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オプティシャン・エニグマ  作者: 塚口悠良
第4話:再会の再開
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4話 ep.6

 メジロにフレームを届けて十数分後。談笑していたトキとスズの間にそっとメガネを乗せたトレーが差し出される。

「え……?」

「あっ、ありがとうございます!」

 微笑んだメジロは軽く会釈をしてカウンターに戻っていく。トキは、出来上がったメガネをスズの前に持っていき、口を開く。

「このメガネで、ランちゃんに会えるはずだよ」

「……どうして?」

「うちは、不思議なメガネ屋さんなんだよ。だから、キミの願いも叶えてあげられる」

 スズにとってあまりに残酷な事実を伝えてしまわないように、トキはメガネの効果は伝えずに手渡そうとする。けれど、浮かない顔をしたスズは、それを受け取ろうとはしなかった。

「そのメガネ、どういう効果があるものなの?」

 大好きなフレームに新たにはめ込まれた灰色のレンズ。それが何かしらの効能を持っていることは明らかだった。スズはその効果を知りたいと、トキを静かに問いただした。

「……教えて、トキさん」

 どこか覚悟を決めたようなスズの声に、トキは一度深呼吸をする。深く息を吐き出し、しっかりとスズを見据えた。

「このレンズは、亡くなった人を見ることができるレンズです」

「……ごめんなさい、トキさん。嫌なこと言わせて」

 スズはゆっくりと頭を下げた。まるでランがもう生きていないことを知っていたかのような口ぶりにトキは驚き目を見開く。

「分かってたんです。ランは、幽霊だったんだろうなって。でも、認めるのが、怖かった。だから、人に言って欲しかった……。ごめんなさい」

 スズの懺悔にトキは眉を下げる。こんな事実をこんな年端もいかない子どもに突きつけなければいけないことがやるせない。

「スズちゃん、このメガネをかければ、きっとランちゃんと話が出来る。掛けるか掛けないかは、キミの好きにすればいいよ」

「……はい。ありがとうございます」

 視線を落としてじっと考え込んだスズは、ぱっと顔を上げて、メガネを手に取った。


 カウンターに戻ったトキは、楽しそうに話すスズの姿を見て、満足げに微笑む。トキの視界には、ランの姿は見えないけれど、確かにそこにいるんだということが分かる。

「あの子のメガネ代、俺が出しますよ」

「ああ、まあ……いいですよ。サンプルとして置いておけばお盆時期によく使えるかもしれませんし」

「あれ、珍しく優しいすね」

「健気な少年少女には優しくすべきでしょう。その程度の良識は持ち合わせてますよ」

 トキをじとりと睨みつけたメジロはすぐに表情を切り替えて笑みを浮かべる。

「それにしても、よく頑張りましたね。今日は満点です」

「たぶん、このメガネを外してれば、すぐに分かったことだった。でも、言えないことも、言わないことも、しっかり向き合えば知ることができるんだって、改めて思いました」

「そうですね。良い傾向だ。きちんと向き合って、知っていきなさい」

 メジロの言葉にしっかりと頷いたトキは、幸せそうに笑いながら涙を流す少女を見つめて、安堵の息をついたのだった。

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