アラフォー伯爵令嬢、若返りの秘薬(時間制限あり)を開発してお茶会に潜入したら、堅物の王弟に求婚されました!
最後までお付き合い頂けたら幸いです。
「やっと完成したわ……」
薄暗い実験室に私の声だけが響く。ビーカーから立ち昇る煙が晴れると、琥珀色の液体が怪しく光っていた。
「これで、若返ることが出来る……」
研究を始めたのは私が35歳の誕生日を迎えた翌日だから、3年以上かかったことになる。
「長かった……」
手鏡を出して自分の顔をうつす。
酷いクマだ。死んだ目をした女が不満気にこちらを見つめていた。
あぁ。私は納得していないのだと、改めて感じた。こんな人生を送る筈ではなかったと、顔の小皺が訴える。
私には魔法の才能があった。将来性を買われ、十歳の頃から王立魔法研究所に席を置いている。
それからずっと、新しい魔法や魔法薬の開発に明け暮れていた。気が付いたらもう、四十歳も間近。
結婚はおろか、恋愛すらまともにしたことがない。
その内、幸せになれるだろうと漠然と考え、自分磨きを怠ってきた結果、こんな寂しい人生になってしまったのだ。
「少しだけ……」
私はビーカーを手に取り、唇に当てる。そして一口飲んだ。
身体の中心が熱くなり、それは全身へと広がっていく。若返っているのだ。
熱が落ち着いた頃にもう一度手鏡で顔を見ると、目元の小皺がなくなっていた。肌のつやも少し良い。自分の記憶を振り返り、三年前の自分に戻っていると結論付けた。
「もう少し……」
更に一口、若返りの秘薬を飲む。また全身が熱くなり、鏡を見ると明るい肌をした自分がいた。顔だけじゃない。鏡を持つ手を見ると、シミがなくなっている。
「凄いわ……」
私はその後、検証だと自分に言い聞かせて、何度も若返りの秘薬を口にした。どんどん巻き戻っていく自分の身体に狂喜し、ずっと鏡を見つめているのだった。
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若返りの秘薬の開発に成功して十日が経った。毎日自分の身体で試した結果、薬の効果がほぼほぼ明確になった。
まず第一に、若返りの秘薬は一口飲むと約三歳、身体の年齢を巻き戻すことが出来る。ただし、その効果は永遠ではない。大体半日で元に戻ってしまう。そして魔力欠乏症のような強烈な倦怠感に襲われる。
これは多分、若返った状態を維持するのに、私自身の魔力が使われているからだろう。魔力を使い果たしたタイミングで効果が切れ、魔力欠乏症になるのだ。
しかし、副反応はその程度。
魔力が回復するまでの間、身体が辛くなるだけ。それで、若い頃の姿が取り戻せるのだ。
「ミオーネお嬢様……。とんでもない薬を開発されましたねぇ」
王都にある伯爵家の屋敷の自室。
幼い頃から私の世話をしている侍女エマの前で、私は若返りの秘薬を飲んでみせた。
エマはずっと「信じられない」という顔をして私を見ている。
「ねぇ。今の私、何歳ぐらいに見えるかしら?」
「十六、七歳ぐらいでしょうか?」
うん。エマがそう言うのなら間違いない。私は二十歳以上若返っているようだ。
「エマ、私にお化粧を教えて」
「お嬢様が、化粧を……」
「そう。今まで魔法の研究ばかりして、お化粧もお洒落もしてこなかったから。ちょっとやってみようと思ってね」
エマは瞳に涙を溜めた。
「お任せください! 私奴が必ずミオーネ様を王都一の美女に致します!!」
「ふふふ。お願いね」
エマは腕捲りをして気合いを入れ、私を鏡台の前に座らせた。そして、何処からか山のような化粧品を持ってきて「ミオーネ様の肌には……唇には……」と楽しそうに悩み始めるのだった。
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「ミオーネ様! しっかり楽しんで来てください!」
伯爵家の馬車の中からエマが手を振っている。
「そうね。ちょっと気恥ずかしいけど、頑張ってみるわ」
ブンブンと手を振るエマを残し、私は王城の中庭に向かった。今日は王家主催のお茶会があるのだ。
着慣れないドレスと高いヒールに梃子摺りながら歩いていると、後からきた若い貴族の子息、息女達がキラキラと瞳を輝かせながら私を追い抜いていく。
まだ開場前だというのに、とても楽しそうだ。
こんなところに四十歳を間近にした私が来てもいいのだろうかと少し弱気になるが、今の私は十七歳。
お化粧もしっかりして、流行の最先端のドレスを着ている。きっと大丈夫。私だって、貴族らしい楽しみを味わっていい筈。
そう言い聞かせながら、会場についた。
受付に招待状を渡すと「フランネル伯爵家、ミオーネ様……?」と首を捻っている。
「このような場に参加するのは初めてなの。どのように振る舞ったらいいか分からなくて、ちょっと困っているわ」
「失礼致しました! ご案内致します!」
受付にいた侍女は何故が顔を紅くしながら、私を席に案内した。
薔薇に囲まれた中庭の隅っこのテーブル。そこに座るのは私だけだった。
今まで招待状を受け取っても行ったことがなかったからだろう。今日も当然、来ないものだと思われていたに違いない。
給仕の若い男が慌ててティーセットを運んで来た。
なんだか悪いことをした気分。紅茶を飲んで気分を落ち着かせよう。
注がれた紅茶を飲みながら周囲を見渡すと、若い貴族の子息達が皆、こちらを見て何かを話している。
えっ、何……? もしかして、私の化粧が変なのかしら? それともドレス……? エマと一緒に精一杯頑張ったのに……。
そんなことを考えていると、急に会場が騒がしくなった。若い令嬢達が黄色い声を上げている。
あぁ。第一王子と第二王子がやってきたのだ。王家との繋がりを強くしたい貴族令嬢が群がっている。
なんだか微笑ましい光景。普段私がいる実験室とは空気が違いすぎて現実味がない。
こんな世界があるなんて知らなかった。目に付くものが全て輝いている。あとは、素敵な男性が見つかれば──
「座ってもいいか?」
ぶっきらぼうな声。その主は私の返事を待つことなくテーブルについた。国王に似た顔の偉丈夫は王子達の方を睨みつけながら、「落ち着かないな」と頭を掻いている。
えぇっとこの方は……王弟ケイロス様……!? 王国騎士団の団長であり、公爵位も授かってもいる。武芸一本の堅物で知られ、もうすぐ四十歳になるというのに、一度も結婚したことがない。
「どうした? そんな驚いた顔をして。こんなおっさんが茶会にいるのが意外なのか?」
「そ、そんなことはありません……!」
ケイロス様は給仕が注いだ紅茶をヒョイと持ち上げ、一口飲んで「優雅なもんだ」と呟いた。そういえばつい最近、王国騎士団は遠征から帰って来たところだ。領内に現れた魔人を討伐したと聞いている。
「お嬢さんは、あれに混ざらなくていいのか?」
視線の先には王子達を囲む貴族令嬢達の人垣。
「私のようなものが行ったところで……」
「ふーん。そうなのか……? 俺が見たところ、この会場で一番美しいのはお嬢さんだがね」
えっ……! 急に何……!? 美しいって、私のこと……!?
「お戯れを……」
「嘘じゃないぞ。周りをよく見てみろ。貴族の小僧達がチラチラこちらを見ているだろ? あれは隙を窺っているんだ。俺がいなくなればすぐに誰かがやって来る筈だ」
そうなの……? 私ってもしかして、綺麗だったの……!?
「……よく分かりません……」
「はははっ! そんなに照れなくてもいいだろう? 初めて茶会に来たわけじゃあるまいし」
「……初めてです」
ケイロス様は瞳を見開き、「驚いた」と言う。
「名前を聞いてもいいか?」
「フランネル伯爵家のミオーネです」
「フランネル家には魔法の得意な娘がいると聞いたことがある。確か、魔法研究所に席を置いている筈だ。お嬢さんはその妹ということか」
いえ、本人です。
「ケイロス様、最近魔人の討伐に成功されたと聞きました」
とりあえず話を逸らす。
「あぁ。厄介な魔人だったよ。流石の俺も危うく死にかけたぞ。魔法研究所からもらったエリクサーがなければ今ここにはいなかっただろう。あれはとんでもない薬だ」
「あの薬は回復させるのではなく、身体の時間を巻き戻す効果があるのです。巻き戻せるのは短い時間ですが、その効果はずっと続きます」
エリクサーと名付けた薬は、若返りの秘薬を作る過程で出来たものだ。
「ほう。詳しいな。姉上から聞いたのか?」
「はい……」
「近年の魔法研究所の成果は素晴らしい。付与魔法で強化された武具は今や騎士団には欠かせないものとなっている。君の姉上達の頑張りのおかげだ」
ケイロス様に褒められ、顔がさらに紅くなるのを感じた。
「その言葉、伝えておきます。姉も喜ぶことでしょう」
姉なんていません! 本人が喜んでいます!
「ところで、ケイロス様は何故お茶会へ? あまり乗り気ではなさそうですけど……」
気になって聞いてしまった。
「俺か……? 兄、国王に、"もういい加減結婚しろ"と言われてな。まぁ、気分転換になるかと思って参加した次第だよ」
「いつも戦いばかりでしょうから、息抜きも必要でしょう」
「まぁな」
ケイロス様は片方の眉をぴくりとさせて、また紅茶を飲んだ。
すぐそこでは貴族子息、息女達がわいわいと騒いでいるのに、このテーブルだけは落ち着いた雰囲気だ。
私達はお茶会が終わるまでずっとそこにいて、取り留めのない会話を続けた。
ケイロス様は別れ際に「また会おう」と社交辞令を言い、私は「お待ちしています」と無難にやり過ごした。
初めてのお茶会は、成功とも失敗とも言えないまま、終わってしまった。
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「ミオーネ様! 大変です!」
まだ眠たい休日の朝。侍女のエマが激しいノックの後に部屋に踊り込んできた。
「騒々しいわね。どうしたの?」
「お茶会で会われたケイロス様が訪ねて参りました!」
「えっ、いきなり……!? どうしよう……」
社交辞令じゃなかったの? まさか本当に会いに来るなんて……。
「とりあえず応接室でお待ち頂いております! 早く若返りの秘薬を飲んでください!! 着替えにお化粧、急ぎますよ!」
エマに促され、鏡台の引き出しから秘薬の入った瓶を取り出して飲み干す。約二十歳若返る量に調整してある。お茶会でケイロス様に会った時と、同じ容姿になる筈だ。
「エマ、どんな服を着ればよいかしら? やはりドレス?」
「いえ、ケイロス様は軽装でしたので、それに合わせた服を用意します!」
なるほどね。いつでも豪華に着飾れば良いってものではないのか……。勉強になる。
「お化粧も?」
「そうですね。お茶会の時より軽めにします。ミオーネ様本来の美しさを引き立たせる方向性でいきます!」
エマは鏡台の上にバッとメイクボックスを広げ、鋭い目つきになる。そして凄まじい速さで手を動かし始めた。
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「お待たせしました」
扉を開けて現れたのは、以前会った時よりも親しみ易い雰囲気のミオーネだった。茶会の時の近寄り難い美貌ではなく、どこか温かで柔らかい。
「……いや。突然訪ねて済まなかったな。急に休みが取れたから、そのまま来てしまった。迷惑ではなかったか?」
ソファーから立ち上がりミオーネと向き合う。美しい刺繍の施されたチュニックがとても良く似合っている。
「まさか……! 本当に来てくださって嬉しいです」
ミオーネは頬を赤らめた。やはり美しい。
誰にも渡したくない。そんな感情がわいてくる。まさか四十歳を前にして二十歳にも届かぬ娘に恋をするとは。茶会を勧めてくれた国王に感謝せねばなるまい。
「……どうなさいました?」
ミオーネが上目遣いで首を傾げた。
「いや、見惚れていただけだ」
自分で言って恥ずかしくなるが、これも国王の教えだ。「女性には素直に自分の気持ちを伝えるべし」と茶会の前に教えられたのだ。
「もう……! 揶揄わないで下さい」
揶揄ってはいないのだが……。さて、そろそろ要件を切り出そう。
「ところでミオーネ。君は華の泉を知っているか?」
「華の泉……ですか?」
「あぁ。そうだ。王都の西の森にある泉だ。今の季節、色とりどりの花に囲まれてとても美しいそうだ。今日はそこへ行ってみないか?」
ミオーネが一瞬考え込む。うっ……駄目だったか?
「はい、是非行ってみたいです! 案内して下さりますか?」
「表に馬車を停めてある。早速行こう」
なるべく自然に。
俺はミオーネの手を取り、歩き始めた。
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街道を西へ真っ直ぐ行くと、西の森だ。街道は森を二分するように、まだまだ伸びている。
「馬車で行けるのはここまでだ。少し歩くことになるが、大丈夫か?」
ちょうど陽の光が真上から差す頃、馬車は止まった。そしてケイロス様が私を気遣うように優しく視線を向ける。
「大丈夫です。楽しみですね!」
客室から降りると、ケイロス様は両手に荷物がいっぱいだ。腰には一応、短剣もぶら下がっている。大変そう。
「あの、ケイロス様。何か持ちましょうか?」
「いや、大丈夫だ」
御者は馬車で待っているようだ。つまり、華の泉ではケイロス様と二人きり。なんだか恥ずかしい。
「ミオーネ。行こうか?」
「あっ、はい!」
危ない危ない。置いて行かれるところだった。
華の泉はどうやら人気の場所らしい。足に踏み固められ、人一人通れるぐらいの道が出来ている。もしかしたら先客がいるかもしれない。
そんなことを考えていると、辺りに甘い香りが漂い始める。青、赤、黄。様々な色の花が咲き、陽の光に照らされている。
「……綺麗」
まさに華の泉だった。森にぽっかりと開けた空間が花々に彩られ、この世のものとは思えない光景を織り出している。
「ミオーネ。準備が出来たぞ」
ケイロス様が敷物をしき、ランチボックスを広げる。王弟殿下にこんなことをやらせてしまっていいのかしら? とも思うけれど、なんとなく甘えてしまう。
ワインの注がれたグラスを二人で持ち、控えめに「乾杯」。
「ケイロス様、何に乾杯なのでしょう?」
「うーん……。ミオーネとの初デートを記念して……」
ケイロス様は耳を赤くする。まだ酔っ払ったわけではないでしょうに。つられて多分、私の頬も赤くなった気がする。
「おっ、そうだ! うちの料理長が焼いたパンを食べてくれ。最高の素材で作ったものだ」
照れ隠しに私にパンを勧めてきた。受け取って頬張ると、香ばしいバターの香りが広がる。
「……美味しいです」
「そうだろ? ワインとよく合うんだ」
パンとワインだけの一見質素なランチ。でもきっと、ワインは最高級のもので、パンだって王都で一番だろう。
「なんか、贅沢ですね」
「あぁ」
ケイロス様は泉の方を向いている。彫刻のように凛々しい横顔が、私の胸をときめかせる。駄目だ。ドキドキしてしまう。
「……ちょっと、泉を見てきますね!」
自分を落ち着かせる為に、立ち上がり、泉の辺りまで歩く。透明な水が陽の光を反射して煌めいている。
ふぅ。この後どうしたらいいのかしら……? もしかして、抱きしめられたりするの……? いえ、それ以上のことも……。
今まで物語でしか読んだことのない展開が自分にもやってくると思うと、緊張してしまう。
「ミオーネ」
背後から私の名前を呼ぶ声。
あぁ、ここで振り向くと抱き寄せられるのね……。すぐそこにケイロス様の気配を感じる。心臓の音がうるさい。
「ミオーネ。何か変だ」
「えっ、変って何が──」
バシャァァッッッー!! っと突然水飛沫が上がる。
「ケケケケッ! 邪魔スルゼ!!」
泉の中から現れた存在は中空に浮いている。灰色の肌をして額に角が生え、そして、片腕がない。
「魔人……!?」
「貴様ッ! 生きていたのか!!」
ケイロス様が短剣を抜き、私を庇うように前に出る。
「俺達ハ人間ト違ッテ、丈夫ニ出来テイルンダ、ヨッ!」
魔人が腕を振ると、風の刃が現れて私達を襲う。
「オラオラ、ドウシタ? ソノ女ガソンナニ大事ナノカ?」
ケイロス様は短剣で風の刃を斬り落とす。でも、防戦一方。私を庇っているからだ。
「グハハハッ! 王国最強ノ男、惚レタ女ヲ守ッテ死スッテカ!?」
ブチリっと私の中で音がした。なんなの、この魔人! せっかくいいところだったのに、台無しにして!
右手に魔力を溜め、頭の中で魔法の詠唱を始めた。
よし……。いけるっ!
「邪魔しないでよ! 【魔を貫け! 雷の槍!!】」
──バリバリバリ!! と空気を切り裂く音。私の右手から放たれた雷が魔人を貫く。
「バ、馬鹿ナ……」
大きく目を見開いたまま、魔人は泉に沈んだ。
「ミオーネ。君は……」
振り返り、驚いた顔のケイロス様。
あっ、まずいわ。急に身体が重くなった。これは、魔力欠乏症の症状……。視界が暗く……。
ケイロス様は何度も私の名前を呼んでいたが、私はそれに応えることは出来なかった。
#
右手が温かい。
なんだろう? この感覚は。ゴツゴツとしているけれど、とても優しいものを感じる。
少し手に力を込めると、すぐそこで声が上がった。
「ミオーネ!」
うん。男性の声だ。
ゆっくり瞼を開けると、泣きそうな表情のケイロス様が横から私の顔を覗き込んでいる。
「……ケイロス様?」
「やっと目を覚ましたか! 心配したぞ!」
ふらふらと起き上がったところを、強く抱きしめられた。
えっ、何この展開? 私は天国にでもいるの?
ポカンとしていると、気まずそうな顔をしたエマと目があった。あぁ、ここは私の部屋か。
うっかり強力な魔法を使ってしまったから、魔力欠乏症になって倒れたのだろう。そして、屋敷に運ばれたと。
うん……!? 魔力欠乏症になった……!? つまり、若返りの秘薬の効果が切れている……!? どうしよう。嫌われてしまう。
ケイロス様の身体が離れた。
目を合わすのが怖くて、下を向いてしまう。
「ミオーネ。話はエマから聞いた」
あぁ。終わった。私の恋は終わった。
「失望なさったでしょ?」
「失望なんてするものか! 実は後ろめたかったんだ。俺はもう四十が近い。それなのに十代の娘に恋をしてしまった。でも、自分を止められなかった」
顔を上げると、ケイロス様は私を真っ直ぐ見ていた。
「ミオーネ。君の美しさは幾つになっても変わらない」
「ケイロス様……」
「ずっと俺の側にいてくれないか?」
「私でよければ、喜んで」
グッと抱き寄せられる。
そしてまた、エマと目があった。彼女は泣いているようだ。
ありがとうエマ。私、幸せになれそうだわ。
瞼を閉じ、私はケイロス様の身体を抱きしめ返すのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございます!!
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