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公式企画に参加してみた ⑤ 冬の童話祭2024 ゆめのなか

王さまと魔法のジープ

作者: モモル24号

 お子様用に漢字にはルビをつけています。


 (ばん)ごはんを()べたあと、ごちそうさまをしたユメちゃん。


 ちゃんと()をみがいて(ねむ)準備(じゅんび)出来(でき)ると、お(かあ)さんがご(ほん)()んでくれます。


 ユメちゃんはお(かあ)さんの()かせてくれるお(はな)しが大好(だいす)きなのです。


 きょうはお手伝(てつだ)いをいっぱい頑張(がんば)ったから、ユメちゃんがお()にいりの(おう)さまと魔法(まほう)(くに)のお(はな)しです。


 だから(いそ)いでおふとんに入って、()をつぶる必要(ひつよう)かありました。


 魔法(まほう)(くに)へは(ゆめ)世界(せかい)()かないと、お(はな)しを()くことが出来(でき)ないからです。



 ◯。 。◯ ◯。 。◯ ◯。 。◯



「へ〜ィ、ユメちゃん。大人(おとな)しくおふとんで(ねむ)って()たようだね」


 やって()たのは、とても元気(げんき)陽気(ようき)(おう)さま。


 ギザギザの(きん)ピカ王冠(ぼうし)に、まんまるのお(かお)から、真っ白(まっしろ)いおヒゲを()やしてる。


「こんばんわ、(おう)さま。きょうはどこへ()れて()ってくれるの?」


 ユメちゃんの()期待(きたい)()ちて、キラッキラです。


「きょうは十年(じゅうねん)一度(いちど)しか()られない、とっておきを()せてやろう。さぁ()りたまえ、ユメちゃん」


 (おう)さまは、()って()()(もの)のドアを()け、ユメちゃんをクッションと()もたれのあるイスに(すわ)らせてくれた。


(おう)さま、この()(もの)(なん)ていうの?」


「はっはは〜こいつは魔法(まほう)のジープさ。シープじゃないぞぉ、ジープだぞ」


 ニヤリッ────っとユメちゃんの反応(はんのう)()(おう)さま。()めゼリフがユメちゃんに(つた)わらずガックリします。


 でもそこは(おう)さま。何事(なにごと)もなかったようにジープに()りユメちゃんの(となり)(すわ)ります。


「いよぉ〜っし、出発(しゅっぱつ)するぞぉ──────!」



 テンション──アゲッ♪ア〜ゲッ♪やっほほ〜────♪


 (おう)さまが機嫌(きげん)よく、(おお)きな(こえ)(うた)いだします。


 ヤッホホ〜──ヤッホホ〜〜♪


 ユメちゃんも(たの)しくなっていっしょに(うた)います。



「そぉれ、こっから星屑(ほしくず)(とお)りをゆくぞ。ユメちゃん、()れるから、しっかりつかまってな」


 (なが)(ほし)(くだ)けて出来(でき)たデコボコ(みち)もジープなら(ころ)ばずに(はし)ってゆけます。


 お(かあ)さんが()(ころ)は、お(うま)さんの馬車(ばしゃ)で、大変(たいへん)だったみたい。


 ────()れるジープの(なか)でユメちゃんはウトウトしかける。


「ユメちゃん、もう(すこ)しだからガンバレ!」


 魔法(まほう)(くに)(ゆめ)世界(せかい)にあるので、(ねむ)ってしまうと(もと)世界(せかい)へと(もど)ってしまいます。


「……ユメ、ガンバる!!」


「そうだ、その意気(いき)だ!」


 ユメちゃんはお(かあ)さんと約束(やくそく)していたのです。


 ◇


 ────(ゆめ)世界(せかい)魔法(まほう)(くに)では、(あたら)しい(とし)(むか)えた()(よる)にしか()ることの出来(でき)ない景色(けしき)があるそうよ。


 お(かあ)さんはまだ()たことがないから、ユメちゃんが()ることが出来(でき)たら(おし)えてね────。


 ◇


「よぉ〜しユメちゃん、よくガンバった。あとはあの大巨人岩(だいきょじんいわ)(のぼ)るだけだ」


 (おう)さまの(ゆび)()方向(ほうこう)には、いまにも(うご)()しそうな(やま)のように(おお)きな(いわ)がありました。


「こわくても()をつぶっちゃダメだぞ、ユメちゃん」


 そうユメちゃんに注意(ちゅうい)をすると、(おう)さまはジープのスピードを目一杯(めいっぱい)にあげます。


 ()(まえ)(おお)きな(いわ)がせまり、ユメちゃんはぶつかるッ! と(おも)いました。


「ふぅ〜〜んぬゥ!!」


 (おう)さまが気合(きあ)いの雄叫(おたけ)びをあげると、ジープは大巨人岩(だいきょじんいわ)をスルスルと(のぼ)っていき、あっという()(あたま)のてっぺんまで到着(とうちゃく)しました。



「ほらユメちゃん、お(そら)()てごらん」


 (おう)さまに(おしえ)られるままに、ユメちゃんはジープからおりて(うえ)()きました。


 ユメちゃんのいた世界(せかい)(よる)でしたが、魔法(まほう)(くに)青空(あおぞら)(ひろ)がっています。



 ────あれっ!?


 ユメちゃんは(おど)ろきました。お(そら)(あか)るいのにお日様(ひさま)()けて()えないのです。


 そして(おお)きな(くも)(りゅう)のように、お(そら)(はし)っこから(およ)いできて、お(そら)(ふた)つに()ったのです。


「……お(そら)(うみ)がある!!」


 (りゅう)(とお)った(みち)には、お(そら)より色濃(いろこ)(うみ)(みち)(ひろ)がっていきました。


 まるで(かがみ)のように、大空(おおぞら)には(うみ)島々(しまじま)()かびあがったのです。


「どうだいユメちゃん。あれはこの世界(せかい)(おな)世界(せかい)なんだぞ」


 お日様(ひさま)中心(ちゅうしん)(りゅう)(おお)きな()をつくるように、ひとつに(つな)がっている世界(せかい)


 ユメちゃんは言葉(ことば)(わす)れ、お(そら)()かぶ世界(せかい)(なが)(つづ)ける。



 ────お日様(ひさま)(かがや)きを()(もど)(まぶ)しい(ひかり)(はな)ちます。


 (おう)さまはユメちゃんの()()でふさぎました。



「さぁ、きょうはここまでのようだ。(もど)ったらお(かあ)さんにいっぱい(はな)してあげたまえ」


 ……残念(ざんねん)ながら時間切(じかんぎ)れのようです。


 もっと(なが)めていたかったユメちゃんは()()けようとしますが────



◯。 。◯ ◯。 。◯ ◯。 。◯



 ()をさますとユメちゃんは自分(じぶん)のおふとんでした。


 お(かあ)さんはとっくに()きていて、(あさ)ごはんの仕度(したく)をしていました。


 (いそ)がしいお(かあ)さんの邪魔(じゃま)をしたくはありません。


 ユメちゃんは(おう)さまと()ったことや魔法(まほう)のジープに()ってお(うた)(うた)ったことを(わす)れないようにお絵描き帳(えかきちょう)にかきました。


 あとでお(かあ)さんにいっぱいお(はな)しを()かせてあげるために……。



 ──── おしまい ────

 お読みいただきありがとうございます。冬の童話祭2024 六作品目となります。


 なんとなく初夢と辰年を絡めた、ノリの良い明るい童話が書きたくなりました。


 お楽しみいただけると嬉しいです。



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― 新着の感想 ―
[一言] 初夢ですね! 壮大な景色って憧れます。
2024/01/05 18:45 退会済み
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