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オネエな想い人を振り向かせるため、好みのタイプを研究します!

作者: 下菊みこと

私ことマガリーは、とある人に想いを寄せています。その想い人を振り向かせるため、今日も好みのタイプを研究します!


ということで、情事の現場を覗き見てます。プライバシー?公共の場でやる奴が悪い。


「学園のガゼボでなんて、いけない子だな…」


「マチアス様…好き…」


うわぁ…相変わらずだなぁ…と思いつつも見ていたら後ろから目を塞がれた。


「もう、ダメよ?マガリー。貴女にはまだ早いわ」


「ナルシス様!」


「ちょっといってくるわ」


ナルシス様はマチアス様の元へ走り、女の子を愛していたマチアス様の頭を思い切りぶん殴った。女の子は速攻で逃げた。


「何しやがるクソ野郎!」


「貴方が女遊びするから悪いんじゃない!顔は良いんだから少しは真面目に恋しなさいよ!」


「やだよかったるい!」


ナルシス様の想いも知らず、マチアス様はブチ切れている。そして私はそんなナルシス様が好き。


ナルシス様は私の婚約者。両親から期待されず、兄達からはいじめられていた一人ぼっちの私をいつも守ってくれている。


それなのに。


「マチアス。私はマチアスが好きだから心配しているのよ?」


「余計なお世話だクソ野郎。それよりナルシス、腹減ったから学食いこうぜ。お前の奢りで」


「またー?」


学園で出会ってしまったマチアス様に、ナルシス様の心を取られてしまったのだ。これは婚約者として見逃せない。


ということで、マチアス様を研究してナルシス様を振り向かせるのだ!














おかしい。ナルシス様はマチアス様のどこが良いんだろう。良いところが見つからない。


「…あんな女たらし、どこが良いのかよくわからないよ」


「まったくもって同感よ。私じゃダメなのかしら」


ため息を漏らす私と、同じくため息を漏らすナルシス様。ナルシス様にこんな顔させるなんて、マチアス様のばかー!


「…その…どんなタイプが好きなんでしょうか?」


私はとうとう研究を諦めて、ナルシス様に直接タイプを聞いた。


「明るくて可愛い人ね。ダンスが上手で刺繍が上手くて、そして派手派手なメイクも必要よ」


「なるほど…私頑張ります!とりあえず、今日は先に帰りますね!」


私はナルシス様の好みを知れて、ご機嫌で帰宅する。だから気付かなかった。ナルシス様の呟きに。


「…マガリーはマチアスのわがままな好みを聞いても諦めないのね。でも、マチアスなんかに貴女は渡さないんだから」














私は派手派手なメイクを習得するため、学園の芸能科所属の生徒に頼み鍛えてもらうことにした。が、どこからかナルシス様がその話を聞きつけてなかったことになってしまった。


「ナルシス様酷い!メイク覚えたかったのに!」


「いいのよ!貴女はそのままで!」


「でも派手派手なメイクが!!!」


ナルシス様はため息を漏らすと、私に言った。


「それなら、おしゃれしてより魅力的になりましょうね?派手なメイクはダメよ。貴女がギャルになるなんて許さないわ」


「えー」


ということで、ナルシス様のお家に強制連行されて様々なドレスの着せ替え人形にされた。


「ほらね?どれも貴女に似合うと思ったの!買ってよかったわー」


「え、これもしかして私のなのですか?」


「そうよ、貴女がお嫁さんに来たら毎日着させてあげる!」


私はその言葉にじーんときて、思わず胸を押さえて下を向く。すると、ナルシス様は変なことを言う。


「…そんなに私のお嫁さんは嫌?そんなにマチアスがいいの?」


「え?」


「ダメよ、絶対渡さない!マガリーは私の婚約者よ!」


ナルシス様が嫉妬してくれていることに感動しつつも、何かすれ違いがあるようなので誤解を解く。


「あの、嬉しいです」


「え」


「ナルシス様がドレスを買ってくれて、ナルシス様が私が嫁ぐのを楽しみにしてくれてるみたいですごく嬉しくて…今のも、嫉妬してくれたんですよね?すごく嬉しいです」


「え、でも、貴女…マチアスが好きなんでしょ?」


「え、私が好きなのはナルシス様です!幼い頃からずっと好きでした!」


ナルシス様は一拍おいて、私を強く抱き寄せた。


「じゃあ、私が勘違いしていたの?マチアスのことは好きじゃない?私が好き?マチアスのことばかり追いかけていたのは何故?」


「はい!ナルシス様がマチアス様を好きだから、好みのタイプになろうと研究していただけです!」


「そうだったの…私、マガリーだけを愛しているわ。マチアスは同性のお友達として好きなだけなの。それこそ勘違いよ」


「えー!?」


「私が好きなのは、貴女」


ナルシス様が私の身体を放すと、頬にキスをしてくれた。


「…愛してるわ、マガリー」


「大好きです、ナルシス様!」












「お前らようやくくっついたんだ」


翌日、学園でマチアス様にそう声をかけられた。


「え、わかります?」


「だってお前、朝からナルシスにベタベタに甘えてんじゃん。みんな言わないだけでわかるよ」


「えー、困っちゃーう」


「うざっ」


「えへへ」


マチアス様に頭をチョップされて笑う。


「ちょっとマチアス。私のマガリーに触らないで」


そこにナルシス様が来た。ナルシス様は心が通じ合ってから、ちょっとヤキモチ妬きになった。


「束縛し過ぎると逃げられるぞー」


「うるさいわね!相思相愛だから大丈夫よ!」


ナルシス様の何気ない一言が嬉しい。相思相愛とか、照れちゃう。


「ナルシス様」


「なあに?マガリー」


「愛してます!」


「私もよ!」


「お熱いことで」


これからもずっと、ナルシス様とこうしていられたら嬉しいな。ついでに、マチアス様とも仲良くしてあげなくもない。

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