030 【ファイアサウルス】討伐完了。
こんにちは。ボンバイエです。
雪はまだまだ不利状況ですね。
ちょっと山間部に行くだけで雨が雪になってます。
寒いわけです。
鍋がまだまだ活躍しそうですね。(*'ω'*)
「ふぅ~。」
本当はこのまま退去したいところだけど、とにかく回収しておこう。
【ファイアサウルス】の死体を全てマジックバックへと回収する。
ゴブリンらしき魔物の死体はそのまま放置する。
そしてそのまま拠点に戻る。
「ファイアサウルスは?」
「とりあえず、そっちは大丈夫です。」
「そっ、そっか?」
「それよりサミュさんは?」
「ハイポーションを使ったから傷口は塞がった。」
ほっと胸をなでおろす。
とりあえずできる処置はしたという事で、現状はよくないが先ずは落ち着いて対応できる状況までは対応できたようだ。
意識は拠点に戻って直ぐになくなり寝ているという。
僕もテントへ向かうとエミリさんが出てきた。
エミリさん曰く、順調に数回の魔物を狩り様子を狩った魔物を処理していると突如襲ってきたそうだ。
「油断していた。」と言っていたエミリさんは言う。
ただ、このダルワートの森でこの周辺では珍しい魔物みたいで目撃情報はほとんどないというのがアルベロ達から得た情報だ。
「もしかすると偵察レベルかハグレなのかもな。」
もしそうだとして五匹居たのが不安材料だ。
ただ、ダルワートの森は広い。
国家をまたぐほどの広さがありその先にはさらに自然が広がっている。
魔物の縄張りは厳しい争いがあるというので、考えすぎてもい方がないかもしれない。
逆に偵察やハグレであれば増援は無いものとも考えられる。
ちなみに竜種でも群れを形成する魔物は一定以上の知恵があり社会を構築している為、ルールが存在することは確認されているが、魔物自体の研究はさほど進捗がない。
危険な生物であるからこそ調べるのだが、危険な生物であるからこそ遅々として進まないようだ。
「僕が様子を見ても?」
「もちろんよ。」
僕はテントの中の様子を伺う。
サミュさんは苦しい顔をしており呼吸も荒い。
容体は悪いようだ。
「回復魔法をかけても?」
「えっ?ジャック君は回復魔法使えるの?」
「そうですね、使えます。試してみても良いですか?」
「もちろんよ。」
「頼む。」
回復魔法。
実はかなりの高等魔法の分類になる。
人によって回復具合が違うからだ。
ただ、僕は適性があった上に前世の知識と回復魔法の指南を運良くザバルティさんの元で受けたので、その辺にいる使い手より上手く利用できる自信がある。
ただ、回復魔法の種類をたくさん知っているわけではない。
エミリさんにお願いして傷を受けた時の状況と箇所を教えてもらう。
腹部を爪で切り裂かれたという。
爪であれば色々と切断されている可能性がある。
ちなみにポーションは表面上の傷は結構塞いでくれる。
だが、内面はなかなか浸透するのに時間が掛かる上に本人の持つ回復力を底上げして強化するというのが本来の効果範囲なのでポーション自体が塞いでくれたりするわけではない。
ただ、エリクサーと呼ばれるポーションはそこら辺が違うらしいのだが、流通していない物なので持っている方がオカシイ代物だ。
では、回復魔法はどうかという事になる。
僕は
斬られたであろう箇所に向けて手をかざす。
魔力を這わすように少しずつ傷の個所に伸ばしていく。
そして組織と組織がピタッと合うイメージを強めて臓器に対しても血管や神経がキッチリとつながるイメージをしながら魔力を流す。
回復するというイメージしっかり持って切れて離れてしまったモノをつなぐイメージを持つ。
それを更に細かく意識して皮・神経・血管・筋肉・臓器一つ一つ元に戻すイメージだ。
どれくらいの時間をかけたのだろうか?
全てが繋がったイメージが頭に帰ってきた。
いつの間にか閉じていた目を僕は開き。
肩の力を抜いた。
目の前のサミュさんを見ると呼吸は安定して落ち着いていた。
顔も苦しさが抜けて普通の寝顔に戻っている。
「僕の最善は尽くしました。」
「ありがとう。サミュの顔が安らかになったわ。」
「ただ、失った血は直ぐには戻らないと思いますが、ハイポーションを飲ませたのですよね?」
「いえ。まだ飲ませれてないわ。」
「そうですか、できるだけ早く飲ませてください。そうすれば回復が早くなると思います。」
「そうなの?じゃあ何とか飲ませてみるわ。」
僕はとにかくテントを出て椅子に座った。
ちょっと魔法を使いすぎた。
それに集中しすぎた。
「お疲れ。ありがとな。」
アルベロさんがコップに水を入れて持ってきてくれた。
ほっとしてその水を一気に飲み干す。
「ふぅ。あれ?朝日じゃないですか?」
「ああ。そうだ。けっこう時間が経ったからな。」
周囲は明るくなっていた。
空を見上げると、雲の隙間から神秘的な黄金色の光が差し込んでいる。
雲によって出来た影が線を意識させ光線となって降り注ぐ黄金の色の世界が出来ていた。
草木についた水滴がキラキラと反射し幻想的な空間へとなっていた。
頑張った僕への天からのご褒美だろうか?
とかってに想像してみる。
自然と笑いが込み上げてくる。
あぁ、これが生きているってことか。
そう思った。
その後小一時間ぐらいたった後、サミュさんが目を覚ました。
サミュさんはしきりに『感謝感激』と繰り返していた。
やっぱ、単語のみで形成するんですね。
と苦笑いをした。
そしてパンをスープに入れたモノを用意したらすぐに食べていた。
お腹は大丈夫?なのだろうな。
それにはアルベロさんもエミリさんも苦笑いだ。
そしてアルベロさんと僕とで木と布で作ったストレッチャーを用意してサミュさんを乗せて森を後にした。
今回起こった事は直ぐにギルドに報告し後日調査隊を組む事が決定された。
僕はその調査隊に参加する事は出来ないが【灰色髪】の面々は参加するとのことだ。
ギルドには目撃情報と二体分の【ファイアサウルス】と食用肉などの狩った魔物を納めた。
落ち着いて考えると【ファイアサウルス】は単体でB級で集団だとA級越えなので五体を一人で倒した事は言えなかった。
【灰色髪】の面々には正直に話して口止めをお願いした。
良いか悪いかで言えば悪いことだろう。
けど、それ以外は素直に報告するから許して欲しいと自分勝手に思ったのは内緒だ。
「なぜ?」とは聞かれなかった。
だが、「良いぜ。その代わり今度時間くれよ。今回の件が落ち着いたら。」と三人がアイコンタクトを取りながら言われたのが気になる。
ちなみにこの【ファイアサウルス】問題はその後の調査でハグレだったという事で調査結果は出た。
理由にダルワートの森の調査で他の【ファイアサウルス】が目撃されなかった事と他の魔物が通常レベルで生息していたのを確認できたかららしい。
そうしてドタバタとしながら日常は相変わらずで、どうも馴染めないまま5月を迎えようとしていた。
そう、つまりもう体育祭が迫っているという事だ。
はぁ~。
何を選べば良いのだろうか?
短距離走?中距離層?長距離走?
走り幅跳び?棒高跳び?
砲丸投げ?槍投げ?
剣斬り競争?って何?
僕は机に顔を伏せてため息をつく。
本当になんでこんなにこの学校はイベントが続くのだろうか?
休む暇がない気がする・・・。
「ジャック君。先輩が呼んでるよ?」
僕は顔を上げる。
教室の入り口にはシャナ先輩が来ていて、僕と目が合うなり手を振ってアピールしていた。
「今日は茶道部だったか。」
僕は肩を落とし諦めて席を立った。
まだまだ始まったばかりの新生活。
先が思いやられるが、これが生きているって事だろう。
そう思うと、ため息ではなく笑いが込み上げてきた。
◇◇◇◆◇◇◇
世界は理不尽だ。
頑張っても頑張っても報われない。
一生懸命頑張っている人よりも狡賢く立ち回る人が得をする。
実直な人ほど損をして狡い人ほど得をする。
そんな世界は間違っている。
私は認めない。
私は容認しない。
私は否定する。
今までの無力な私は、あがらう事が出来なかった。
無力だと思っていた私。
何の取柄も無いと思っていた私。
私は無力であると思い込み、何もしなかった。
何もしないという事が無力なのだと知った。
行動すれば良い。
『やる』と心に決めて行動すれば良い。
そうすれば、無力ではなくなる。
無力とは力が無い事ではなくて、力を無いと思い込み何もしない事だったのだ。
私は、私が愛する人の為に立ち上がる。
私は『やる』と決めたのだ。
理不尽なこの世界に少しでも正しいと思う事を。
一生懸命頑張る愛しき人の為に『やる』と決めたのだ。
私はうずくまっていた私と決別した。
だから、進むだけだ。
待っていてください。
私の愛しき人よ。
・・・
ある日、屋敷から彼女は消えた。
何も言わず、何も残さず、ひっそりと姿を消したのである。
これで、一区切りです。
次は体育祭が舞台となります。
体育祭と言えば、長距離は基本的には日本の学校ではありえませんよね?
槍投げや砲丸も。
でも異世界なので色々考えたいと思います。
次回更新予定は2023年3月1日0時を予定してます。
ブックマークよろしくお願いします。<m(__)m>




