プロローグ
*この物語はフィクションです、実在の人物等に関係はございません。
夕日が照らし出す河川敷に佇む制服姿の学生が一人黄昏ている。
明日から高校生、入学式を翌日に控えどんな青春が待ち受けているのかと期待を膨らませながら次第に消えゆく太陽をただ眺めていた。
フラグの完備されたゲームと違い、総生徒数960名、教員数80名が自由に自駒を好き勝手に動かすゲーム、全キャラクターにシナリオがびっしり詰め込まれており、待ったもポーズなく常に盤面は変化し続ける。
そんな箱庭も時間がくれば解放され、さらに多くのプレイヤーと合流して個人のイベントに進んでいく。
一時期は特に興味のないマイナーゲームかと思いきや、全人類強制参加の覇権ゲーと来たものだ、遊ばないわけにはいかないのである。
特に興味を示したジャンルは『青春』明日からウハウハである。
右手に持ったノート『青春イベント集』には余白が存在しないくらい書き埋め尽くされており、これまでの準備をどれだけ活かせるか腕の見せ所である。
明日が待ち遠しすぎて我慢ができない、いや我慢する必要は無いのではないか?今から青春始めてもいいんじゃなかろうか。
スマホを取り出してある人にかける。
「もしもし?僕だよ、頼んでたもの今から受け取りに行ってもいいかな?」
了承を確認してから電話を切り歩き出す。
より良き計画を実行するには念入りな準備が必要なのだと自分に言い聞かせる。
目的物を回収してから帰路に着く。
余裕がある時ほど準備をするものだし先に買い物もしておいた方がいいだろう。明日の朝から大忙しなのだから。
一人で食事を取り早めに就寝する。親は成り行きで海外に暮らさせており、家の中は僕の趣味で埋め尽くされている。
直近で一番忙しい日になる予定だから気合いを入れなくちゃね。
青春………(涙)