50体」


「生産中です」


タイシは頷いた。


「順調だな」


「さらに、生産速度を上げてくれ」


「目標は」


タイシは宣言した。


「戦闘型ゴーレム1000体」


「人型戦闘ゴーレム200体」


「3ヶ月以内に、この戦力を揃える」


「イエス、マスター」


「それと」


タイシは新しい設計図を見せた。


「新型のゴーレムを開発する」


「飛行型ゴーレム」


「空を飛び、偵察と爆撃ができるゴーレムだ」


統括型ゴーレムが分析した。


「設計図を確認しました」


「製造可能です」


「ただし、飛行魔法陣の調整が必要です」


「完成まで、2ヶ月かかります」


「分かった」


タイシは続けた。


「それと、もう一つ」


「攻城型ゴーレムも作る」


「城壁を破壊できる、巨大なゴーレムだ」


「高さ10メートル」


「重装甲で、攻城槌を装備する」


統括型ゴーレムが計算した。


「攻城型ゴーレムは、資源が大量に必要です」


「鉄鉱石、ミスリル、魔石」


「通常のゴーレムの10倍の資源です」


「問題ない」


タイシが答えた。


「資源は、商人ネットワークを通じて調達する」


「マイケルさんに協力を依頼する」


「イエス、マスター」


タイシは、村の外を見た。


遠くに、王都の灯りが見える。


*来るべき戦いに備えなければならない*


*帝国との戦争*


*保守派貴族の最後の抵抗*


*全てを乗り越えて、新しい王国を作る*


タイシの決意は、揺るがなかった。


---


**第三部 第一章 了**


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ