第十一章:拒絶
タイシは首を横に振った。
「そんなものに興味はありません」
タイシは静かに語り始めた。
「私はこの村で生まれました」
「生まれたころはここに150人くらい人がいました」
「父が魔物に襲われ、母ははやり病でなくなりました。魔物に襲われ、盗賊に襲われ、はやり病にかかり、人がどんどん減って、人が30人くらいになったとき、その時の村長は村人全員で逃げたんです」
「その時僕は6歳でした。足手まといになると思われたのでしょう。この村に一人捨てられました」
「その時、ここの領主の貴族は何をしてくれましたか?」
「この国の王は?」
「僕は金とか地位とかに一切興味がないんですよ。ここでの暮らしにお金はあまり必要がないので」
「そんなことを言ったら国家反逆罪とかで処刑されますよ」
ブライアンが警告した。
「誰が処刑するんです?」
タイシは冷静に言った。
「あなた方は先ほどの魔物の群れを見たでしょう。アースドラゴン2匹とファングリザード20匹を退治しようと思えば、王国の騎士団が1万人がかりでも無理でしょう」
「そうなのですか? ブライアンさん」
マイケルが尋ねた。
「アースドラゴン2匹とファングリザード20匹が別々で現れれば、S級冒険者10パーティーで挑めば或いは、というレベルです」
ブライアンが答えた。
「先ほどのように同時に現れれば無理でしょう。まず剣も槍も弓も通りません。かつ魔法も効きづらいときている。無理ですね。人間の力が通らない魔物です」
「マイケルさん」
タイシが言った。
「商人の鼻が疼くのでしょう?」
「それは…」
「あまり欲をかくものではないですよ」
タイシの目が鋭くなった。
「僕は好戦的なタイプではありませんが、欲をかいて僕の自由を侵すものが来れば容赦はしません。魔物であろうが、盗賊であろうが、領主軍であろうが、王国軍であろうが」
タイシ以外、ここにいる全員が冷や汗をかいた。
「それはそうと、マイケルさん」
タイシは話題を変えた。
「武器とか防具を買ってもらえませんか? ドラゴンの皮で作った盾とか鎧とか? 剣も鋼鉄で作った大剣とか、ミスリルで作った短剣とか。素材も大量にありますので」
「シルクモーンの布とか? デススパイダーの布とか? 後で見てください」




