再生データ
新たに届いた郵便物から、フンワリと思い付いたストーリーです
『健康保険証』から、『健康保険資格確認書』へと切り替わり、過去に使用されていた『健康保険証』は、全国民から回収された。
回収されたのは各々家庭内で鋏により細かく切断された残骸だが、内臓されてあるデータを再生する為に、『情報データ再生マシン』を駆使して新たなデータを取り入れられるよう再度中身を白紙に戻す。
「『電脳情報再生マシン』の出来映えをテストします!
処分され、回収したこれまでの情報データをこのマシンで消去していきます」
データ再生プロジェクトチームのリーダー、技野未来は、メンバー達を前にして『電脳情報再生マシン』に切断された細かいデータをセットしスタートボタンを押した。
するとデータの残骸が浮き上がり、凄い速度で開店を始めた。
「リーダー、このマシン……何処かミキサーに似ていますね」
メンバーの一人が素直な感想を述べる。
形状、動き、確かにミキサーのようだ。
「お気付きですね。
外観はミキサーですが、内面の仕組みは真逆の白紙のデータに戻すという設定にしてあります」
技野未来は自信たっぷりに、新発明品について語ってみせた。
「それは素晴らしい!」
「データが白紙に再生されれば、個人情報が拡散される心配はありません!」
「今後の未来に期待だ」
マシンの回転が停止し、浮いていたデータの残骸が底に舞い落ていく。
『過去のデータ処理が完了しました』
「白紙になったデータを新たに作り替えていきましょう。
先ずは、切断された細部を繋ぎ合わせて……」
『新しく組み込まれたデータ情報を読み上げます』
「ん?
新しく……?」
技野未来が首をかしげ、メンバー達はザワザワし始める。
『生年月日〈西暦0000000000年8∞8月千億日裏転生〉、住所〈裏異世界お伽噺の惑星イオ☆北棟地下8888888888888888階銀河駅8番出口入り口後ろ前ベイカータウンアウトレット北埼玉魔法の田舎ナニワ伊賀の都会駅前スグソコロー☆ン裏口サムライの国〉、筆名〈怪盗青タヌキ春風マジョぴーりかプリンセス、黒雪軍曹伸堕肴野佐方〉、実年齢〈∞歳〉、身長〈∞光年〉、体重〈∞キロ〉、特技〈異変を見逃す事〉……』
プロジェクトチーム全員、表情を固めている。
「リーダー、これ……色んな人のデータが混ざってます」
「しかも、住所の二ヶ所に〈ピー〉が入ってましたよ?」
「後……云って良いんでしょうか?
殆どの部分に『8番☆口』を匂わせるワードが……」
「名前も筆名でしたし、童話、アニメの名前らしきワードが組み込まれています……」
テストの結果、割り出された答えは……。
「この事案そのものを、再生しましょう」
プロジェクトチームの成功は遠く、果てしない。
切断されたデータの再生、何年か先の未来では再生されるでしょうか?




