表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王国簒奪物語  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/98

第十五章:接触

第十五章:接触


翌日の夜。


スミス商会の裏口。


エドガーが、一人で現れた。


鎧は脱ぎ、平服姿だ。


*これは、騎士団の任務ではない*


*個人的な調査だ*


エドガーは、裏口をノックした。


しばらくして


扉が開き、アルファが現れた。


「どなたですか?」


「エドガー・フォン・ブラウンだ」


エドガーが名乗った。


「騎士団の分隊長の?」


アルファは警戒した。


「安心してくれ」


エドガーは両手を上げた。


「武器は持っていない」


「マイケル・スミス氏に、話がしたい」


「何の用ですか?」


「真実を知りたい」


エドガーは真剣な目で言った。


「この任務の真実を」


アルファは少し考えてから、頷いた。


「お入りください」


エドガーは店の中へ案内された。


事務所に、マイケルが待っていた。


「エドガー分隊長」


マイケルが言った。


「夜分に申し訳ありません」


エドガーは頭を下げた。


「話を聞きたい」


「なぜ、デュランド公爵とヴィクターは、あなた方をここまで警戒するのか」


マイケルは、エドガーの目を見た。


*この騎士…本気だ*


*真実を知りたがっている*


「座ってください」


マイケルが椅子を勧めた。


エドガーが座ると、マイケルも向かいに座った。


「率直に言います」


マイケルが口を開いた。


「私たちは、何も悪いことはしていません」


「ただ、ある人物から商品を仕入れて、売っているだけです」


「その人物とは?」


「それは、言えません」


マイケルは首を振った。


「商売の秘密です」


「だが」


マイケルは続けた。


「ヴィクターとデュランド公爵は、その技術を奪おうとしています」


「ゴーレムトラックという、革新的な輸送手段の技術を」


「ゴーレムトラック…」


エドガーは呟いた。


「それが、噂に聞く自動運転のゴーレムか」


「はい」


マイケルは頷いた。


「その技術は、私たちの取引相手が開発したものです」


「だが、公爵たちはそれを横取りしようとしている」


「密輸の疑いをでっち上げて、私たちを追い詰めて」


「技術を奪おうとしている」


エドガーは拳を握った。


*やはり…*


*公爵たちは、不正を働いている*


「証拠はあるのか?」


エドガーが尋ねた。


マイケルは少し考えてから


ダリウスが持ってきた書類を見せた。


「これです」


エドガーが書類を見た。


ヴィクター・グレイソンの秘密の銀行口座。


デュランド公爵からの賄賂の記録。


総額、金貨50万枚。


「これは…!」


エドガーは息を呑んだ。


「賄賂の証拠だ!」


「はい」


マイケルは頷いた。


「ヴィクターは、表向きは清廉潔白な役人ですが」


「実際は、公爵の犬です」


「金で動く、腐った役人です」


エドガーは、怒りで震えていた。


「許せない…」


「こんな奴が、王国の役人だと…」


「エドガー分隊長」


マイケルが言った。


「あなたは、正義の騎士だと思います」


「だから、お願いがあります」


「何だ?」


「この証拠を、適切なタイミングで公表してください」


マイケルは頼んだ。


「私たちが公表しても、信用されないかもしれません」


「ですが、あなたのような信頼される騎士が公表すれば」


「民衆も信じてくれるはずです」


エドガーは、書類を見つめた。


*これは…俺の使命だ*


*騎士として、正義を守る*


*腐敗した貴族を告発する*


「分かった」


エドガーは頷いた。


「この証拠を預かろう」


「そして、必ず公表する」


「ありがとうございます」


マイケルは深々と頭を下げた。


エドガーは立ち上がった。


「マイケル・スミス」


「あなたは、良い商人だ」


「これからも、正しく生きてくれ」


「はい」


エドガーは裏口から出ていった。


手には、王国を揺るがす証拠。


*これで、ヴィクターとデュランド公爵を追い詰められる*


*だが、タイミングが重要だ*


*焦ってはいけない*


エドガーは、慎重に行動することを決めた。


---


**第二部 第十五章 了**


---


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ