第十三章:布地倉庫
食事の後、タイシは一同を布地倉庫へと案内した。
「アダムス、案内を頼む」
「イエス、マスター」
現れたのは、これまでのゴーレムとは明らかに異なる姿だった。人型ではなく、機械そのものの姿をしたゴーレム。複雑な歯車と魔力回路が組み合わさった、織機のような形状をしている。
「これは…織機ゴーレム?」
マーガレットが驚きの声を上げた。
「はい。布地の製作に特化したゴーレムです」
アダムスが倉庫の扉を開けると、巨大な空間に無数の布のロールが整然と積まれていた。
マーガレットが一つのロールに近づき、布に触れた。
「これは…! 完全なシルクですわ! しかもこの光沢、この手触り…王都の最高級品よりも上質!」
「これはシルクモーンの布です。森に生息するシルクモーンという魔物から採取した糸で作っています」
マーガレットは次の布に触れた。
「こちらは…デススパイダーの布!? 超高級品ですわ! シルクのような風合いですが、圧倒的に強度が高い! 騎士の下着に用いられる、最高級の防護布!」
「これらが…多巻のロールで…こんなに大量に!?」
レイチェルが驚愕の声を上げた。
倉庫には、シルクモーンの布が約200ロール、デススパイダーの布が約150ロール、その他の高級布地も含めて、合計500ロール以上が保管されていた。
「レイチェル、仕入れの目録を作ってくれ」
マイケルが指示した。
「畏まりました」
レイチェルはすぐさまメモ帳を取り出し、記録を始めた。




