盟友との再会(リーヴァ視点)
「着きましたね」
「ええ、時間が経っていないはずなのに、懐かしい感じがするわ」
感傷に浸っているルビナ王女とシャーレさんだが、俺には苦い思い出しか思い出す事が出来ない。
(お父さん、お母さん、エル。帰ってきたよ)
子供の頃の記憶にある家族に報告はするが、返答は返ってくることは無い。
やはり、心奥にある憎悪は未だ消えることがなく燃え続けている。
「リーヴァ、行くわよ」
俺が城壁を見て憎しみをぶつけている間にも、2人は進んでいたようで、ルビナ王女から声をかけられた。
「はい、ただいま参ります」
門番に呼び止められたが、ルビナ王女もシャーレさんも元はパラシアスの軍。特に問題もなく通ることが出来た。
そして、王都に入ってすぐの事だった。
「このガキを捕まえろ!」
そんな声が聞こえてきて、その方向に目を向けると、パラシアスの兵数名に追いかけられる少年がいた。
「ルビナ王女、どうされますか?」
一応、問題は起こしては行けないので、許可をもらおうとしたが、ルビナ王女はもう既に動いていた。
「そこの男の子!こっちに来なさい」
ルビナ王女はすぐに少年に声をかけて保護しようとしていたのだ。
(なら、俺がやる事はひとつだな)
「シャーレ様」
「わかっています」
ルビナ王女を頼みますと言おうとしたのだが、シャーレさんもすぐに理解し動き出していた。俺はすぐさま、ルビナ王女達より前に行き、パラシアスの兵を止めに入る。
「そこまでだ」
俺が間に入った事でパラシアスの兵は止まったが、その顔色はいいものでは無かった。
「頼むどいてくれ!そいつを捕まえないと俺達が...」
それを聞いた瞬間、理解出来た事があった。
「ルビナ王女....最悪の展開になりそうです」
「ええ、私も気づいたわ」
ルビナ王女も気づいているようだった。
(王族が関わっている...)
だが、ここに姿を表さないという事は、そこまで興味を示していないという事でもある。
「あなた達、すぐにこの王都から逃げなさい。そうすれば命は助かります」
シャーレさんは争い事を起こしたくないのか、パラシアスの兵達にそう説いているが、いい返事は期待出来そうになかった。
「無理に決まっているだろう!家族もいるんだぞ!」
兵達にも家族がいる...だからこそここを離れる訳には行かない。
だが、これでは....
「リーヴァ、この人達を気絶させてどこかに隠しなさい」
「よろしいのですか?」
「ええ、この人達もその家族も私が守るわ」
「わかりました」
ルビナ王女にしては手荒な真似ではあるが、これが一番楽な対処法でもあるため、俺は従うことにした。
(敵は3人...手短に終わらせる)
俺は抜刀しない鞘の状態で、3人をすぐさま気絶させた。
「終わりました。ルビナ王女」
「ありがとう、そして大丈夫?」
ルビナ王女はさっき保護した少年に声をかけるが、その少年は俺の方を見て何か希望を見ていた気がする。
「今リーヴァって....お前、生きていたのか!?」
俺の事を知っている少年に俺達は驚く事になった。
「何故、俺の事を知っている」
王都には10年近く居ないはず....
(いや、まさかこいつ!?)
「俺だよ俺!ユグラスだよ!覚えているだろ?小さい頃よく悪さしてただろ?」
俺はそいつの名前を聞いて全てを思い出した。
オスロブ・ユグラス。
この国では珍しい緑の瞳孔に茶色の髪をしている。
俺の産まれた時からの悪友だ。子供の頃にはよく悪さをして、色んな人から怒られたり、いつか王族を懲らしめようと誓い合った盟友だ。
「まさか、お前も生きていたのか....イルラさんは元気か?あの時は病気だったはずだが」
オスロブ・イルラ。ユグラスの母であり、俺にもよく接してくれた人。
最後に会った時は病気で、会うことができなかったが...俺がそれを聞いた瞬間、ユグラスは悔しそうな顔をしていたため、俺は悟ってしまった。
「悪かった...そんなつもりはなかったんだ」
「いや、リーヴァのせいじゃないさ。それにリーヴァよりはマシな状態だったよ。それより....」
ユグラスも俺の家族が殺されている事を知っているからこそ、この話題は避けたいだろう。だから、ユグラスはルビナ王女とシャーレさんの方を見ていた。
ルビナ王女とシャーレさんはそれに気づいて、自己紹介を始めた。
「初めまして、私はパラシアス・ルビナ。この国の第3王女です」
「私はイラメル・シャーレ。ルビナ様の従者をしております」
それを聞いた瞬間、ユグラスは俺の方に駆け寄り手を掴んだ。
「王女がなんでここに!?リーヴァ!早く逃げよう」
俺の手を引っ張ろうとするユグラスだが、俺は動かない。それを理解したユグラスは状況を理解出来ていないようだった。
「なんでだよ...リーヴァ!」
「俺は今、ルビナ王女の専属騎士になっているんだ。だからそこまで警戒するな」
「専属...騎士?」
俺の言葉を上手く呑み込めていないのか、放心状態のユグラスだが、ルビナ王女が説明してくれるみたいだ。
「はい、リーヴァには私の専属騎士になってもらいました。ユグラスさんがそこまで警戒する必要はありませんよ」
ルビナ王女は落ち着かせるような、優しい声だったが、それはユグラスの神経を逆撫でる結果になってしまった。
「そういう事か....リーヴァ...」
理解して貰ったと思った俺は一安心したのだが、次の瞬間予想外のことが起きる。
「リーヴァ!今助けてやる!」
そう言って短剣を持ってルビナ王女に突撃しようとしたのだ。
俺はそれを見た瞬間、剣を抜いてその短剣をはじき飛ばした。
「リーヴァ!思い出せよ!俺達の誓いを!」
どうやら、ユグラスは俺がルビナ王女に操られていると思っているらしい。
「その誓いは忘れていない。安心しろ」
「なら!どうして!操られているんだろう!そうじゃなきゃ王族なんかにつくわけがない!」
王族を懲らしめようと誓い合った事は忘れた事は1度もない。だが、この王女は別なんだ。
「俺は俺の意思でルビナ王女の専属騎士になった。俺は必ず、ルビナ王女をこの国の王にする」
俺の意思は伝わったが、それでもまだ、理解出来ていないユグラスはルビナ王女に敵対の目を向けている。
「いいのかリーヴァ!王族はお前の家族を殺した!仇なんだぞ!」
ユグラスの言葉は俺にも理解出来る。俺だって最初は....
「知っている。だが、ルビナ王女を王にすれば、そんな事は二度と起きない」
「どうして!」
「言っても分からないだろ。だからユグラス」
「なんだよ」
ユグラスは俺が近づいた事で少し後ずさりしたが、俺が手を差し出した事でそれを辞めた。
「一緒に来ないか?近くでルビナ王女を見ていたら、その理由が分かるはずだ」
「....何を言って」
「今、ルビナ王女には多くの人が必要なんだ。ルビナ王女がこの国の王になるためにな」
俺に何を言っても意味がないと理解したユグラスは、ルビナ王女に視線を向けた。
「あんたはどんな国を作るんだよ」
それを聞かれたルビナ王女の顔は迷いがなく、堂々としていた。
「私は民が税に困ることも、王族の暴挙に怯えることもない。平和に暮らせる国を作るわ。その国は初代パラシアス王の国をも超える程に!」
それを聞いたユグラスの反応は最初の俺と同じだったが、すぐに俺に真剣な眼差しを向けてきた。
「もし、そこの王女がその目標にズレることがあったら俺はすぐに、王女を殺す。それでもいいのか」
「殺させはしないが、問題は無い。ルビナ王女の近くにいれば、その感覚もすぐに変わる。俺のようにな」
それを聞いたユグラスは俺の手を力強く握った。
「ありがとうユグラス」
「王女のためじゃない、俺は俺自身とお前の為に王女につくんだ」
今はそれでいい。きっとすぐにその思考は終わることになるから。
そうして、俺は盟友との再会を果たし、再び仲間になる事になった。




