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031 体育祭がやってくる。

こんにちは。ボンバイエです。

もう卒業の季節がやってきました。

卒業式のイメージは『別れ』では無いかと思います。

小学校の卒業は中学校が一緒だったりする事が多くあまり寂しさは感じませんが、中学校の卒業は高校は選択する所なので、グッと寂しさが増します。

更に、高校の卒業は大学や専門などの進学組以外に就職組が出てきてより寂しさが増します。

大学はそれ以上に選択数が多くなるのでより増す寂しさがあります。

もし在学中の人が見ているならば、後悔の無い卒業を迎えれる様に出来る事はしておくに限りますよ。

【後悔先に立たず】ですよ~。


・・・大きなお世話かもしれませんね。( ̄▽ ̄)

少し暖かい空気が流れてくる。


日差しは強くなっており、部屋の中より外の方が温かいくらいだ。


もう冬の様子は伺う事が出来ない程にぬくぬくとした様子があちらこちらで感じられる。




そしてもう一つ。


新生活も一か月を過ぎ、慣れが出始める時期でもあり気分が緩む時期でもある。


つまり五月病が発症しだす時期である。




だが前世を持つこの男には関係がなかった様だ。


彼を取り巻く環境にクラスの皆が慣れてきたという意味では関係あるのかもしれない。




「ジャック君。先輩が来られたよう。」




「おう。」




明るい返事でシャナ先輩の呼び出しに明るく答えれるようには成っていたのである。




「お疲れ~。今日はどうだった?」




「お疲れ様です。今日もいつも通り普通ですよ。」




いつもの会話。


特に変化のない会話で僕とシャナ先輩の会話はスタートする。




「またまた。また何かやらかしたんでしょ?」




「なことは・・・しました。」




『ふふん。』と腕を組、細い狐目を更に細くして僕を見るシャナ先輩にたまらず白状する。


ここの所、毎日何かしらやってしまっている。


自重しないと決めた訳ではないのだが、どうも平均よりズレた考え方や行動をとってしまっているらしいのだ。


これは、異世界あるあるだよね?


えっ?


そんなことは無い?




「でしょうね。今日も学園内は君の話で持ち切りだよ?」




「えっ?マジですか?」




「嘘。」




だぁ~っと力が抜ける。


学園中でそんな風に話題に上がる人物になってしまっては目立たないという目論見は完全に潰える。


まぁ、もう無理だと思うけれど。




「まぁ、でも学園中ではないにしても、注目している人はちらほらいるみたいよ?ほら?」




「それってシャナ先輩の所為じゃないですか?」




男ども視線が痛い。


シャナ先輩が必ず部活があるときは迎えに来てくれるのだが、シャナ先輩は注目されるほど美人さんなのだ。


そのシャナ先輩が表立って一年坊主を構っているとなれば、こうなるというのは自然だろう。




「なんで?」と分かってないですけど?


みたいな仕草を見せるシャナ先輩。


あざといです。


これ分かってて楽しんでます。


確信犯です。




だから偶に僕が絡まれると、スッと姿を消す。


建物の陰から見て楽しんでいるのだ。


そして終わると何事もなかったかのように僕の隣に戻ってきて話しかけるのだ。


「大丈夫?」と。


女狐とはよく言ったものだが、ここに本物がおられる。




「どうした!」と声が響き渡り複数人の人の足音が聞こえてくる。




・・・なんかこうスマートに物事を勧めたいのだが、どうもそうはいかない。


コメディチックになってしまう。


やはり僕には二枚目は似合わないという事だろなとか考える。




足音が僕等の前で止まる。




「またお前か。」




「いつもの通りに手は出してませんよ。絡まれただけです。」




キリヴェル風紀委員は鋭い視線をシャナ先輩に向ける。


シャナ先輩はしれっとしておりどこ吹く風だ。


実際、シャナ先輩が何か直接的にしている訳では無いから問い詰めにくいのだろう。


間接的な理由ではあっても間接的な行動をしているわけでもない。


ただ、単純に僕にくっついて動いているだけだ。




「キリヴェル様。お勤めご苦労様です。」




そういってシャナ先輩はカーテンシーを決め挨拶するだけなのだ。




「ふん。全く、男という生き物は目が悪いようだ。」




キリヴェル風紀委員は苦々しい顔でシャナ先輩を見る。




「ふふふ。本当にそうですわね。」




よそいきの顔と言葉でキリヴェル風紀委員に返すシャナ先輩。


バチバチという音がしそうな感じが恐ろしい。




「では、ごきげんよう。」と僕の腕を引っ張りながら歩き始める。


僕は一度キリヴェル風紀委員に頭を下げた後、引きずられない様にシャナ先輩の速度に合わせて歩き出す。


最近こんな感じが続いている。




「おい。ジャック。」




「はい。」




「お前それで良いのか?」




キリヴェル風紀委員に投げかけられた言葉。


そこだけがいつもと違った。




「・・・。」




キリヴェル風紀委員の口角がニヤリと上がる。


知っているぞ?と言いたそうな顔だ。


そのまま後ろを振り返り「連れていけ!」と指示していた。




僕等はその場を後にして茶道部へと向かって行った。








◇◇◇◆◇◇◇








ドンという音が響く。


目の前には学園での唯一の友達であるジョージア君がちょっと怒った顔で机に手を置いて立っていた。




「で、決まったかい?」




「何が?」




「出場種目だよ。」




「何の?」




「体育祭の。」




「・・・まだです。すいません。」




ジョージア君は呆れた顔で僕を見つめる。


出場種目は各自で選ぶ権利が与えられている。


しかし、出場枠はクラス毎に決まっており枠より多くなった場合は話し合いでの解決が必要になる。


その為に希望用紙が配られており早めの提出を促されていた。


希望用紙の提出期限は本日。


昨日、ジョージア君に『朝には提出しろよ?』と言われていたのだ。




体育祭の種目は基本的に地球とは趣が違うモノが含まれている。


日本では『競う事が悪』みたいな風潮や『怪我させたら大事』という考え方が強くなっていて騎馬戦など激しいモノは廃止の道を辿っているが、この世界ではどちらかと言うと激しいモノ競争するモノが多い。


騎馬戦もそうだが、勝ち負けに拘る事を是としているようだ。


自然界が近く、人の存在は強くあらねば生き残っていけないという現象が存在するからであろうか。




僕が何故迷って出せないでいるのか?


出たい種目は複数人で共同しておこなう競技なのだ。


お分かりだろう。


そう僕には友達は一人しかいないのだ。


そんなボッチ予備軍である僕が参加したいと言って良いのか?


を悩んでいるのだ。




「で、何に参加したいんだい?」




「やっぱり騎馬戦には出たいな。」




「なら、書けば良いじゃないか?」




「あっ。はい。」




何かね?圧力が凄い。


ジョージア君の圧力の前にあっけなく返事をして、記入している僕が居ます。


うん。情けない。




こうなったら、普通に参加しよう。


三種目以上の出場が最低限の出場数となる。


短距離走100Mは出てみたい。


後は、魔術的当て(ターゲット_マジック)か?


これはアーチェリー競技を魔術に置き換えたモノだな。


ちなみに騎馬戦は本物の騎馬に乗って行うスポーツ?競技だ。


そして短距離走は単純明快な走るのみの競技だね。




「じゃあ、これでお願いします。」




「分かった。」とジョージア君は希望用紙を受け取って行った。


これから集計業務が待っているそうだ。


僕は『ふぅ~。』と息を吐き外を見る。


見える風景は変わらないはずだが、見える景色は変化しているような気がするのは気のせいだろうか?








◇◇◇◆◇◇◇








参加種目は決定した。


僕は希望した三種目とも出れる事になった。


ほぼ、クラス全員が希望通りになったと聞いているので、バランスが良いクラスなのかもしれない。


得意な事がしたい事だというのは絶対では無いが、晴れ舞台の一つである体育祭では得意な種目を選んでいるのかもしれない。


そしてクラスバランスが偏らない様に学園側がクラス決めをした結果なのかもしれない。


どちらにしても予想でしかないが、希望通りの種目に出られる人が殆どなのは良い事だろう。




「さて、諸君。君達は栄えあるバルバーロ伯爵家の後継ぎたるこの私、ターナー・バルバーロと同じクラスなのだ。私の為に体育祭では一生懸命活躍し貢献せよ!」




「はは!」と数名が返事しているけど、彼等はターナー君の取り巻きだな。


ああいうのはやっぱ中二病の類なのかな?


地球の日本で中二病と言うと、『闇の力が俺を呼んでいる・・・。』とかあったけど、実際にこちらの世界では権力者の息子とかになるし、なまじ貴族として周りが対応するから、中二病の質が変化してしまうのかもしれない。


じゃないと、あの恥ずかしい言動は取れない気がするよ。




「そこのお前!聞いているのか!」




僕には無理だな。


こう湧き上がるモノが無いとは言えないけど、流石に自重できるよ。


前世の記憶が僕を止めるからね。




「ジャック・マカロッサ!聞いているのか!!」




「はい?」




気が付くと、僕は名前を呼ばれていた。


何故呼ばれているのだろうか?




「何ですか?」




「何ですかだと?!いい加減にしろ!!」




「???」




「平民の分際で調子にのっているのか!!」




怒り心頭というやつでしょうか?


僕を睨むターナー君の取り巻き達。


口々に罵りの言葉を僕へと投げつける。




「それぐらいにしておけ。馬鹿には何を言っても意味は無い。」




「ですが、ターナー様。」




「放っておけ。と言っている。」




「はっ!」




う~ん。


とりあえず、良いのかな?




「ジャックとやら、精々足を引っ張らないようにな。」




そう言って、颯爽とターナー君以下取り巻き達は去って行った。


あれは何?


何で僕が絡まれた?




「災難だったな。」とジョージア君は僕の肩に手を置き慰めてくれた。




「ジャック君。先輩が来てるよ~。」




クラスメイトの僕を呼ぶ声を聴いていつもの日常へと意識は戻っていった。






・・・体育祭迄、後10日。



体育祭。

皆さんはどの様な思い出がありますか?

僕は球技は得意だったのですが、陸上系は苦手でした。

水泳も得意だったんですけどね~。


さて主人公のジャック君は短距離走100Mと魔術的当てと騎馬戦に参加します。

体育祭はどの様な様子を見せるのでしょうか?

また、ジャック君を取り巻く環境はどうなっていくのでしょうか?

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