第十五章:武器工房
武器工房は防具工房よりもさらに大きな建物だった。
中に入ると、5体の職人型ゴーレムが黙々と作業をしていた。
炉で金属を熱し、ハンマーで打ち、研ぎ、磨く。その動きは職人そのものだった。
「こちらが武器の展示室です」
タイシが扉を開けると
壁一面に武器が並んでいた。
剣、槍、斧、弓、杖あらゆる種類の武器が、整然と展示されている。
ブライアンが一本の大剣に近づいた。
「これは…」
黒い光沢を放つ、見事な大剣。柄には竜の意匠が施されている。
「ヘレン、鑑定を頼む」
「鑑定」
ヘレンが魔法を発動すると、情報が浮かび上がった。
「ドラゴンスレイヤー。攻撃力+520、力+60、耐久度800/800」
「特殊効果『竜殺し:竜系モンスターへのダメージ2倍、貫通効果付与』!?」
「攻撃力520!?」
ブライアンが驚愕した。
「俺の愛剣が攻撃力210なのに!」
ガイが短剣を手に取った。
「エイミー、これも頼む」
「はい。鑑定」
エイミーが鑑定する。
「ミスリルダガー。攻撃力+280、器用さ+50、敏捷性+40」
「特殊効果『影刃:攻撃が必ずクリティカルになる確率20%、音を立てずに攻撃可能』」
「必ずクリティカル20%!?」
ガイが興奮した。
「これ、暗殺者の究極武器じゃないですか!」
ヘレンが魔導杖に手を伸ばした。
「この杖…美しい…」
銀色の杖。先端には青い宝石が埋め込まれている。
「鑑定」
「エンシェントスタッフ。魔法攻撃力+450、精神力+80、MP+200」
「特殊効果『魔力増幅:全ての魔法の威力50%増加、詠唱時間半減、MP消費量30%減少』!?」
「ま、魔力増幅50%に詠唱時間半減!?」
ヘレンの声が裏返った。
「こんな杖、伝説の中にしか存在しないはずです!」
エイミーが白い杖を鑑定した。
「ホーリーロッド。回復魔法効果+300%、精神力+70、MP+150」
「特殊効果『聖なる祝福:回復魔法の効果3倍、全ての状態異常を治癒可能、使用者のMP自動回復+50%』」
「回復効果3倍!?」
エイミーが震えた。
「これがあれば…どんな重傷でも治せます!」
ブライアンが槍を手に取った。
「ヘレン、これも」
「ドラゴンランス。攻撃力+480、力+55、射程+3メートル」
「特殊効果『貫竜:どんな防御も貫通、投擲時にダメージ3倍』」
「どんな防御も貫通…」
ブライアンが呟いた。
レイチェルが必死にメモを取っている。
「ドラゴンスレイヤー×45本」
「ミスリルダガー×120本」
「エンシェントスタッフ×38本」
「ホーリーロッド×42本」
「ドラゴンランス×56本」
「オリハルコンソード×89本」
「フェニックスボウ×67張」
「信じられない数です…」
マイケルが震える声で言った。
「タイシ様…武器もこれだけ?」
「はい。こちらも倉庫に大量に保管してあります」
タイシが倉庫の扉を開けると
武器が壁一面に並んでいた。何千本もの武器。
「これは…」
マイケルが呆然とした。
「2万人の軍隊を武装できる…」
「しかも全て伝説級の武器で…」
ガイが呟いた。
「タイシさん…あんた、本気で軍隊を作るつもりなんだな」
タイシは静かに答えた。
「備えています」
「いつか、必要な時が来るでしょう」
マイケルは深呼吸した。
*この少年は…本当に王国を変えるつもりだ*
*そして、その準備は既に整っている*
「タイシ様」
マイケルが言った。
「これらの武器も…売っていただけますか?」
「はい。余剰分はお売りします」
タイシは頷いた。
「ただし、大量に流通させると目立ちます」
「少しずつ、慎重に売ってください」
「承知しました」
マイケルは真剣な表情で答えた。
「それでは、次は食肉倉庫もご覧になりますか?」
タイシが提案した。
「食肉倉庫?」
マーガレットが興味深そうに尋ねた。
「はい。狩った魔物の肉を保管しています」
タイシは一同を別の建物へと案内した。




