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王国簒奪物語  作者: 慈架太子


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第二十五章:保守派の反撃


『自由の翼』結成から2週間後。


王都郊外の森。


保守派貴族たちが秘密の会合を開いていた。


場所は、マルクス伯爵の別荘。


参加者は約15名。


デュランド公爵の失脚後、残った保守派貴族たちだ。


「諸君」


マルクス伯爵が口を開いた。


「デュランド公爵の失脚は、我々にとって大きな痛手だ」


「だが」


伯爵の目が鋭くなった。


「我々は、まだ終わっていない」


「保守派貴族は、まだ多く残っている」


「そして、王国の実権は、まだ我々の手にある」


フェルディナンド子爵が言った。


「だが、民衆の支持は完全に『自由の翼』に移っています」


「あの組織は、わずか2週間で300名を超えました」


「しかも、騎士団の中にも協力者がいる」


「このままでは、我々の立場が危うい」


別の貴族が言った。


「国王も、改革委員会を設置した」


「平民の権利拡大を検討している」


「このままでは、貴族の特権が失われる」


マルクス伯爵は頷いた。


「だからこそ、今すぐ行動しなければならない」


「『自由の翼』を潰す」


「それも、合法的に」


「合法的に?」


「そうだ」


マルクス伯爵は続けた。


「『自由の翼』は、まだ正式な組織ではない」


「王国に届け出もしていない」


「つまり」


伯爵は冷たく微笑んだ。


「非合法組織として、取り締まることができる」


貴族たちが、ざわついた。


「なるほど…」


「王国の法を使うのか」


「だが、民衆の反発が…」


「民衆など、恐れることはない」


マルクス伯爵が言い切った。


「我々には、軍がある」


「王国軍の上層部は、まだ保守派の味方だ」


「軍を動かせば、『自由の翼』など簡単に潰せる」


フェルディナンド子爵が尋ねた。


「ですが、国王陛下の許可が必要では?」


「それは、私が何とかする」


マルクス伯爵は自信満々に言った。


「国王陛下に、『自由の翼』が反乱を企てていると報告する」


「証拠は、いくらでも捏造できる」


「そうすれば、陛下も軍の出動を許可するだろう」


貴族たちは、顔を見合わせた。


*また、証拠の捏造か…*


*だが、他に方法はない*


「異議なし」


「賛成だ」


「やむを得ない」


保守派貴族たちは、再び不正な手段に頼ることを決めた。


---


その夜。


スミス商会の事務所。


『自由の翼』の定例会合が開かれていた。


タイシを中心に、約50名のメンバーが集まっている。


「皆さん、報告があります」


ダリウスが立ち上がった。


「本日、保守派貴族が秘密の会合を開きました」


「マルクス伯爵の別荘で」


「内容は」


ダリウスは深刻な表情で続けた。


「『自由の翼』を非合法組織として取り締まる計画です」


「軍を動かして、我々を潰すつもりです」


会場がざわついた。


「軍だと!?」


「まずい…」


「我々に、軍と戦う力はない」


タイシは冷静に聞いていた。


「ダリウスさん、詳しく教えてください」


「はい」


ダリウスが説明した。


「マルクス伯爵は、国王陛下に対して」


「『自由の翼』が反乱を企てていると報告するつもりです」


「証拠は捏造されます」


「そして、軍の出動許可を得る計画です」


エドガーが言った。


「なんて卑劣な…」


「またしても、証拠の捏造か」


マイケルが尋ねた。


「タイシ様、どうすればいいでしょうか?」


タイシは、少し考えてから答えた。


「まず、彼らの計画を阻止します」


「証拠の捏造を、事前に暴露する」


「そして」


タイシの目が光った。


「こちらから、国王陛下に直接会いに行きます」


「真実を伝えます」


「『自由の翼』は、反乱組織ではないと」


「民のために戦っているのだと」


エドガーが言った。


「ですが、陛下に会うには、正式な手続きが必要です」


「平民が陛下に謁見するのは、非常に難しい」


「ならば」


タイシは微笑んだ。


「国王陛下が断れない方法で、会いに行きます」


「民衆を連れて」


全員が、タイシの言葉に驚いた。


「民衆を!?」


「そうです」


タイシは続けた。


「前回、1万人の民衆が王宮前に集まりました」


「今回は、もっと多く集めます」


「5万人」


「いや、10万人」


「民衆の声を、直接国王陛下に届けます」


ブライアンが言った。


「10万人…そんなに集められるのか?」


「集められます」


マイケルが自信を持って答えた。


「王都の民衆は、『自由の翼』を支持しています」


「腐敗した貴族に、皆が怒っています」


「呼びかければ、必ず集まります」


タイシは頷いた。


「では、決まりです」


「3日後、王宮前で大集会を開きます」


「そこで、国王陛下に直接訴えます」


「そして」


タイシは宣言した。


「保守派貴族の陰謀を、全て暴露します」


全員が、拳を握った。


「分かりました!」


「タイシ様に従います!」


『自由の翼』の決意が、固まった。


---


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